HIV感染症は、完治させる治療法がないことで知られる感染症だ。当然のことながら、ワクチンの開発に多くの人が期待しているが、その道のりは容易とはいえない。そこで今回は重大な感染症の一つであるHIVについて国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター 専門外来医長 本田美和子氏に、改めて解説してもらう。

 2011年2月7日、厚生労働省から「平成22年第4四半期におけるエイズ発生件数」(第124回エイズ動向委員会に報告された新規HIV感染者・エイズ患者報告数等の概要)が発表された。その中に「平成22年 年間報告(速報値:平成21年12月28日〜平成22年12月26日までの四半期ごとの速報値の合計)」の項目がある。

 これによると2010年に新規HIV感染者報告数は1050件、エイズ患者報告数は453件で、いずれも前年と比較して増加しているという。また新規HIV感染者数・エイズ患者報告数に占めるエイズ患者報告数の割合も増加。 

 2010年9月27日〜12月26日までというわずか3カ月の間にも、感染者数は303人、エイズ患者報告数は119件と報告されており、これは四半期ベースで過去最多の数だそうだ。しかも例年は「12月1日の世界エイズデー」を境に検査者数が増える傾向にあるが、2010年に関しては伸びがよくなかったという。

 そして、さらに認識しなければならないのは、日本が増加傾向にあるのに対し「UNAIDSレポート「世界のエイズ流行」2010年版」(出典:エイズ予防情報ネット)によれば、世界においては2009年にはHIV陽性者数は3330万人、新規感染者は260万人と推計されており、この新規感染者は1999年より19%減少しているということだ。もちろん、対策が講じられてきたからこその成果ではあるが、日本でも、注意喚起がされていないわけではない。

 日本人はもしかしたらHIV感染について、他人事だと思い込んでいるのかもしれない。しかし実際には注意しなければかかる可能性の高い感染症でもある。

 そこで今回は改めて、HIV感染症についてビジネスパーソンが最低限知っておくべきことを、国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター 専門外来医長 本田美和子氏に解説してもらう。

Q1 HIVに感染しました。仕事は続けられますか?

Q2 HIVに感染したら、職場に言わなければいけませんか?

Q3 HIV に感染したら、どのような治療をするのですか?

Q4 HIVの治療薬は高価なのですか?

Q5 HIVに感染しているかどうかを知るにはどうすればいいですか?