この回、人を殺す表現を一部入れて有ります。表現的に抑えたつもりですが、気にする方はご遠慮ください。
17話 ごろつき達の明日
首都のレニアースに来て、今8日目です。
店舗の改装計画は、図面が出来、取り壊しが始まり、残す建物の内装変更と事務用品や調度品の調達などに入っています。
最終的に、完成は6ヵ月後で、仮営業が始まるのは2ヶ月後の残す建物の改装後からになる見込みです。
龍の装備は、ギルドの紹介で大きな工房を持っている、ドンテスさん(ドワーフ)に依頼することにしました。ドンテスさんの所は、従業員20人ほどの首都の西地区では3番目に大きな工房だそうです。
龍の装備は作ったことが無い(だろうね)ので、すごくのりのりだった。新しいものを創るのが、職人だから好きみたいだ。
商会としての初取引は、龍の鋼ナイフ30本になりました。龍達は魔物をそのままかじっていたので、採取で角や牙、皮や甲羅などかじるか、捨てていた。これらは、人にとってなかなか狩ることが出来ないランクの魔物で、価値がある部位が多い。それをきれいに採取する道具として使ってもらう為に依頼した。
本格的な装備品の依頼は、龍達が通貨を有る程度持つようにならないときびしい。それに固体ごとの、オーダーメイドになるしね。
昨日、1本目が出来たので見たが刃渡り1mの握り部が直径30cmあってわらった。
それと、龍の里の仮店舗に行ってくれる、行商人は龍人のトライエルさんになりました。始め商会からの依頼にしていたのですが、3日目の時ラナ母さん逢ったら、どうか私も商会に入れてくださいとの事。しょうがないので、社員にして家族6人で2年の出張としました。6日目までに準備して引越し荷物は闇に収納して転移で連れて行きました。
向こうの店舗は、盆地に面した空き洞窟を黒セラミックで改装して住居兼店舗にしました。
龍の里の店舗の取引価格は、近隣の取引価格にしてあり、いつか自分達で取引が出来るように、長老や里の龍達と決めています。最初は香辛料と塩醤油の調味料、黒セラミックの龍用生活用品でスタートです。
この7日間は午前中は手続きで走り回り、午後は母さんとアマリリスと3人で観光と買い物の日々でした。
そんな中一つの情報を耳にした。
この国にも有る迷宮ですが、そこで上がったレベル分は寿命が伸びるらしい。確かではないが、迷宮探索者の人間で300歳ほど生きた人がいたそうです。人の寿命が80年としてもすごい。
この前、ラナ母さんを助けた時、魂か命か分からないが、半分あげたから俺の寿命は、たぶん予想で40年しかないと思う。さすがにこれではいやだ。
時間が許す限り迷宮に入ってレベルを上げて、せめて人並みの寿命にしたいと思った。
ただでさえ、聖獣クラスの母さんや、アマリリスの寿命は千年単位であるのにちょっと情けないし。
と言う事で、8日目にしてはじめて首都の冒険者ギルドに一人で来ています。
エルフの村の出張所なんか比べようの無い規模でした。
5階建ての建物で、1階が受付窓口20箇所、素材買取カウンター20箇所、食堂兼喫茶店、依頼掲示板がホールについ立で40枚大きさなら地球の大手銀行の本店ロビー並みにある。
2階は、探査者用のアイテム販売のギルド直営店が用途ごとの店舗を開いている。3階より上はギルドの管理部が入っていて冒険者には縁の無い場所みたいです。
ここで問題発見!
迷宮に入るのは、Fランク冒険者で1回500Cお金が掛かるみたいです。お金はいいけどランクが俺Hと最低で入れない。
ギルドも実力も無く、迷宮に入ってどんどん死なれても困るらしい。ごもっともです。
しょうがないので、依頼の掲示板を見てみる。
「・・・・・・。」
・犬の散歩 1時間 50C
・庭の草取り 1時間 60C
・倉庫のねずみ退治 170C 等
ねずみ退治はどこまでやったら退治完了なんだろう?まあ、小さな疑問は置いといて、ランク外の依頼を見てみると結構あった。
ランク外の依頼のほとんどが、賞金首か、盗賊の討伐で、この依頼は早いもの勝ちみたいだ。
よく見ると、賞金首のなかで4人が、この首都の西地区暴力組織の幹部らしい。龍人2名に、獣人1名、人間1名で全部の賞金が4名分で35万Cだった。全員、人を殺してる。
安すぎないだろうか?暴力団あいてして350万円って地球の公務員でも嫌がるぞ。普通死ぬし。
まあ、母さんと行く飯調達の魔物より簡単だろう。不意打ちさえなければだけど。
商業ギルドに行き、アジトの場所を聞き、上空から観察する。
商会の店舗から2kmほどの距離にあり、西の大通りの2本入ったところにあるデッカイ屋敷がそうみたいだ。魔力探査で見てみると2階の1部屋の大きめの反応が2つ、横の部屋から1つ、あとは似たり寄ったりが120~140ほど反応があった。
2つの反応があった部屋の窓から入ることにする。気で体を強化して探査魔法をかけたまま窓に近づきノックする。
「あア、おめーは誰だ!」
龍人の一人が、窓をあけて聞いてきたので答えてあげる。
「伝言があってきました。中に入りますね。」
断わりを入れて中に入り、もう一人も見ると手配書にあった龍人だったので、魔法の氷で貫く。
「まず、2匹。」
氷を消して、頭を掴み引きずって部屋を出ると、隣の部屋から手配書の人間がでてきた。気が付いたと同時に、黒椿を一閃、首を刈る。
やっぱり、魔物より人の首をきるのは気持ち悪い。たぶん本能で拒否していると思う。胸がすごくむかつく。
人間の首と胴体を闇にしまい、龍人2人を引きずりながら歩き出す。ついでに魔力を体の回りに薄い膜のように張っておく。
次々に獣人やら龍人やら、人間やら出てくる。エルフはさすがにいなかった。
「玄関ホールに構成員を全部集めろ。1時間以内だ。早くしろ!!」
と命令して、走らせる。自分は歩きながらホールに向かい少し考える。
皆殺しにしても、やれない事は無いけど、他のやつらが入ってきて元に戻る。トップの4人を殺して解散だと内部分裂や他との抗争で西地区が治安が悪くなり、商売の邪魔になる。
なんか、利用法がないかな。
玄関ホールにバルコニーみたいな突き出しがあったので、その壁に龍人2人を黒椿と黒桜で縫い付ける。壁際にいすがあったので、引き出してきてホールが見渡せる場所にすわるり、闇から人間の体と首を出し、首は手すりの上に置く。体のほうはその場に放置。
椅子に座って、利用法についてかんがえる。
・・・治安が悪くなるのは良くない。治安を良くするには、こいつらに警備や護衛をさせるのはどうだろう。・・・悪くない。警備会社みたいに、警備料をもらって、警備する。こいつらも、縄張りを守っていくのに他の組織と戦っていたはず。その分、上がりのいくらかを歓楽街や商売人、犯罪者からとっている。なら、警備会社のように合法的に、適切な料金ならいけるんじゃないか?
こんな感じで思考しているとホールが人で埋まってざわついていた。ザッと200人弱。
ホールを見回し、残り1人の手配者を探す。・・・いた。一番前にいる。
風の魔法で拘束して宙に浮かべる。俺の目の前に吊り上げ、風の回転を首を基準に反対にして魔力を込める。
ブチブチ、ゴキッ!!
と首でちぎれて、首から下を落とす。首は人間の首の隣に置く。
さて、話を始めよう。と思ったけど、奥の方に魔法の反応が有り攻撃してくるみたいだ。待っててあげると、5cmほどの火の玉が飛んできた。避けるほどでも無いので、そのまま受ける。牽制かもしれないしね。
火の玉が俺の魔力の膜に触れて消えた。次の攻撃は何だろうと待っているが来ない。よーく見てみると、全員目を見開き動かない。・・・なんで次が来ないんだろう。
まあいいや、一応注意しておく。
「あー。お前ら、どうせ攻撃するなら、牽制じゃなく、これくらいの攻撃にしろ。無駄だから。」
と言って、5mの火の玉を出す。
火の玉を全員見たのを確認して消す。話を始めよう。
「まず、指名手配されていたお前らのトップ4人はこの通り、俺が殺した。だから、この組織のトップは俺がやる。そこでだ、この4人以外で幹部っているか?前に出てくれ。」
しばらく待つと、5人出てきた。龍人3人、獣人1人、人間1人だった。この5人に代表して話をさせる事にする。
「これからどうするか、先に話をさせて貰う。よく聞いてくれ。この組織を警備専門の組織にして、俺の作る商会の警備部門にする。店から今までより遥かに安い警備料をもらって、店を守る。このときより多く料金を払っている店を優遇する。
一番下の者でも最低8千C支払おう。この場合、10日中7日働いてもらう。上になればなるほど、この金額が増えていくし働きによっては特別に支給する。
この組織が活動していた範囲は他の組織から守る。この地域の住人は、お前達の給料を払ってくれるお客として扱う。
お前達が売るのは、住人や店主たちが納得する安心を売る。この地域が安心、安全になると人や商売が盛んになって、より契約してくれるし、より高額の契約をしてくれる。
休みは、訓練しようが、迷宮にいって強くなろうが、そこで稼いで冒険者に転職しようが自由。商売がしたかったりしたら、商会がサポートする。
やる内容は、騎士や自警団と変わりない。住民に密着した住人達に感謝され、必要とされる仕事だ。
ここまで話したけど、嫌なやつは出て行ってくれ。ただ覚えておけ。
俺の組織に手を出したら、潰す。」
この後、2時間話し細かいことを決めていく。
全員で5人の中から責任者として、龍人のネスケルさんを選んだ。あと、組織の中で犯罪を犯したものは騎士団に組織で責任を持って突き出すことにした。
これ以上の決め事は、自分達で決めさせる事にする。決めたことは箇条書きさせる。
これで、今日は冒険者ギルドに行くことにする。翌日朝来る事を伝えて準備する。
懸賞金をもらうのに、本人の首が必要な為、龍人の首を黒椿で切り取り胴体は、白い火の玉1mをだして、放り込んで全てを蒸発させる。
あとは首4つを布に包み、闇に片付ける。
・・・ン?何か静かだ。下を見ると、全員口を開けて、目を見開いている。どうしたんだろ?
考えても分からないので、ネスケルさんに聞いてみると、慌てて何でも無いと言っていた。
まあいいや。窓を開いて飛んでギルドにむかった。
受付に行き、カードをだして懸賞金をもらうなら受付カウンターはどこか聞く。一番奥らしい。
カードと布に包んだ首を、カウンターに出す。受付にいるのは、豹タイプの獣人のお姉さんです。
「懸賞金をお願いします。」
「ハイ、お待ち下さい?・・あら、坊や保護者はどこ?」
「いません。それより、懸賞金をお願いします。」
「そうは言っても。懸賞金は討伐者に支払われるの。討伐者を連れてきてくれる。」
「だから、俺が討伐しました。」
「あのね坊や、Hランクのあなたに討伐できる訳ないでしょ!いいから、討伐者を連れてきなさい!」
周りがざわめき、注目が集まる。お姉さんもだんだんヒステリックになってきて話にならなくなる。この手は使いたくないけど、こうなるとしょうがないね。
商業ギルドのカードを出して言う。
「ギルド長を呼べ。」
「!!」
そのまま腕を組んで、目を閉じ待つ事10分。魔力の大きな人がカウンターの向こうに立ったのが分かったので目を開いて、相手を見る。
普通のエルフより耳が長いエルフの老人がいた。たぶんハイエルフだ。ハイエルフは1000年ほど生きるので、たぶん900歳前後だと思う。
「わしがここのギルドの長をしている、シェスレーノと言う。何か御用かな。」
「こちらの受付が懸賞金の支払いを拒んでいる。支払うよう言ってくれ。」
「ギルドの規定での、懸賞金は討伐者にしか支払いができんのじゃ。悪いの坊主。」
「・・・・・。」
怒って良いよな。只でさえ人を切ってもやもやしていた所を、2時間以上話し合いをして、その上この対応。
ギルド長の目を見ながら、魔力と気を開放し、放出量をどんどん上げていく。後ろとカウンターや2階で人が倒れる音がする。さらに上げていく、ギルド長の顔色が真っ青になり、脂汗が落ち始める。俺の右手に、ラナ母さんが転移し、左に影からアマリリスが出てくる。
最近、なぜか魔力に敵意を込めて放出すると、この2人がすぐ飛んでくるのは何故だろう?ちなみに呼んではいない。
「母さん、アマリリス、大丈夫。ただ実力を見せてあげてるだけだから。」
放出を止めて、ギルド長の目を見てもう一度言う。
「討伐者に、懸賞金を支払え。」
「!!」
慌てて、やっと支払う気になったようだ。長く掛かりすぎだ。
ここでやっと布が開けられて首が確認された。
「!!」
ギルド長が絶句する。動きが固まり、待つこと10分。
「いい加減、支払ってくれ。」
あきれて言うと、やっと手続きしてくれた。カードを返してもらい確かめると精神が少し上がったのと、ランクがFになり35万C入っていた。
やった、これで迷宮に入れる。明日は入ろう!
今日は、母さんもアマリリスも来たし、買い物でもして帰ろう。
「人を見る目を持たないと、いつか取り返しの付かない失敗をしますよ。では。」
要らんお世話かも知れないが、忠告だけはしておく。守るかどうかは、本人の自由だしね。
余談ですが、この後買い物でさらにつかれました。・・・女性の買い物怖い。
感想や誤字、脱字のご指摘ありがとうございます。読んだ以降はご指摘されたことに気をつけて書いています。改稿は話が煮つまった時、まとめて手をつけさせてもらいます。今は、毎日頭の中で主人公が勝手に活躍する話が浮かんでくるので、話をどんどん進めさせてもらいます。(こうなってほしいと願望満載)
しばらくは話を進めさせてます。
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