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中国防空圏―無分別な線引きやめよ

いまの日本と中国との関係に必要なのは、互いに信頼を取りもどすための賢明な方策だ。逆に不信を増幅させる行動に走るようでは、問題解決の意思があるのか疑わざるをえない。[記事全文]

秘密保護法案―福島の声は「誤解」か

特定秘密保護法案を審議する衆院の特別委員会がきのう福島市で地方公聴会を開いた。福島第一原発の事故は日本にとって近年最大の危機だった。その恐ろしさを肌身で知る福島の人たち[記事全文]

中国防空圏―無分別な線引きやめよ

 いまの日本と中国との関係に必要なのは、互いに信頼を取りもどすための賢明な方策だ。

 逆に不信を増幅させる行動に走るようでは、問題解決の意思があるのか疑わざるをえない。

 中国国防省が東シナ海に防空識別圏を設けた。不審な航空機の領空接近を警戒するため領空の外側に設ける空域である。

 長らく維持されてきた日本の識別圏と大きく重なり、しかも日本の領土である尖閣諸島を含む形で線引きしている。

 隣国の識別圏に重ねる一方的なやり方が受け入れられるはずがない。中国はこの措置をみずから見直し、撤回すべきだ。

 昨年9月の日本政府による尖閣国有化以来、中国側は主に船によって日本領海を侵犯する行為を繰り返してきた。

 海上行動での領有権の主張に加え、次は空でも、というのでは無分別にすぎる。

 中国側には、大陸と日本列島の近さから、「船や飛行機がちょっと出ただけで文句を言われる」との不満があるようだ。

 だが今回は、単に日本付近を通過するという話ではない。尖閣上空で実力行使も辞さないと宣言しているようなものだ。

 空のトラブルは船よりずっと危ない。南シナ海では01年、米中の軍用機が接触し、中国の操縦士が死亡する事件が起きた。

 米政府は今回の識別圏の設定について「東シナ海の現状を一方的に変えようとする行為だ」と中国を非難している。当然の対応である。

 米国防長官は、尖閣問題に日米安保条約が適用されることも明示した。中国への牽制(けんせい)には強い危機感が表れている。

 中国側は「現状変更したのは日本だ」と主張しているが、日本政府による国有化は、識別圏のような軍事的に重い意味のある現状変更には当たらない。

 これまでも中国軍機はしばしば日本の識別圏に入っており、自衛隊機の緊急発進は昨年度だけで306回にのぼる。

 今回の識別圏の設定は、これを制度的に既成事実化しようとしているようにもみえる。中国は、日米安保体制を試すかのような危険な行動を慎まねばならない。

 一方、日本側も、挑発に乗ってはなるまい。国際的に空の識別圏をめぐっては、とくに隣国同士の場合、防衛当局間の対話でトラブルを避ける運用を取り決めることが珍しくない。

 日本政府は中国に識別圏の撤回を求めるだけでなく、不測の事態を避けるためにも、政府間の意思疎通を修復する道筋をねばり強く探るべきだろう。

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秘密保護法案―福島の声は「誤解」か

 特定秘密保護法案を審議する衆院の特別委員会がきのう福島市で地方公聴会を開いた。

 福島第一原発の事故は日本にとって近年最大の危機だった。その恐ろしさを肌身で知る福島の人たちは公聴会で、口々に法案への懸念を語った。

 秘密より情報公開が重要ではないか――。そんな意見が相次ぎ、自民党の推薦者を含む全員が法案に反対した。

 与党である自民、公明両党は、この事実を重く受けとめるべきだ。

 「情報公開がすぐに行われていれば低線量の被曝(ひばく)を避けることができた」

 浪江町の馬場有(たもつ)町長は、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報が適切に公開されず、町民が放射線量の高い地域に避難した問題を取り上げた。

 自民、公明両党の委員は「誤解がある」「今回の法案の対象ではない」と反論したが、そう単純な話ではない。

 危急の時にあっても行政機関は情報を公開せず、住民の被曝につながった。その実例を目の当たりにしたからこそ、秘密が際限なく広がりかねない法案のあり方に疑問を投げかけているのではないか。

 法曹関係者は公聴会で「(秘密の範囲について)拡張解釈の余地をきちんと狭めるべきだ」と指摘した。

 特別委員会の審議で明らかになった、こんな事実もある。

 福島第一原発の事故直後、現場の状況を撮影した情報収集衛星の画像を、政府が秘密保全を理由に東京電力に提供しなかったというのだ。

 東電には秘密保全措置がないから、画像は関係省庁だけで利用した。代わりに商業衛星の画像55枚を4800万円で購入して東電に提供したという。

 情報収集衛星は災害目的にも使われるはずだった。それが肝心のときに「秘密」にされた。

 公聴会の出席者に自民党議員は「どうぞ信頼していただきたい」と述べた。どう信頼すればいいのか。反対意見を真摯(しんし)に受け止めるべきだ。

 地方公聴会を、みんなの党、日本維新の会を含めた4党による衆院通過に向けたアリバイづくりにしてはならない。

 福島県議会は10月、法案への慎重対応を求める意見書を出した。「もし制定されれば、民主主義を根底から覆す瑕疵(かし)ある議決となることは明白である」と訴えている。

 与党はもう一度、考えたほうがいい。福島の人々の懸念は、ほんとうに「誤解」なのか。

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