特定秘密保護法は必要ない――。元沖縄県知事の大田昌秀さん(88)も、こう指摘する一人だ。「衆院のように党利党略にとらわれずに審議し、国民を縛ることになる法案を廃案に追い込んでほしい」。参院議員を務めた経験から「良識の府」に注文する。

 特定秘密保護法案は、国民の「知る権利」を危機にさらします。国旗国歌法の制定(1999年)や「愛国心条項」を盛り込んだ教育基本法の改正(2006年)に続き、国民をがんじがらめにしていく動きの一つといえます。だから、私は反対するのです。

 みなさん、「民主主義が成熟した現代で、政府が国民に知らせるべき情報を隠したり、知る権利や言論の自由を脅かしたりはしないだろう」と思っていませんか。もし、そうだとしたら間違っています。国家権力は外に出たら都合が悪い情報を隠し、漏れようとする動きを抑え込みます。