一時は限度がないかのように見受けられた中国の石炭需要が衰え始めている。中国からの影響ははるか遠くにまで及んでいる。
世界2位の経済国である中国は、ここ数年にわたり、あらゆるコモディティー、特に発電所の燃料に用いられる一般炭の需要をけん引してきた。しかし、経済成長が減速している中国では、大気汚染をめぐる国民の怒りも増していて、同国の石炭火力発電所は原子力発電や天然ガスへとシフトするよう圧力を受けている。
中国は石炭セクターの救世主と目されてきた。市場観測者らはここ数年で一般炭価格の上昇を予測し、中国の力強い成長や世界経済の回復を理由にあげていた。一般炭価格は2008年をピークに急落した。
李克強首相が今年の中国経済の目標成長率として定めた7.5%は1990年以来最低の水準だ。また、中国政府は業界のいわゆるエネルギー強度、つまり経済活動1単位当たりのエネルギー利用を引き下げるとともに一層クリーンな燃料へのシフトを進める意向を示している。政府は新しい原子炉の大規模な導入を計画しており、これも一般炭の需要を圧迫している。
世界最大の石炭消費国である中国からの需要の減少は、すでに市場の過剰供給にあえいでいる海外生産会社にとってタイミングの悪いものとなっている。特にオーストラリアでは一般炭の生産企業が計画を縮小している。インドネシアに次いで一般炭輸出で2位につけるオーストラリアでは、世界最大の石炭輸出施設であるニューカッスル港の能力倍増計画が棚上げになった。多くの新炭鉱が実行できなくなり、既存の最も割高な炭鉱も縮小や閉鎖を余儀なくされるとアナリストは予想する。
オーストラリアの小規模な炭鉱業者にとってプロジェクト資金の調達は一段と難しくなる一方、大手の多角化した資源会社はより魅力的なコモディティーに注力する方針にシフトする公算が大きい。英豪系工業大手BHPビリトンの場合、炭鉱事業のさらなる拡張を否定している。
国際エネルギー機関(IEA)の最新の石炭市場リポートによると、世界の石炭消費は中国の需要減少を受けて2017年にかけて年2%成長にまで減速する可能性がある。35年までの長期予測では、中国の石炭需要は36億6000万石炭換算トンから15億1000万トンまで幅広く、中国政府の環境政策によるところは大きい。10年の石炭需要は22億9000万トンだった。
国際的生産企業にとって見通しをさらに暗くしているのは、中国の電力会社が今後石炭の大半を地元で調達する公算が大きいこと。石炭埋蔵量が数兆トンにのぼる中国では、価格が低水準にとどまり、輸送コストが採算につながるかぎりは国内の炭鉱が需要の大半に対応するだろう、と匿名を希望した北京の石炭トレーダーは語った。この結果、UBSは中国の石炭輸入は着実に減少すると予想している。
オーストラリアのアジア向け一般炭は、現在は09年以来の安値近辺を推移している。コモンウェルス・バンク・オブ・オーストラリアのアナリスト、ラクラン・ショー氏は、石炭価格の上昇を予想する一方、最近になって14年の予想価格を2%引き下げ1トン当たり86ドルとした。18年には同95ドルまでの上昇を見込むショー氏だが、これも以前の同行の予想価格からの10%を超える下方修正にあたる。
ゴールドマン・サックスも予想を見直し、14年の予想価格を13%引き下げ1トン当たり83ドルにしたほか、新しい一般炭鉱への投資で利益をあげる機会は閉ざされつつあると警告した。
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