平成14年3月14日、都議会の予算委員会で、民生病院売却に関して審議会が開かれ
ました。なお、林 知二都議会議員(民主党)と前川福祉局長との質疑応答に関する速記
録を入手しましたので、その内容を整理し、以下の3点について、その概要を報告致しま
す。
1.民生病院売却の経緯について
林 都議:都立民生病院について伺いたいと思います。
民生病院は昭和28年に開設されて、行路病者といいますか、いわゆる行き
倒れの人達の仕事をずっと手掛けてきて、今日まで本当に大きな役割を果し
たというふうに思います。それがこの度、条例を廃止して民生病院の敷地も
隣にあります済生会の方に売却するということでありますが、その交渉経
緯だとか、どういう考えでそういうことになったのか、お答えください。
前川局長:平成12年の夏に、済生会から民生病院の機能を継承する条件として大きく
2点一つは用地の大幅減額による売り払いをしてもらいたい。それからもう
一点、必要な病棟を建設するから、その建設と運営にかかる経費について補
助して貰いたい、という要望が具体的に出てまいりました。平成12年の夏
です、7月です。これに対して私どもは、民生病院を本当に機能継承する意
思があるのか、どういう内容ならいいんだということを確認しながら協議を
進めて、その過程で私どもは4つの条件を示しました。
まず用地は、適正な価格では売却するけれども、つまり機能継承を確実にや
ったら、適正な価格、時価で売却するけれども、減額は一切しない。それか
ら済生会は、その際に民生病院機能を継承する病棟を新たに建設すること。
3点目に、新たな病棟の建設と運営にかかる経費についての補助も一切しな
い。その他一切特別な扱いはしないという条件を明示したわけであります。
これを受けて、また向こうから申し出があって、協議を続けて、昨年末に至
って済生会が都の示した条件を全面的に受け入れる、これを前提に民生病院
機能を確実に継承するとの意思表示があった次第でございます。こういう経
過で私どもは都の公有財産管理運用委員会、財産価格審議会にも諮って、売
却の是非と価格を決定した、これが一連の経過でございます。
2.民生病院土地売却の理由
林 都議:あの土地をなぜ売却しなきゃいけないのか。
前川局長:なぜ売却したか。それは、売却をすれば都にとって、都政にとって一番得だ
からであります。(ユニオン注:済生会のためではない)
3.東京都の天下りが済生会の方向を決めることについて
林 都議:売却の交渉をする構図が、どうしても私はいただけないといいますか、済生
会の中央病院の会長は、昨年の8月31日まで前々の知事の鈴木俊一さんが
やっておりました、昭和59年から平成13年8月31日まで。そして、現
在は元の副知事、僕は知りませんけど、野村さんという方が今、鈴木さんの
後の会長になっています。そして、中央病院のほとんどの業務を仕切ってお
ります業務担当理事というのですが、関岡さん、元の福祉局長、企画審議室
長ですか、その関岡さんが交渉相手なんですよ。それで福祉局長の課長さん
なり係長さんなりが行って今局長がおっしゃった交渉をするわけですよね。
やはりこういう構図は、一般の人が見ても、僕はあまりいただけた話じゃな
いなというふうに思います。しかも、36億円の土地を売るか売らないかと
いう交渉ですから、その点に関してはどうですかね。
前川局長:野村副知事がそちらに行かれた経緯について、私どもは全く知っておりませ
ん。もし知っていたら、これは好ましくないという指導をしたでありましょ
うけれども、残念ながら承知しておりません。それから、関岡さんという理
事がいることは事実でありますけれども、この方の存在が今回の私どもの判
断に影響したことは全くありません。先ほど申し上げましたように、済生会
の側は一昨年来から、土地の大幅な減額をしてほしいという話があったのは
それは一切私どもは聞いていないわけであります。是非、ご理解いただきた
いと思います。
林 都議:交渉の構図ですけれども、一般の都民がそういう図式にあるというのを聞い
たら知ったら、どう思いますかという、その感覚をやっぱり持って欲しいと
いうことなんです、と思います、僕は。
この図全部国有地なんですね。ここが済生会の中央病院、この赤いあれが。
それで三田国際ビル、三田高校があります。それから港保健所、これすべて
国からの払い下げでありますけれども、済生会の土地はこういうふうにって
いるんです。こんな地形の土地を持っているのは・・・・・・、前はここま
で持っていたんですよ、昭和46年までは。それを、ここを、民生病院が東
京都の土地に国有地と物々交換をして、ここが東京都の土地になった後、こ
こを売っているのですよ。後、ですよ。ここが東京都の土地になったら、こ
れを売りますか。信じられないですよ。それで、今は独自では建て替えがき
かないんです。済生会側が欲しがるのはよくわかるんですよ。
(ユニオン注)
都立民生病院が設立され40年、済生会は民生病院を委託され、一生懸命に患者さん
を治療してきました。しかし、都の議事録を読むかぎり、東京都は済生会に対して、
また土地譲渡に関して厳しい姿勢でのぞんでいます。済生会が土地を売ってくれと頼
み込んだから仕方なく東京都のために売り、そして東京都は実利を得た、というのが
実情のようです。
平 成 1 4 年 度 夏 季 賞 与 に つ い て
平成14年度夏季賞与は、支給率2か月で妥結いたしました。なお、支給日は6月28
日(今年は6月30日が日曜日のため28日となりました)です。
なお、昨年は2カ月+3,000円でしたので、3,000円の減額です。病院が発表
した平成13年度の収支は黒字です。であるにもかかわらず、ベースアップもなく、賞与
も減額になりました。昨年と同額回答であってもいいはずです。都立民生病院の土地購入
に伴い、病院の財政状況は相当厳しい状況下にあります。従って、関岡前業務担当理事が
おっしゃる『都立民生病院の土地購入に伴う、職員の経済的負担』の始まりなのでしょう
か。
平成14年6月27日
東京都済生会中央病院ユニオン