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秘密保護法のこの修正は評価に値しない

2013/11/22付
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 特定秘密保護法案の修正をめぐり、自民、公明の両党と日本維新の会、みんなの党が合意した。これを受け政府・与党は26日にも衆院での採決に踏み切る考えだ。

 法案は2週間前に審議入りしたばかりである。肝心の国会の場では、法案を担当する森雅子少子化相の不明確な答弁ばかりが目立ち、議論は深まっていない。一方、水面下で与党による野党の切り崩しが行われてきた。

 国民の基本的人権にかかわる法律だから議論を通してよりよい形にしようというのではなく、とにかく「成立ありき」としか見えないやり方に不信感を抱く。

 しかもこの修正がなされても、国の秘密が恣意的に指定され「知る権利」が侵害されかねない法案の構造的な問題がなくなるわけではない。この修正案には賛成できない。さらなる見直しが必要だ。

 法案では防衛、外交、スパイ活動、テロの4分野で、秘匿すべきものを各省の大臣が特定秘密に指定する。私たちはこの範囲が曖昧で広すぎると指摘してきた。

 みんなの党との協議では、秘密の指定に対する首相の指揮監督権を明記することになった。

 行政の長による恣意的な指定を防ぐため、「行政の長の中の長」である首相がチェックするという考え方自体、理解できない。作業量などを考えても、実効性のある現実的な策とは思えない。

 維新の会とは、第三者機関の設置を検討することで折り合った。だがどんな機関が何を検証するのか定かでない。「設置の検討」を法案の付則に記すだけなので、実現性も怪しい。指定の中身に立ち入って適否を判断する機関を置くよう法案に明記すべきだ。

 秘密の範囲を限定するため指定できる省庁を絞り込むというが、これも実効性は分からない。

 指定期間を最長60年とした修正は逆効果ではないか。「原則30年」としながら内閣の承認があればいつまでも延長できる規定に歯止めをかけることを狙ったものの、本来30年で解除すべきものまで60年とされるおそれがある。

 法案への賛成を決めた維新の会とみんなの党の判断は不可解だ。修正提案を突きつけ政府・与党に受け入れさせたというが、形ばかりの手直しの印象は拭えない。

 両党ともこのところ内紛が相次ぐ。執行部が求心力を取り戻す思惑含みで与党にすり寄ったと勘繰られてもしかたあるまい。

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