ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
この回は、盗賊イベントですが、私なりの考察も入っています。強姦描写も抑えていますが有りますので苦手な方は読まない事をお勧めいたします。
 あくまでも私見ですので、不快な方もいるかも知れません。こんな可能性も有るかなくらいで読んでください。
32話  盗賊行為の明日は破滅?
 龍人の国の迷宮を攻略して5日たちます。高階層のアイテムや、武具を渡し終え、今日から人間の国の迷宮に挑んで行きたいと思います。

 今は準備で、エルフの国の南部で人間の国に一番近いナトと言う名前の都市に来ています。

 エルフの国の南側は、フレート連山とレードリア湖、そこから流れる大河によって国境になり、トスラト皇国が広がる。

 この皇国は、人間の数有る国の中でも、2番目の国土と人口を保有し、人口2億7千万人で人口比は人間種が6割、エルフが2割弱、その他2割ちょっとといった感じの国です。

 何で人間の国に入る前に、ここに寄ったかと言うと、以前の2つの出来事が関係している。

 1つは商業国に行った時の盗賊の件と、エルフの国に入る時の誘拐事件です。

 この誘拐事件は、結局トスラト皇国の貴族が発注し、裏の奴隷商人が受け、盗賊が実行した事が判明して、貴族までが逮捕、失脚になる事態になったのです。そんな事件の起こる場所に、事前知識や備えも無く行けるほど人間が出来ている訳でないし。

 そんな訳で、ナトに在る冒険者ギルドに来ています。

 トスラト皇国とエルフの国を結ぶルートは、大きく分けて3ルート有り、この都市を経由するのが皇国の西を迂回する西ルート、レードリア湖を横断して南下する中央のルート、あと東の海上ルートの3つです。

 皇国の大都市は全部で33都市で、首都は国名と同じトスラトと言い、国の南部に位置します。ここに首都が在るのは、神の迷宮がこの場所に在るのが最大の理由だそうです。

 そんな情報を掲示板で見ながら推察などしていると、賞金首の掲示板が目に留まる。

 この近辺にも盗賊団が4ついて、大きい物だと千人以上の規模になっている様です。どの盗賊団も首領や側近が賞金首で、高いものだと100万Cを超えていた。

 職員達や冒険者達に聞いて、情報を集めてみると、盗賊団は基本的に皆殺しで物を奪い、女性は連れて行かれるらしい。騎士団などで行くと、反対側の国に逃げ込み対処しづらい。トスラト皇国に入ると数が多くなる等情報が集まる。

 まだ前世の記憶に引っ張られているのか、胸がむかむかする。

 許せないという気持ちと、盗賊を少しでも減らしたいという決意が大きくなっていく。

 遠周りになるかも知れないが、盗賊討伐をやることにした。

 ここらで一番大きな盗賊、1100人規模の盗賊の出る位置情報を仕入れて現場に飛ぶ。低空を飛びながら、探査の魔法を展開すると、居た。

 街道沿いに100人~150人の集団が3グループ展開している。

 一番近い集団の手前に着地して、土魔法を発動。

 全ての盗賊の足を固定すると、次に行く。これを3回繰り返して、最後の集団から殲滅していく。黒桜と黒椿を刀にして首を刈り取っていく。何か騒いでいたが聞く気は全く無い。

 賞金首は闇に首を回収して、あとは機械的に装備や、金目の物を回収していく。これを3回繰り返す。最後に2人を残して、その2人にアジトへの道案内をさせる。これは一応嘘を教えられた場合の保険です。

 今回は嘘を付かれなかった様で、山岳地帯の岩陰に大きな洞窟と見張りの盗賊、警備の盗賊、訓練中の盗賊が見えます。探査の魔法でも700人ほど反応が有ります。道案内の2人を猿轡をはめて森の中に放置する。道案内の報酬は、生き残れるかもしれない可能性です。万が一冒険者にでも発見されたら、生き残れるでしょう。

 まず、見張りの盗賊を遠い順に、土魔法で手足と口を拘束していく。残りは一気に拘束して、正面から洞窟に入っていく。探査の魔法と気の強化、魔力の障壁で進入すると、後は土魔法で拘束するだけになりました。何処に何人いて、何処から攻撃してくるか分かっていて、その攻撃がのろくて当たらないのだから、単純作業になってしまう。
 途中豪華な部屋でお楽しみ中な2人組みがいたので拘束して確認すると、首領でした。首を狩って闇に収納する。相手の女性がおかしいので拘束したままにする。何がって、何の制限も受けていないのがおかしい。
 ここまで攻撃してきた盗賊は全て首を狩り、それ以外は土の魔法で拘束していってます。全部顔を確認して、賞金首は残さず回収しています。

 そして最奥、これが在ると思ったから盗賊討伐を決意したんだ。

 30人ほどの女性が100人近い盗賊達に強姦されていた。

 魔法発動!!ゴミどもが!!

 土の魔法で盗賊達を拘束する。

 女性達を魔法で出した水で、綺麗にしてあげて、回復魔法を掛けてあげる。拘束していた鎖と足枷を外してあげ、女性達を一旦集める。そして女性達全員の前に短剣を置いて話すことにする。

 「あなた達は、良かったのか分かりませんが、助かりました。その短剣をどう使ってもかまわない。盗賊達は全員拘束しているので、自由にして下さい。
 ただ、これだけは覚悟しておいてほしい。盗賊を殺す選択をしたのなら、いつか自分が殺される時が来るかも知れないと。
 俺は外で待ってます。」

 そういい残して外に出る。時間的に昼時なので、拘束した外の盗賊達を洞窟の入り口付近にまとめて置くと、昼食の準備をする。

 結果は、1時間後、盗賊は全員女性達に殺されました。女性達の中でも4人は自殺し、あの豪華な部屋にいた女性は、他の女性達によって細切れの惨殺にされていた。なんでも、寝返った女性だそうだ。

 残った女性は25名、その中で帰れる場所が在る人は、8名だけでした。その内3人は心に深い傷を負っています。

 生きようとする人がこれだけ残ったのに、女性の強さを感じました。

 みんなで食事を摂りながら、これからの事を考える。行くところの在る8名は良いとして、残りの17名は、どうしよう。
 ラナ達に、念話で相談してみる。

 結論として、心に傷を負った3名は白龍の山の実家でリハビリをして、残りの14名は、エルフの国のライト商会で面倒を見る事にしました。


 -サイドー 名も無き女性

 私は行商人の夫と子供たち4人で、町から町へ行商をしながら日々の糧を得ていました。

 そんな1ヶ月前のこと、悲劇が起こり盗賊に夫と、子供達を目の前で殺され、私は盗賊達に捕まってしまいました。それからは地獄の毎日でした。来る日も来る日も、憎い盗賊達に犯され、殴られ、そして、気がふれた人から殺されていく、妊娠したらお腹を蹴られて流産させられる日々。
 一番許せなかったのは、犯されながらも、死ねなかった自分。きがふれられなかった自分。

 そんな時ふと気が付くと、周りの盗賊達が拘束されて床に転がっていました。隣の女性の方を見ても同じです。どうしたのでしょう?

 牢獄の入り口に黒目黒髪の15歳ほどの少年がいました。穏やかな目をして、黒い2本の剣を持ち、緑のジャケットを羽織、黒いズボンを履いています。その少年が2本の剣を振るい、牢獄の扉を壊して行きます。

 その後は、魔法で出した水で優しく洗ってくれ、戒めも解いてくれました。少してれながら、どこからか出した毛皮を女性達にかけてくれる。
 私達は下着すら与えられていなかったのですから、もちろん全員全裸です。恥ずかしいという気持ちを、久しぶりに感じました。

 少年は短剣を人数分だして、私達を集めて言いました。

 「あなた達は、良かったのか分かりませんが、助かりました。その短剣をどう使ってもかまわない。盗賊達は拘束しているので、自由にしてください。
 ただ、これだけは覚悟しておいてほしい。盗賊を殺す選択をしたのなら、いつか自分が殺される時が来るかも知れないと。
 俺は外で待ってます。」

 少年が出て行き、直ぐに4人の女性が胸に短剣を刺し、自殺しました。

 私を含めた、25人は短剣を取り全ての盗賊の生き残りを、殺していきました。少年の言葉を思い出しながら、夫と子供達の顔を思い出しながら、犯されていた時を思い出しながら、殴られ蹴られていた時を思い出しながら。

 洞窟を出たところで、あの少年が食事の用意をしていてくれました。

 少年の目が、がんばったねと言ってます。この人の目には、蔑みも、嫌悪も忌避も感じられません。私達は汚された人間なのに。

 私達は泣きながら、用意してくれた食事をいただきました。今まで食べたことの無い、美味しいお肉と魚介のスープに、柔らかい白いパン、魚の串焼きでした。

 この食事で、生きている事を実感しました。そして改めて助かったのだと。

 食事をしながら話していてやっと分かりました。

 助けてくれたこの方はライト様、単身でこの盗賊達を壊滅させた方。

 ライト様とみなで話、8人は帰る事に、残りはとりあえずライト様の商会に行くことになりました。食事の後、みなで手分けして、お金になりそうな物や、財宝、現金、食料、などを集めました。

 ライト様がこれからいくらでも必要になるからと、現金は女性達25名で均等に分けました。1人頭百万C少しになって驚きました。そして、残りの物からも必要ならどうぞといって、色々な物をもらいました。

 本当の残り物がライト様の物になり、魔法で収納していました。初めて見ました。

 ライト様が空中を見つめると、3人のとても綺麗な女性達が出てきました。

 妻の、聖白龍様と冥界の聖霊様と光の大精霊様との事です。本気ですか。

 心の傷が大きかった3人は、この方達とライト様の自宅で療養し良くなったら私達と合流する事になりました。

 3人とライト様の奥様方が転移して行き、残りの私達は、盗賊達のそれでも綺麗な服に着替え、まとめて近くのナトの都市の冒険者ギルドに転移して行き、帰る所のある8名が別かれました。ライト様が盗賊達の懸賞金を受け取り、今度はエルフの国の首都のライト商会にまとめて転移しました。転移魔法を使える方が居るのをはじめて知りました。

 その後、ライト様が大きな空きやの宿屋を買い取り、私達の仮の住まいにしてくれました。

 そしておっしゃいました。

 「これから何人もの同じ体験をした女性を連れてきます。その方々とあなた方が、少しでも良い。未来が良い物になります様にと。」

 後で分かりました。ライト様は、大陸で5本の指に入る2Sランク商人にして、最高ランクのSクラス冒険者。

 これを知った時、少しでも恩をお返ししたいと、助けられた女性全員が思いました。

 ーサイドエンドー


 盗賊達は大体捕まると、懸賞金付きは、見せしめで打ち首、縛り首で、ほとんどは首だけで提出される。つれてくるだけ意味が無いのだ。
 懸賞金の付いてない手下達は、犯罪者奴隷になり、この場合いは、服も無く、飯も残飯で家畜より悪く、悪くて高額魔物を引き寄せる餌にされるか、魔法や薬の実験のモルモットで、良くて鉱山の鉱夫か開拓村の開拓民の奴隷で力が落ちたら殺されて森に捨てられる。一番良くて、都市の排泄物の処理、回収人の道しかない。

 俺の場合、一番被害を受けた女性達に判断を委ねました。女性達が殺しても、それが新たに生きてく為の、踏ん切りや恨みの解消になればそれはそれで良いと思う。
 たとえ後で、人を殺したことで、眠れない夜があったとしても。後悔は絶対しない。

 盗賊達でこれから、生かして町に連れて行くのは、捕らえられていた女性達が許した時と、誰も捕らえていない時だけだと思う。

 盗賊達にとってそれが良い事かは分からないけどね。

 女性達14名をエルフの国の首都に連れて行き、生活の準備を終えて自宅に帰る。

 3名の女性達がメイド(冥土)服を着ていました。多分アマリーの趣味だと思う。

 妻達3人が、今でも人を殺した感触で手が震えそうになるのをこらえている俺に、気を使ってくれてるのが伝わってくる。

 メイド服はやりすぎだけど、ありがとう。

 こうしてこの日が暮れていく。







 
ライト君はただ出来る事をしていて、続けることをしているだけです。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。