秘密保護法案:NSCと一体、念頭に 与野党合意演出

毎日新聞 2013年11月26日 23時46分(最終更新 11月27日 00時33分)

 安倍政権は特定秘密保護法案の今国会成立を確実にするため、26日の衆院通過を「デッドライン」とこだわった。秘密保全制度は、27日に参院で設置法案が成立する国家安全保障会議(日本版NSC)の活動と表裏一体であるためだ。与党が日本維新の会、みんなの党を法案修正協議に巻き込み、「与野党合意」を演出したのも、法案成立後の円滑なNSC運営を図る狙いから。政権の悲願である集団的自衛権の行使容認や、将来の憲法改正への「布石」の様相も呈している。

 ◇憲法改正へ布石

 「日本版NSCを作った。米国などNSCを持つ世界の国々と情報交換することが求められている。それには秘密保全が前提だ」

 安倍晋三首相は26日夕、国会内で開かれた保守系議員グループの会合で、NSC設置法案成立の見通しに触れた上でこう述べ、特定秘密保護法案とのセット成立の意義を強調した。

 そんな安倍首相の安保政策を後押しするのがみんなの渡辺喜美代表だ。

 「我々は集団的自衛権の行使を容認する方向で議論を進めている。(憲法解釈変更に慎重な)内閣法制局が横行する日本を変えるDNAを持って安倍内閣はスタートしたはずだ」。渡辺氏は25日、日本外国特派員協会での講演でこう語った。

 みんなが2012年4月に発表した改憲の「基本的考え方」も自衛権のあり方の明確化、天皇を「元首」と明記するなどの点で、自民の主張に酷似している。公務員制度改革などにこだわる渡辺氏が自民から分かれて設立したみんなは、外交・安全保障の主張ではもともと自民に近い。今回、外交・安保政策と関係が深い特定秘密保護法案の「微修正」で、真っ先に与党と合意したことは、その表れといえる。

 与党との修正合意を巡って党内が一時紛糾した維新も、7月の参院選公約では集団的自衛権行使に関する法整備を明記した。石原慎太郎共同代表が改憲に関して「保守大連立ができるかもしれない」と言及した経緯もある。

 維新内では特定秘密保護法案を巡り、自民離党組などの旧太陽の党系と、大阪維新の会の影響を受ける中堅・若手議員が対立。なお火種が残る。だが維新幹部は26日、「自民党は集団的自衛権や改憲でも、この(4党の)枠組みを利用するだろう。それはそれでいい」と指摘。ある議員は「個人的には改憲で連立したらいい」と漏らした。

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