秘密保護法案衆院通過:「強行採決」払拭に自民幹事長腐心
毎日新聞 2013年11月27日 08時22分
◇維新の退席を気にする石破氏「最後までわからずじまい」
「ほぼ正常な形で本会議の採決が行われた。極めて大きな意義がある」。特定秘密保護法案が衆院を通過した26日夜、自民党の石破茂幹事長は強行採決のイメージ払拭(ふっしょく)に余念がなかった。野党の抵抗が意外に少なかったことに安堵(あんど)しながらも、日本維新の会の退席がよほど気になるとみえ、「なぜこうなったか、最後までわからずじまい」とこぼした。ただ、伊吹文明衆院議長から「丁寧に丁寧にやることが大事」と求められ、衆院本会議の開催は夜にずれ込んだ。みんなの党を抱き込み、日本維新の会とも修正合意を得ながら「円満採決」とは言えない結末。自民党のベテラン議員は「議長が一番抵抗してるんだな」とぼやいた。
「成立を期して万全の努力をするに尽きる」。参院自民党の脇雅史幹事長は26日の記者会見で、法案成立に自信をのぞかせた。伊達忠一国対委員長は同日、維新関係者に探りを入れ、十分な審議時間を確保できるよう努力する考えを伝えた。国会内では世耕弘成官房副長官とも面会し、法案成立に向けたスケジュールの打ち合わせに余念がなかった。
「マスコミがいい法案だとほめてくれたり、世論も変わるなら会期延長もあるが、そういうことはないだろう」。公明党幹部は、この日の衆院通過にこだわった理由についてそう語った。「悪法」批判を受ける同法案を手早く処理し、反発を封じたいとの本音が透けて見えた。
◇菅官房長官「強行採決じゃない」
「強行採決じゃない。野党が賛同しているわけだから」
普段は冷静な菅義偉官房長官は26日の記者会見で色をなして反論した。与党の緊急動議による特定秘密保護法案の採決に関し「政権に与える影響」を尋ねられたためだった。
「強行採決」ではないと主張するのは、みんなの党が採決に賛成したことと、日本維新の会が法案修正には同調したことが理由だ。
安倍晋三首相も同日、出席した衆院安保特別委員会の審議で、不快感をあらわにした。国連人権理事会のフランク・ラ・ルー特別報告者(グアテマラ、表現の自由担当)が特定秘密保護法案について「内部告発者やジャーナリストを脅かすもの」などとする声明を発表したことについて見解を尋ねられた場面だった。