大須演芸場:経営難の半世紀…芸人やファン、存続希望

毎日新聞 2013年11月15日 08時00分

名古屋おもてなし武将隊と海演隊による大喜利で盛り上がる大須演芸場。だが、通常公演では客が数人という日も珍しくない=名古屋市中区で2011年10月27日、山田泰生撮影
名古屋おもてなし武将隊と海演隊による大喜利で盛り上がる大須演芸場。だが、通常公演では客が数人という日も珍しくない=名古屋市中区で2011年10月27日、山田泰生撮影

 賃料滞納が原因で引き渡されることになった「大須演芸場」(名古屋市中区)の半世紀は、そのまま経営難の歴史だ。「高座に上がってみたらお客は1人だけ。マンツーマンだと客も演者もつらい」などと芸人たちがギャグに振るほど、通常公演は不調続きだった。しかし、同演芸場を拠点に活動する芸人は多く、名古屋唯一の常設演芸場の行く末に、芸人や演芸ファンらの関心が集まりそうだ。【尾崎稔裕】

 関係者の援助の手は幾度となく大須演芸場に差し伸べられた。1990年からは人気落語家の故古今亭志ん朝さんが10年連続で3日間連続の独演会を、同じ90年代には故ミヤコ蝶々さんが3年連続でトークショーを、それぞれボランティアで開催した。

 ブレーク前の明石家さんまさんやビートたけしさんは70年代、大須に出演し、楽屋に寝泊まりした。楽屋にはさんまさんの「今日も客なし。明日は?」との落書きが残る。たけしさんのヒット曲「浅草キッド」で歌う「いつか売れると信じてた 客が2人の演芸場で」は大須の体験という。

 大須演芸場は、経営再建中の劇場・御園座(中区)と共に、「芸どころ名古屋」を象徴する存在だ。歌舞伎などを上演する御園座に対し、大須は落語などをいつでも味わえる大衆演芸の拠点としての役割を果たしてきた。

 落語立川流を離れ、弟弟子の幸福さん(41)と共に2003年から大須演芸場を拠点に活動する雷門獅篭(しかご)さん(42)は「落語を続けることで、お客さんも徐々にだが増えている。名古屋の演芸拠点がなくなってほしくない」と存続を切望している。

 ◇足立席亭、「強制執行」2度目

 大須演芸場の所有者は3代、席亭は2代にわたる。代替わりの背景はいずれも経済事情だった。足立秀夫席亭が建物引き渡しの強制執行の対象になるのは2度目だ。

 前回の強制執行は85年8月。足立席亭の前の経営者で建物の初代所有者でもあったA興業に対する債権を持つ2代目所有者のB商事が申し立てた。足立席亭の当時の賃料滞納額は1000万円超。明け渡し期限当日、足立席亭が賃料を1万円の日払いにすると提案、B商事が受け入れて執行は回避された。

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