2013年11月26日18時54分
【小松隆次郎】中国・吉林省敦化(とんか)市で2004年、旧日本軍が遺棄した毒ガス兵器のせいで負傷した男性2人が、日本政府に1人3300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(園尾隆司裁判長)は26日、請求を棄却した一審同様、日本政府の賠償責任を認めず、原告の控訴を棄却した。
原告の周桐(しゅうとう)さん(21)と劉浩(りゅうこう)さん(17)は、それぞれ12歳と8歳だった04年7月、同市内の川で遊んでいて、毒ガス液が手足に付いて負傷。「日本政府は、旧日本軍が遺棄した兵器による事故の発生を防ぐ義務があった」と主張していた。
高裁判決は、旧日本軍が兵器を遺棄したことに違法性があり、住民の生命・身体に危険が及ぶ状態だったと認めた。しかし、昨年4月の一審・東京地裁判決と同様、「日本政府が、この現場で事故が起きると予見できたとは言えない」と判断し、訴えを退けた。
周さんは事故後、手足などにやけどの痕が残り、神経障害などの後遺症に悩まされているという。判決後に東京都内で記者会見し、「敗訴は理解できない。悔しいし、悲しい」と語った。原告側代理人の南典男弁護士は「日本政府は被害者のために救済策を講じるべきだ」と訴えた。
中国で遺棄された旧日本軍の毒ガス兵器による被害をめぐる訴訟は、ほかに3件起こされ、うち2件は原告敗訴が最高裁で確定。もう1件も地裁、高裁で敗訴し、上告している。
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朝日新聞社会部
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