「ワーキングホリデー・プログラム」によりオーストラリアに滞在していた釜山市の女子大生が、今月24日にクイーンズランド州ブリスベーンの中心部にある公園で、頭から血を流して死んでいるのが発見された。6週間前にオーストラリアに渡ったこの女子大生は、事件当日午前3時30分ごろに宿舎を出て、清掃のアルバイトをしているホテルに向かっていたところを何者かに襲われたようだ。現地の警察当局は容疑者として19歳の少年の身柄を拘束し、現在取り調べが行われているという。
ワーキングホリデーとは政府同士が協定を締結した上で、相手国の18歳から30歳までの若者に就業できるビザを発行し、アルバイトなどの経済活動をしながら現地の言語や文化などを学ぶ機会を提供するものだ。韓国政府は17カ国と協定を締結し、昨年は4万8500人がこの制度を利用して出国したが、そのうち70%がオーストラリアに行っていた。
オーストラリアで韓国の若者たちは農場や食肉処理場、現地の韓国人が経営する店などで厳しい労働に従事するケースが少なくないという。今年8月には韓国のあるテレビ局が、クイーンズランド州のイチゴ農園やブドウ農園などで、韓国の若者たち数百人が厳しい単純労働に従事していると報じた。このようにして稼いだわずかの現金も、派遣会社への支払いや宿泊代、交通費などに消え、食事をするだけで精いっぱいの分程度しか残らないのが普通で、例えば農場で100箱分のイチゴを収穫しても、1週間に20万ウォン(約1万9000円)しか受け取れないケースもあったという。今年1月には旅行ガイドを夢見てオーストラリアに渡った21歳の韓国人女性が売春業者に売り飛ばされ、そこで業者の金を盗んだ容疑で起訴された事件が現地の新聞などで報じられた。
前政権が若年失業対策の一環として注目したのがこのワーキングホリデーだが、今回の事件を通じ、一見華々しく見える失業対策の別の側面があらためて浮き彫りになった。政府もワーキングホリデーでオーストラリアに渡った若者たちの現状把握に直ちに乗り出すべきだ。例えば安全対策が不十分な作業場で働いていないか、あるいは厳しい労働で得た賃金が搾取されていないかなど、しっかりと調査しなければならない。現地の領事館や韓国人団体、ボランティア活動を行う非政府組織(NGO)が力を合わせ、韓国の若者たちが助けを求めてきた場合、直ちに手を差し伸べられる仕組みを立ち上げることも必要だ。現地で最低限のコミュニケーションが取れる能力を持つ若者にのみワーキングホリデーへの参加を認めることも一つの方法だろう。