●大江健三郎
大学在学中に『飼育』で芥川賞を受賞。94年ノーベル文学賞受賞。最先端の文学の方法論を積極的に取り入れた作品は、やや難解ではある。自身の体験を基にした、障がいを持つ息子との共生が繰り返し描かれる。『個人的な体験』『新しい人よ眼ざめよ』など。
入門書●『死者の奢り・飼育』 新潮文庫/546円
あらすじ:芥川賞受賞作『飼育』を収録したこのデビュー短編集は、死体処理室、脊椎カリエスの療養所、黒人兵を飼育する村など、文章の読みにくさを忘れてのめり込んでしまうほど、舞台設定の吸引力が強い。
必読書●『万延元年のフットボール』 講談社文芸文庫/1575円
あらすじ:素裸で肛門にきゅうりを差し込み(!)死んだ友人に導かれた「僕」が、穴の中にうずくまる冒頭が強烈。故郷の四国の神話的な森を舞台に万延元年(1860年)と安保闘争の時代(1960年)をつなぐ長編。
●塩野七生
63年から68年までイタリアに遊学したのをきっかけに、執筆活動を始める。史実を積み重ね、国家の栄枯盛衰や、当時を生きていた人々の姿をまるで目撃していたかのように描く。『ローマ人の物語』が完結し、2010年より『十字軍物語』を刊行開始した。
入門書●『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』 新潮文庫/578円
あらすじ:ルネサンス期、イタリア統一の野望を抱いた若者の数奇な生涯。妹を政争の道具に邪魔者は容赦なく排除。目的のためなら手段を選ばないチェーザレは怖いけれどかっこいい。
必読書●『ローマ人の物語』 新潮文庫/全43巻〈第1巻〉452円
あらすじ:世界で初めて、たった一人でローマの通史を書き上げるという偉業を成し遂げた作品。悪名高き皇帝の下でも「ローマによる平和」が維持されていた理由など、教科書では分からない発見に満ちている。
この人に聞きました
石井千湖さん
All About「書籍・雑誌」ガイド。73年生まれ。ライター、書評家。『日経WOMAN』『MORE』『DRESS』『テレビタロウ』などで活躍。
(ライター 石井千湖)
[日経WOMAN別冊「働き女子の必読本300冊」の記事を基に再構成]
[参考] 「働き女子の必読本300冊」では「心を揺さぶられた本 人生を変えた本」「もっと自分らしく働き続けるためのスキルアップ本&ビジネス書」「心が元気になる『お悩み解決』本」などを掲載している。
夏目漱石、川端康成、綿矢りさ、山崎豊子、田辺聖子、谷崎潤一郎、三島由紀夫
本の選び方、間違っていませんか? 「有名作家だけど、読んだら面白くなかった……」。そんな人は、読むべき「一冊目」が分かっていないのかも。日本を代表する有名作家9人の「入門書」と、社会人として読んでお…続き (11/23)
作家、村上春樹の最新作は雑誌のために書き下ろした異色の音楽祭リポートだ。新潮社の季刊「考える人」11月号巻末に、「厚木からの長い道のり 小澤征爾が大西順子と共演した『ラプソディー・イン・ブルー』サイ…続き (10/25)
各種サービスの説明をご覧ください。