秘密保護法案:自民からも「説明不足」 参院審議入り
毎日新聞 2013年11月27日 11時41分(最終更新 11月27日 13時07分)
国家機密を漏らした公務員らに厳罰を科す特定秘密保護法案は、27日午前の参院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りした。法案が国民の「知る権利」を制約するという懸念に対し、安倍晋三首相は「従来の秘密の範囲は拡大しない。知る権利が狭まることはない」と強調した。しかし今国会成立を優先する与党が26日に衆院採決を強行したことで、慎重審議や廃案を求めていた民主党など野党側は反発。今国会での成立阻止へ対決姿勢を強めている。
参院本会議の冒頭、山崎正昭議長が特定秘密保護法案の審議入りを宣言すると、衆院の採決強行から一夜明けたばかりの野党席からは一斉にヤジが飛んだ。森雅子・同法案担当相は騒然となった議場で、与党とみんなの党、日本維新の会による修正法案の内容を早口で説明した。
自民党の宇都隆史氏は、世論の懸念を念頭に「現行法でなぜ不十分なのか、国民に説明しきれていない。『後世のカリスマ政治家に悪用される可能性が高い』との日本ペンクラブの意見は傾聴に値する」などと、政府側に丁寧な説明を求めた。また民主党の桜井充政調会長は「要するに欠陥法案だ。与党は国民の懸念を無視し、強引に衆院を通過させた」と批判した。
安倍首相は「知る権利や取材の自由に十分配慮しなければならない。秘密保護と知る権利のバランスを確保する」と答弁。一方で、特定秘密の恣意(しい)的な指定が行われかねないとの指摘には「重層的な仕組みを設けている。法案の要件に合わない情報を指定した場合の(閣僚らへの)罰則を設ける必要はない」と述べ、法案の再修正には否定的な考えを示した。
一方、民主党の海江田万里代表は27日午前、本会議に先立つ同党の参院議員総会で「天下の悪法が衆院を通過したが、まだ参院がある。特定秘密保護法案を廃案に追い込もう」と結束を訴えた。同党は衆院段階で対案を提出したが、参院での提出は見送り、法案の問題点を追及して廃案を目指す。
自民、公明両党の幹事長・国対委員長は27日朝、東京都内で会談し、法案を12月6日の会期末までに成立させる方針をあらためて確認。自民党の石破茂幹事長は、与党と修正合意しながら26日の衆院採決を退席した維新について記者団に、「中身の問題ではなく党内で考え方が分かれており、やむを得ない状況だった」と理解を示したが、「参院でどうなるかは読み切れない。よく注視する」とも述べた。