辺野古移設:外堀埋まった自民県連 地元の猛反発必至

毎日新聞 2013年11月25日 22時04分(最終更新 11月26日 01時10分)

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題を巡り、自民党沖縄県連所属の国会議員5人全員が25日、県内移設を容認する姿勢を示したことで、石破茂幹事長ら同党執行部は今後、県外移設を独自公約に掲げる県連にも方針転換を迫る構えだ。ただ、県民から「公約違反」と強い反発が起きるのは必至。事実上、移設の決定権を持つ仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事の判断は、なお未知数だ。

 「県外移設を掲げて当選した以上、その方針を下げることはできない。その上で、普天間飛行場の危険性排除をもたらす、全ての可能性は排除すべきでない」。石破氏との会談の冒頭で、国場幸之助(こくば・こうのすけ)衆院議員(沖縄1区)がこう訴えた。

 発言の真意を測りかねた他の国会議員からは「どこまで本気なのか」と困惑する声も聞かれたが、石破氏は国場氏の主張を「県内移設も容認した」と判断。会談後の記者会見で「辺野古移設を含むあらゆる可能性を排除しないということを確認した」と発表した。

 普天間飛行場を巡り政府・自民党は、同県名護市辺野古への移設を推進する立場。県外移設にこだわっていた県連所属の国会議員3人を「転向」させることで、県外移設を掲げる県連に圧力をかけ、方針転換を求める作戦だ。菅義偉官房長官は25日の会見で「党所属の国会議員が足並みをそろえていただいたことは歓迎したい」と評価した。

 県連は国会議員という「防波堤」を失い追い詰められた形で、翁長政俊(おなが・まさとし)県連会長は那覇市で記者団に「国会議員の決定は重い。県連の議論に大きな影響を与える」と語った。県連は今月中にも結論を出す方針だが、所属県議15人のうち「県外方針の堅持」と「辺野古移設容認」はそれぞれ4〜5人程度。残りは態度未定の「中間派」だ。ある県議は「中間派が条件付きで辺野古移設容認に傾きかねない」と指摘する。

 石破氏や菅氏らは、国会議員→県連という2段階のプロセスを踏むことで、政府が提出した辺野古の埋め立て申請を仲井真知事が承認しやすくなるよう、環境整備を進めたい考え。保守系から2人が名乗りを上げた来年1月の名護市長選で「県内容認」派の一本化を図る狙いもある。

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