「エコキュートの低周波音訴訟、撤去で和解に」の情報に関して

2013年11月23日

 今日、建築・土木の情報サイト「ケンプラッツ」で、高崎市のエコキュートに関する裁判(前橋地裁高崎支部)の結果を知る事が出来た。その内容は、こちらから確認頂ける。▷▷▷エコキュートの低周波音訴訟、撤去で和解に

 結果内容は、和解と言うものの、原告側の勝利、エコキュート設置側の全面敗訴を意味しており、至極妥当な結果であったと感じている。この訴訟に関して、その存在を知った一昨年前に、他のサイト向けに記事を書いた。その時の記事を下に転載しておく。御確認頂きたい。

 前回、記事を書いた時点では、この訴訟を「騒音問題」として知らされていた。それに対して低周波被害を問題視して記事にしていたが、今回は「低周波音訴訟」として争われていた事が理解出来る。低周波音被害に対しての全うな判断に基づく前例が出来た事は良い事だと思う。

 下記記事の中にもあるが、深刻な健康被害は低周波によってもたらされるにも関わらず、当時、当方が確認した複数のエコキュートメーカーの反応は、騒音問題として矮小化し、騒音の基準内である事を理由に、問題の不在を発言していた。

 今回の事例に対して、各メーカー及び業界団体等が対応を始めるものと想像する。消費者庁も動いているようである。今回の記事の発信元は工務店やビルダーに対して一定の影響力を有している日経ホームビルダーである事から住宅供給者にも認知が拡がると思われる。決してエコキュートそのものに大きな問題があるわけでなく、一つの技術・商品及びその運用に対して改善が行われる事は、社会に取って有意義な事である。

文責:事務局 渡 邊 豪 巳

◇以前執筆記事転載◇

11/12/02 給湯器『エコキュート』の騒音問題(損害賠償訴訟:前橋地裁)

オール電化住宅などで普及が進み、累計出荷台数が2007年9月に100万台、09年10月に200万台を突破した『エコキュート』(自然冷媒ヒートポンプ給湯機)。この『エコキュート』から出る低周波音で不眠や吐き気などの健康被害を受けたとして、高崎市内の男性が11年7月15日に、メーカーのサンデン(株)(本社:群馬県伊勢崎市寿町、木内和宣社長)と、大和ハウス工業(株)(本社:大阪市北区梅田、大野直竹社長)を相手に267万円の損害賠償を求める訴訟を前橋地裁高崎支部に起こしている。以前より、深夜に運転開始することから、近隣とのトラブルになることが指摘されていた『エコキュート』だが、それが現実のものとなった。

『エコキュート』の運転音に問題化する可能性がある事を生産団体も認めている。今回訴えられたサンデンが加盟している日本冷凍空調工業会(日冷工)は4月、「騒音等防止を考えた家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブック」をまとめて、ウェブサイトで公開している。『エコキュート』の販売や設置の実務者向けのもので、騒音問題への対策として、隣家などに影響をおよぼすような場所は避けるよう設置上の工夫などを解説している。

訴訟内容の概要は、原告の居住地(群馬県高崎市)の隣地で、大和ハウス工業(以下D社)が注文建築を新築した際に、原告宅との敷地境界線付近に設置したエコキュート(主にヒートポンプユニット)を原因とした騒音により、原告及びその家族が不眠に陥り、健康を害したとされる物である。

この件が裁判にまで至ってしまった経緯として、調停案が示した「エコキュートの移設と費用の業者側負担」に対して、原告隣地の施主は、設計デザイン変更による景観上の損失を理由に不同意。施行者のD社は、法的責任の不在を理由に費用負担を拒否した上で、「あくまでも隣人同士の問題」であると主張。一方メーカーのS社は、「費用負担を施行業者と分担する」という前向きな回答。これらの状況に対して、原告が、D社の対応を不服として、調停を取り下げ、裁判に至る事となった。

重複するが、S社が加盟する日本冷凍空調工業会(日冷工)は、エコキュートを一般的には静かな機器としながらも、深夜に使用する事や都市の過密化等により、騒音への苦情が発生する可能性があるとして、設置方法等の細かな対策をガイドブックにまとめて公表している。しかしながら、今回の件は、景観優先で、このガイドブックが活かされていないようである。隣人等に対する配慮が欠けていた可能性がある。

当方が、このエコキュート問題に関して、S社以外のメーカー数社に見解を求めたところ、一様に「エコキュートの運転音(40㏈程度)は国の規制値内であり、騒音問題は存在しない」との回答が異口同音に寄せられた。

筆者は、エコキュートに関する騒音の根本的問題点として、低周波被害が存在する事を指摘する。この低周波とは騒音とは全く異なる物で、「うるさい」事は無くとも、振動や長時間の持続により、精神的ダメージを与え、「体調不良」や「鬱」の原因となるものである。エコキュート問題を騒音問題としてだけの位置付けで評価し、騒音に関する規制値内との判断を行い、低周波問題には触れないメーカーの姿勢には疑問を感じる。発信元が特定出来ない未確認情報ながらも、この件の低周波を原因とする「鬱」による自死の例がある事がネット上では確認出来る。いずれにしても、この低周波に関する問題の認知不足が、被害自体を「被害者の過剰反応」と結論付けてしまう可能性を危惧する。

そして、この件に関する最大の問題点と考えている事は、エコキュートの騒音問題や低周波問題の存在が周知徹底されていない事である。今回の訴訟に関しても、業界内外において重要な問題だと思われるのだが、報道が一切と言っていいほど成されていない現実がある。消費者団体には苦情相談が多数寄せられていると言うのに・・・。事実、当方の周りの工務店・ビルダー等の殆どがこの問題を不知であり、あろう事か、上記の各メーカーの販売担当者ですら把握していない。電力会社が「オール電化」と共にエコキュートの普及の主体であった事や、所轄官庁が経済産業省・環境省であることから、原発の問題と同様の構造があるのでは無いかと勘繰ってしまう。

エコキュートの設置を検討する際には、これらの問題が存在する事を承知した上で、日冷工がまとめたガイドブックの活用や、免振ゴムパットを用いる等の対策と近隣配慮を行う事が肝心となる。これらの措置で、問題の大部分は解消される物と考える。決して、エコキュートが欠陥商品であり使用困難であると訴える物ではない。

(社)日本冷凍空調工業会 家庭用ヒートポンプ給湯器の据え付けガイドブック

SSDP事務局 渡邊豪巳

◇前回記事転載ここまで◇