ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
今更、学生って感じでも無いので、臨時講師って事でいきます。
41話  学園の問題児?
 飲み会の翌日、商会に国皇様から手紙が来ていた。

 読んでみると学園都市に、臨時講師として登録して有るので、時間があった時だけで良いので子供達に戦闘の何たるかを、1人の冒険者として教えてほしい。との事です。

 ・・・う~ん。

 生きてるのは前世と合わせて35年あるけど、戦闘経験は13年しかないし、なんかの流派とか無いしどうしよう。

 でも何か、学園の図書室とか、魔法に関係したものには興味がある。ほとんど自己流で習得したから、世間の魔法も興味があるし。

 行くだけ行ってみよう。

 今日は朝食を食べてから、直ぐトスラトの商会に来たから、まだ早朝なので転移で学園都市部に行く。

 丁度登校の時間らしく、学生達が仲良しグループ?毎に登校してる。中には貴族なのだろう、馬車での登校も目立つ。

 学園の敷地の門で、国皇様の手紙を見せて、案内の人が来るまでここで待つ。

 やって来たのは、見た目30歳過ぎのエルフの男性です。

 「はじめまして。私はトライド・クラームス、この学園の学園長兼皇国次席魔術師をさせていただいています。昨日の夜の内に、国皇様から連絡は受けております。
 良ければ学園の案内をしながら、私の執務室までおいで下さい。」

 すごく人当たりの良いエルフさんだ。魔力の量も、前に見たエルフの国の筆頭魔術師さんに、引けを取らない位多い。

 学園長室で、講師の身分証のカードを受け取り、注意事項を聞いておく。

 「はい、ライトさんには、戦闘に関するコツや実践を経験の中から、生徒達に教えてあげて下さい。雑学みたいな感じでもかまいません。
 授業や、学園内での生徒とのトラブルや、怪我、死傷に関しては、その一切を学園と皇国が保障しますので、思うとおりに授業をやってください。」

 良いのか?そんなにたいした事出来ないぞ。

 何か出来ることあるかな。考える。

 「トライドさんは、昨日の俺が提出した資料の存在をしってますか?」

 「はい、伺ってますよ。」

 知ってるのか。ならあれができるかな。

 「これから、皇国が大きく動くかも知れません。その時学園の生徒で影響されて去っていかないといけない者が出るはずです。
 その中で、学園で認め、商会の面接をした、人として優れた生徒に奨学金を商会として支給しましょう。これは、優しさ、人を差別しない、人の能力を正当に評価できる、自分に厳しく出来る等、人間性の良さに対しての支給になります。
 奨学金は、この学園で生活する為に必要な、生活費、学費、小遣い、研究費など全ての金銭を賄います。
 この奨学金は必ずしも返却する必要はありません。将来その子が生活が楽になり、忘れなければ返してくれればかまいません。返せなくても、なんらペナルティーはありません。
 学園の先生方も、入学前でお金が無く入学出来ない子供が居たら、推薦してくれてかまいません。
 その子達が、希望の就職先に行ければいいですが、もし就職出来なければ、ライト商会の中でよければ就職の斡旋もさせてもらいます。」

 俺は子供だからと無条件で助ける気は無い。

 元からスラムの子達より、恵まれてるし。

 この話を終えて、図書室に向かう。カードを見せて、授業前の2時間ほど読書です。

 魔法で面白いのは、研究開発されてるのは、戦闘用が多く、中々生活に役立つ魔法が少ない。

 この読書、思考分化がとても役に立つ。視界の中の本を、手と魔法でめくりながら5冊ほどまとめて読める。

 読んでて気になるのは、召喚魔法と、ゴーレムの製造魔法。

 召喚は、魔方陣に流した自分の魔力の、量、質によって繋がる相手が決まり、倒すか、納得させると魔力の繋がりが出来て、次回より少ない魔力で召喚が出来、此方の意思を有る程度読んで行動してくれる。魔法を使う種なら自分の考えで魔法を使ってくれる。

 ゴーレムは簡単そうだった。核の魔石を動力にし、自分の魔力で思考回路を作り、体を作って終了。魔力があれば何時までも起動していて、魔力が減ったら自分の魔力を補充するか、魔石を交換すればいいだけです。

 あ、もう時間だ。

 今日は高等科の内の、1教室です。戦闘系統の授業を取ってる生徒が多くいるらしい。

 時間になり、教室に入ると生徒達が驚きながらこちらを見ている

 「はじめまして。ライトといいます。戦闘に関して教えることになります。限られた時間しか授業を出来ませんが、少しでも学んで自分の物にして下さい。
 自分のスタイルや、力によって関係ないと思えるものがあるかも知れませんが、知ってるだけで後の選択枝の1つになるかもしれませんので、真剣に受けて下さい。」

 ちなみに、居る生徒がほとんど俺より年長で、貴族、騎士階級の子弟です。遅くに入学した者などは20歳です。

 「せっかくですから、実践しましょう。訓練所に行きましょう。」

 みんなを誘い訓練所に行く。各自、戦闘に使う得物を一緒に持っていってもらう。さすがお金持ちが来ている学園なだけあって、装備している物が違う。学校で使う装備に、国宝クラスの魔力剣を持ってる奴まで居る。

 早い内から良い装備を持っても、あんまり良い事ないのに。

 訓練所に着き、みんなと向き合い話す。

 「まずは、俺が戦闘で1番大切だと思うのは、情報です。実践しますので、全員で攻撃してきて下さい。全ての行動を許可します。では始めて下さい。」

 真っ先に国宝級の剣を持ってる生徒が突っ込んで来る。やっぱり。こちらは素手でいなして、軸足を払って転ばせる。これを皮切りに、ほとんどの生徒が攻撃してくる。攻撃してこないのは3人です。15分ほどいなし続け終了する。

 「終了です。」

 終了の合図の後で、魔力が動き魔法で攻撃しようとしている生徒がいます。攻撃を待ってあげる。

 魔法は火炎の槍の魔法で、木の1本位は燃やし尽くせる威力です。

 投げつけられた魔法の槍を、魔力で包んだ片手で掴み、同程度の水魔法で消滅させる。

 やっぱり、国宝級の剣を持ってた生徒です。

 その生徒の正面に立ち、顔面をぶん殴る。

 ガツン!という手応えと共に、5M程吹っ飛ぶ生徒。

 何も無かった様に、生徒に授業をする。

 「今回の戦闘は情報の重要性を教えています。ですので、この戦闘に関しては、正解は戦闘しないことです。正確には戦闘を回避することです。
 その意味で戦闘に参加しなかった3名の生徒はとてもよかった。
 俺は先ほど教室に入った瞬間から、皆さんの魔力量、癖、体力、死角の有無、持ってる武器、防具などを見ておぼえました。あなた達は誰も俺を見ていませんでした。これでは俺が負ける事は不意打ちでもありえません。
 事戦闘に関しては、情報1つで生死が分かれます。想像して下さい。
 あなたは敵の盗賊より、圧倒的に良い装備をしています。退治に行き、アジトに踏み込みます。10人の盗賊がいます。あなたは永遠に帰ってきません。元から10人と分かっていれば、最初から3人以上で退治に行ったはずです。
 魔物でも同じです。火炎属性の魔物を倒すのに、火炎属性の武器を装備していくバカはいないはずです。その目標の魔物の居るところまでの、魔物の分布と特性、弱点なんかを知っておけば、獲物を狩れる成功率がグンと跳ね上がります。」

 後ろから、殺気の篭った存在、ぶん殴った生徒が近づいてきます。

 「そう、情報は人間の持っている、知恵や工夫という自分より強い者を狩る手段の幅を広げてくれる最も大切なものです。」

 俺の頭に振り下ろされる、魔力剣をスッと魔力を纏った人差し指と親指で軽く挟み、受け止める。今度は、裏拳で反対の顔面を殴り、また吹き飛ばす。

 「貴様、よくも私を2回も殴ったな。私は公爵家跡継ぎのテルミル・カールベイだ。その私に手を上げて、ただで済むと思うなよ。平民のお前など、一族すべて拷問に掛けて皆殺しにしてやる。」

 間違ってはいない。権力というのはこういった一面もあるから。

 煩いので、蛸殴りにして気絶させる。

 「さて、静かになった所で続きですが、このテルミル君は俺の終了と言う情報で戦闘をやめず、攻撃し、俺に何回も殴られました。ここまでの俺の行動から、テルミル君は俺がこういった行動をしてもかまわないと許可されてる可能性の情報を読み取っていません。
 今回の戦闘は、始まる前に皆さんにかなりの情報が与えられています。
 教師は必ずなにかしら皆さんより優れている。俺は戦闘の授業の講師。年齢は多分皆さんより下。
 最初の2つで、俺なら様子見するけど、訓練だから取り合えず攻撃して力を見るでも間違いではありません。ただ、力を見た後で、対策や工夫も無く攻撃し続けるのは良く無かったですね。
 情報を旨く活用した3人は無傷、それでも理解した人は汚れただけ、理解も活用もしなかったテルミル君はぼろぼろ。これだけ結果が変わってきます。
 情報を蔑ろにしない様にして下さい。
 俺からの授業はここまでです。」

 時間なので授業を終わり、気絶しているテルミル君を連れて学園長室に行く。今日はもう授業は無いので、テルミル君を公爵家に連れてく事にする。

 テルミル君と戦っていて、かなり気になることが有る。

 本人は理知的な目の光が有るのに、やけに絡んでくる。攻撃にも迷い、躊躇い、自棄などが感じられる。このまま育っても、いい事が無さそう。

 公爵様に直接頼んでみよう。

 学園から、テルミル君が通学に使っている、公爵家の馬車に乗って公爵家に行く。公爵家は4家共、皇城を囲む様に屋敷があって、カールベイ公爵家は北東に位置してます。

 公爵家に入り、テルミル君は使用人達に渡して手当てをしてもらい、カールベイ公爵様に会いに行く。この前の飲み会で、かなり軍事関係で恵まれた家系だと聞いている。

 応接室に案内され、当主に面会する。

 「この前は楽しいひと時をありがとうございました。」

 「貴殿に家の息子が、お世話になったとか。」

 「はい。その事なのですが、単刀直入に用件を言いますが、死ぬかもしれませんが、息子さんを俺に1ヶ月預けてみませんか。
 今日、息子さんと戦ってみて、とても良くない迷いや躊躇いを感じました。
 良ければ、息子さんを全く違う環境に置いて、生き残ると言うこと教えてみたいと思います。宜しいでしょうか。」

 「・・・。」

 結局、テルミル君(18歳)は当主命令で、俺に預けられる事に成りました。

 さてと。

 テルミル君には、全く違う世界を見てもらおう。

 

 
何か、簡単な育成話になった気がする。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。