〔クロスマーケットアイ〕足元のリスクオン相場、5月より好条件も 急激な調整には警戒
[東京 25日 ロイター] - 日本株とドル/円 が5月の年初来高値を目
指す動きとなっている。原動力は当時と同じグローバルな金融緩和環境を背景とした過剰
流動性だ。前回は米緩和縮小観測で崩れたが、「経験」を積んだことで抵抗力はアップ。
金利も比較的低位で安定しており、前回よりもリスクオンには好条件だ。ただ、国内でア
ベノミクス政策は一巡。日銀追加緩和は海外勢を中心とした期待の段階に過ぎず、市場心
理が変化した場合、急激な調整が起きる可能性に対する警戒感も強い。
<海外勢の緩和マネーが再び主役>
今春と今の株高・円安相場の類似点は多い。当時も、日米欧の金融緩和を背景に、米
ダウ が史上最高値を更新。欧州株もリセッション懸念が強かったにもかかわらず上
昇が続いた。世界的な過剰流動性を背景にヘッジファンドなどが中心となり、いわゆるリ
スクオン相場を作り上げた。
今回の流動性相場の原動力も、イエレン次期米連邦準備理事会(FRB)議長候補の
ハト派発言をきっかけに動き出した緩和マネーだ。今春はバーナンキFRB議長が量的緩
和第3弾(QE3)の縮小を5月22日に示唆したことで、一気に崩れた。
だが、今回は「一度経験しているので、警戒感はそれほど強くない」(SMBCフレ
ンド証券・チーフストラテジストの松野利彦氏)という。
テーパリング開始を決断しても利上げは当分先との認識を、イエレン氏が市場に植え
付けることに成功していることも、市場がリスクオン投資を続けやすい背景になっている
。日米金利は株価の急騰もあって上昇しているが、比較的低位で押さえられている。10
月29─30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、タカ派的な認識を持つメ
ンバーが多いことが明らかになったが、株価や通貨は大幅な調整には至らなかった。
海外勢の緩和マネーが主体という構図も今春と同様だ。東証の主体別売買動向では、
11月第2週の外国人投資家は今年4月第2週に続き、過去2番目となる1兆1720億
円を買い越した。ヘッジファンドなど短期資金に加え、海外年金などの中長期マネーが加
わっているとみられ、需給的には今春よりも好状況にある。11月第2週は先物を入れれ
ば実質、過去最大の買い越しだった。
週明け25日の相場は、緩和マネー主導で、日経平均 は、約半年ぶりに1万
5600円台に上昇。取引時間中の年初来高値1万5942円60銭(5月23日)をう
かがう展開となっている。ドル/円も7月高値101.54円を突破すると弾みが付き、
101.81円まで上昇し、約半年ぶりの高値を付けた。こちらも103.74円の年初
来高値を目指す動きとなっている。
<「歪み」も今春同様に拡大>
ただ、相場の過熱感や「歪み」という面でも、今春相場と同様に強くなっており、警
戒も必要だ。市場センチメントに左右されやすい過剰流動性相場は、ちょっとしたきっか
けで反転しやすい。景気指標が良ければリスクオン、悪くても緩和長期観測でリスクオン
と、都合のいい解釈がまかり通っているのも当時と同様だ。
東証の日本株の裁定買い残は、直近の11月15日時点では3兆8600億円まで拡
大。5月17日時点の今年のピーク、4兆2600億円に接近している。日本株は、円売
りと株先買いが同時進行で入り、先物に対して割安になった現物株に裁定買いが入るとい
う当時と同じ展開になっており、裁定買い残が積み上がりやすい。
「裁定買い残はどの水準を越えればピークというのはないが、いったん相場が下落し
始めると裁定解消売りが増えることになり、相場下落に拍車がかかりやすい」とみずほ証
券・エクイティ調査部シニアテクニカルアナリスト、三浦豊氏は指摘する。
IPO銘柄の熱狂ぶりも今春と似ている。当時は、バイオ関連株などが短期資金の投
機対象となり株価が乱高下したが、今回も似た現象が目立つ。19日に上場したANAP
は買い気配が続き、ようやく上場2日目で公募価格の2倍以上となる初値が付い
た。しかし、直後に売りが浴びせられ、ストップ安になるなど、短期資金の暴れっぷりが
目立っている。
日経平均とTOPIX の比率であるNT倍率 は12.40倍まで上
昇し、2000年以降で最高水準に達した。今春同様に、ファーストリテイリング<9983.
T>やソフトバンク など日経平均への寄与度が高い銘柄が突出して上昇しているた
めだ。一方、円安にもかかわらず、トヨタ自動車 など輸出株のパフォーマンスは
比較的鈍く、市場では「違和感がある」(国内証券トレーダー)との声も少なくない。
日本では、日銀が4月4日に「異次元緩和」を打ち出したことが円安・株高を加速さ
せる材料となった。今回も一部でJQE2とも呼ばれる日銀追加緩和への期待が円安・株
高相場の材料となっているが、まだ期待の段階に過ぎない。
「米企業の業績はそれほど良くなっていないのに、米株は過去最高値を更新している
。米国や欧州の財政問題や中国の金融問題など解決されていないにもかかわらず、緩和マ
ネーが過剰にリスク資産に向かっているだけに、調整への警戒は怠れない」とインベスト
ラスト・代表取締役の福永博之氏は述べている。
<東京市場 25日>
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日経平均 国債先物12月限 国債331回債 ドル/円(15:00)
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15619.13円 144.71円 0.640% 101.87/89円
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+237.41円 -0.06円 +0.015% 101.26/27円
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注:日経平均、国債先物、現物の価格は大引けの値。
下段は前営業日終値比。為替はNY午後5時。
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