完全自殺マニュアル引用首吊り編
あおり
確実、簡単、苦痛なしと三拍子揃って老若男女を問わず圧倒的な人気。
言わずもがなの自殺の王道。
序文
身も蓋もない結論を言ってしまうようだが、首吊り以上に安楽で、そして手軽に自殺できる手段はない……だからこそ毎年日本の自殺者の半数以上がこの手段を選び、古今東西を問わず広く用いられてきたのだ。
首吊りの最大の長所は未遂率が極端に低いことだ。紐が切れたり、紐をかけた樹の枝が折れたり、あるいは決行直後10分以内に発見されたりしない限り、成功する確率は100%だと言っていい。服毒したうえ切腹したが死に切れず、線路で電車を待ったがこれも駄目で、しかたなく崖から飛び降りたがそれでも死ねず、ついに崖を這い上がって松の木で首吊り自殺した人がいた。……自殺するなら首吊り、志願者は、これをまず念頭に置いておくべきだろう。
縄一本の手軽さ
用意するものは縄1本でいい。……ただ、なるべく柔らかく首にぴったりとフィットするものを選ぶこと。……
座ったままでもOK
縄をかけるのは、折れやすい細い木の枝などでなければどこでもいい。……ただ、縄をかけるのに適したところが見つからない、ということは十分にありえる。
しかし首吊りは、自分の身長より高い位置に縄をかけなければできないものではない。足や尻が床についていても、十分に死ねる。病院のベットで首を吊る人も多いし、理論的にも可能だ。
その理論を説明する前に、首を絞める場合と、吊る場合の違いについて、説明しておこう。前者の場合、死因は気道がふさがれることによる窒息死が多いが、後者の場合は、脳に行く血液が遮断されて脳内が酸欠状態になったためである場合が圧倒的に多い。脳に血液を送る動脈は2種類ある。頸動脈と脊椎のわきを骨に保護されながら上っていく椎骨動脈だ。首を絞める場合は、頸動脈はふさがれても骨に守られた椎骨動脈はふさがれない。ところが首を吊る場合は、斜め上方から首がひっぱり上げられて角度がつくために両方が同時にふさがれ、瞬時にして脳への血液供給が止まる。
その差は死体を見ればよく分かる。首を絞めた死体の多くは、椎骨動脈による脳への血液供給が続けられるのに、逆に脳から血液を送り出す頸静脈がふさがれているので頭が紫色になってうっ血しているが、首吊りの場合はほとんどうっ血がみられないのだ。
さて、ここまでわかったところで、首を吊る高さの問題に戻ろう。首を吊る場合、血圧が170mmHgの人なら頸動脈は3.5kg 椎骨動脈は16.6kgの力でふさがれる。足が床について膝が曲がっている程度なら、全体重の70から80パーセント、膝が床についていても体重の20パーセントくらいの重量は首にかかる。たとえば、体重が60kgの人が膝をついて首を吊った場合、首にかかる力は12kgで、頸動脈はもちろん完全にふさがれる。椎骨動脈については完全にふさぐまでには至っていないので、わずかながら脳に血液が流れるが、これも時間の問題で、単純に首を絞めた時に比べれば数段まし。多少失神が遅れる程度で、未遂に終わるようなことはない。つまり、首にかかる力が体重の20パーセント程度でも、首にきちんと角度がついてさえいれば、完全に身体をぶら下げなくても死ぬのは簡単ということだ。
実際、尻や背中がついていた例もあるし、高さが30cmもあれば死ねると言う人もいる。欧米ではむしろ足が床についている場合のほうが多いなんていう話もある。自分の部屋で死にたいあなたも、高さがないからといって諦める必要はない。ドアのノブでも十分だし、階段の斜面を使うやり方だってあるのだ。
一瞬で意識喪失。苦痛はなし
首に縄をかけた後、あなたの意識はどうなるのか?
法医学者の研究によると、首を吊るとすぐに意識が遠のき、手も足も動かそうにも動かせず、しかもこの過程でまったく苦痛はないことが明らかになっている。これは医学界ではすでに常識だ。
東京で演出家が見物人の前で首吊りの演技をして見せようとした所、「こんなふうに腰を下げると・・・」と言ったとたんに意識を失いそのまま見物人たちの前で死んだという事件もあった。……
また勢いをかけてぶら下がると、首関節が脱臼して、この場合は一瞬にして心停止、呼吸停止を招くことになる。
首吊りというと喉がしまって苦しみながら窒息死すると考えている人も多いが、実際には息苦しさを感じる前に脳が酸欠を起こして意識を失うので、苦痛はない。
もし疑うなら、あなた自身が試しに紐に首からぶら下がってみるといい。果たして本当に一瞬にして意識を失うのかどうか。たぶん首に縄をかけて少し体重をかけた程度で、予想以上に首がきつく締まることに驚いて、そこでやめてしまうのがオチだろうが
首吊死体は汚いか
首吊りの欠点としてよく言われるのが、死体の見た目がよくないということ。……しかし、死後何日も立っていないと目玉は飛び出さないし、舌も歯に引っかかれば突き出ない。こうなることもある、という程度だ。首吊り死体を写真で見ると、ほとんどが「ダラーン」「ぶら~ん」としているだけで、生きている状態と変わらない。……見た目が良くないといっても、ビルからの飛び降りや電車への飛び込みなどの死体に比べれば格段に綺麗な死体と言えるだろう。
首絞めは苦しい
前にも言ったように、首吊りが優れているのは、斜め上方から首がひっぱり上げられる姿勢になることにより椎骨動脈が締まるからである。手などで首を締める場合は当然、この動脈がふさがれず、脳に血液が運ばれるため、一瞬にして意識喪失というわけにはいかない。……結局、気道がふさがれて窒息死することになり、痙攣も味わうため、かなりの苦痛を伴うわけだ。
にもかかわらず、自分で首を絞めたりして窒息自殺する人は多い。30cmの高さを作る手間を惜しんだばっかりに、と同情を禁じえないのだが……。
また首吊りに関しては、脳内が酸欠状態になり細胞が破壊されるため、未遂に終わった場合に深刻な脳の後遺症が残る。脳細胞の特徴は、他の細胞と違って一度壊れたら二度と再生しないことだ。発見されないための計画性は十分持っておく必要がある。