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脱常識! 江戸川区のすごい「学童保育」

東洋経済オンライン 11月25日(月)8時0分配信

■ 全国から380件を超える視察

 ――すくすくスクールは元気な高齢者と、将来を担う子どもが「世代を超えて、つながる仕組み」、とも言えるわけですね。やはり、学童保育対策ということで、この仕組みをつくられたのですか。

 いいえ、その対策で始めたのではありません。「人間関係を豊かにしていきたい」という狙いからスタートしたものなんです。

 きっかけは、ある大学の先生の言葉でした。「今の子どもに欠けているのは人間関係だ」と。学校と家庭の往復だけで人間関係を形成していて、しかも兄弟やいとこが少ない。お年寄りとのかかわり合いも少ない。これが「子どもにとって根本的な問題」と、その先生は説かれました。

 「なるほど。それならば、放課後に人間関係を形成する場を設けよう」と、2005年からすくすくスクールを始めたわけです。

 ただ、当初は学校教員側の抵抗がありました。校舎を開放することになるので、管理上の問題を懸念されたのでしょう。そこで、「学校の先生に責任を負ってもらう必要はありません。私どもがすべての責任を負います」と説得して、納得してもらいました。

 そのかいあって、すくすくスクールは今や「江戸川方式」とも呼ばれ、子どもの放課後の過ごし方として、モデルとされることも多くなりました。文部科学省や厚生労働省の関係者も評価してくださっていますね。2010年に「地域づくり総務大臣表彰」を受賞したこともあり、さまざまな団体が視察に訪れています。 これまで全国から380件ほどの視察がありました。

 ただ、人材面や学校側の協力態勢などがハードルとなり、同じような仕組みを導入できずに苦労しておられる自治体もあるようです。

 そもそも、街づくりの中心は「子育て」にある、というのが江戸川区の根本的な考えです。基本となる理念は「共育」「協働」で、これは「大人も子どもも関係なく、みんなでお互いに勉強し合って、共同の力で地域を支えましょう」という考え方です。

 ――「地域ぐるみ」で子育てを支援するというのは、確かに江戸川区ならではです。ちなみに、中学生以降はどうなのでしょうか。

 中学校2年生を対象、「職場体験」というものを行っています。これは、1週間、通常の授業を中断して、2年生全員が区内の事業所の現場を体験しに行きます。丸1週間、それに没頭してもらうのです。

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最終更新:11月25日(月)8時0分

東洋経済オンライン

 

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