秘密保護法案:与党が採決強行、衆院通過

毎日新聞 2013年11月26日 20時15分(最終更新 11月27日 03時32分)

衆院本会議で特定秘密保護法案が可決し、拍手する安倍晋三首相(中央)=国会内で2013年11月26日午後8時10分、梅村直承撮影
衆院本会議で特定秘密保護法案が可決し、拍手する安倍晋三首相(中央)=国会内で2013年11月26日午後8時10分、梅村直承撮影
解決されていない特定秘密保護法案の問題点
解決されていない特定秘密保護法案の問題点

 国家機密を漏らした公務員らに厳罰を科す特定秘密保護法案は26日夜の衆院本会議で、自民党、公明党、みんなの党などの賛成多数で可決され、参院に送られた。3党と修正合意していた日本維新の会は審議を続けるよう求め、採決前に退席したが、与党側は採決を強行した。政府・与党はみんな、維新との協議で法案を一部修正したが、骨格は温存。政府の意のままに膨大な数の「秘密」を指定できる懸念はぬぐえず、国民の「知る権利」に深刻な影響を及ぼしかねない問題をはらんでいる。

 与党は法案の衆院通過を受け、27日の参院本会議で法案の趣旨説明を行い、参院で審議入りさせる方針。12月6日に会期末を迎える今国会での成立を目指している。

 26日夜の衆院本会議に先立ち、与党は同日午前の衆院国家安全保障特別委員会で、質疑を打ち切る緊急動議を提出。採決を強行した。自民、公明、みんなの3党は賛成したが、民主党は採決に反対して額賀福志郎委員長に詰め寄った。維新は退席した。

 その後、与党は同特別委理事会で衆院本会議に緊急上程し、採決する方針を決定。一方、維新の国会議員団は同日昼の役員会で、衆院本会議も採決前に退席する方針を確認した。与党側は維新の出席を促すため国対委員長、幹事長会談などへの出席を呼びかけたが、維新は応じなかった。

 みんなを除いた野党5党の幹事長、書記局長は26日午後、伊吹文明衆院議長に法案審議を衆院特別委に差し戻すよう要請。これに対し与党側は同日夕の衆院議院運営委員会理事会で、法案を採決する本会議を開くよう提案。民主党など野党側は反発したが、自民、公明、みんなの賛成多数で本会議の開催に踏み切った。

 衆院本会議の採決では、みんなの井出庸生(ようせい)氏、林宙紀(ひろき)氏が反対した。井出氏は与党との修正協議にあたった実務者だった。また、自民党の村上誠一郎元行革担当相、みんなの江田憲司前幹事長が採決前に退席した。

 特定秘密保護法案は、特定秘密を「漏えいが安全保障に著しい支障を与えるおそれがあり、特に秘匿が必要なもの」と定義。(1)防衛(2)外交(3)特定有害活動(スパイなど)防止(4)テロ防止−−の4分野で、閣僚ら行政機関の長が指定する。特定秘密を漏らした公務員には最高10年の懲役が科される。一方、法案は「国民の知る権利」「報道の自由」に配慮するとしているが、「著しく不当な方法」による取材は処罰対象となる。

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