特定秘密保護法案:「内部告発も萎縮」 毎日新聞記者講演−−中京区 /京都

毎日新聞 2013年11月25日 地方版

 国家機密を漏えいした公務員らに厳罰を科す特定秘密保護法案が今週中にも衆院で採決される山場を迎えるなか、問題点を解説する講演会「誰のための秘密なのか」が24日、京都市中京区の京都弁護士会館大ホールで開かれた。講演した毎日新聞東京本社社会部の臺(だい)宏士記者は「重い懲役刑は内部告発者への萎縮につながり、政府に都合の悪い情報が永遠に隠される恐れがある」と話した。

 市民団体「市民ウォッチャー・京都」と「京都・市民・オンブズパースン委員会」の共催。

 臺記者は、情報公開法や個人情報保護法など「知る権利」に関わる「情報問題」をテーマに長年取材してきた。講演では、第1次安倍政権時の2006年12月に発足した政府の「情報機能強化検討会議」で、「官邸の情報管理」の強化が課題に挙がり、「防衛、外務情報だけでなく警察当局の治安情報を特定秘密に加える動きが作られた」と法案の「前身」の動きを紹介した。

 その上で、秘密を漏らした人に最長懲役10年を科す秘密保護法案が成立すれば、「大義のために内部告発をして組織をただそうという人が萎縮しかねない。さまざまな手段を使って公務員らから情報を引き出す取材活動への影響も大きい」と危惧。「世論調査でも拙速な審議を懸念する声は強い。法案の問題点をもっと広げ、廃案に追い込む世論をつくることが必要だ」と訴えた。【松井豊】

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