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分かり安く、この世界の単位を重さ、長さ共にグラムと、メートルで表示してみます。
基本ハッピーエンドにしたいので不幸の描写をしていきます。
1話  始まりの話
  <エイブ大陸>

 ここは<アースリア>という世界に在る、大小6つの大陸。その世界の北東に位置する大陸。

 この大陸には、西に獣人の国、北に龍人の国、北東にエルフの国、東と南側に大小さまざまな、人の国がひしめき合っている。

 この世界には、魔物モンスターが存在し、特徴として、基本的に目が赤く発光している。そんな生物の存在が、国同士のいざこざを、抑制しているところがあったりする。何年かに1度ある魔物の侵攻によって人々は、自ら国を維持していくのに必死であった。

 そんな世界であるので、この大陸の中ですら、3分の1は未開の地となっていた。



 この物語はエルフの国の、南の端にある、<龍の山>より始まる。

--サイド???--

 その山は、もともとはただの山でしかなかったが、80年前ぐらいに1組の白龍の夫婦が住み着いたことにより、<龍の山>と近くに在るエルフの村から呼ばれるようになった。

 白龍とは光を司る龍とされ、性格はいたって温和、理性と知性を兼ね備えた龍と呼ばれた。この夫婦もこの山の3分の2の高さに有る洞窟を住みかにしてから、エルフの村と近所付き合いをしているほどである。
 あるときは、山の近所の魔物を掃除して、その魔物の素材をおすそ分けしたり、またあるときは村が魔物に襲われると、助けに飛んだりとなかなかいそがしかった。

 2年前、この夫婦に不幸が訪れた。

 ちょうど白龍の奥方が、子供が授かったのが分かった日、エルフの村が魔物に襲撃された。夫の白龍は、奥方に安静をとる様にいい、洞窟をあとにした。
 その日の襲撃は、いつもより数が多く、エルフの人たちにも死傷者が何人か出ていたが、なんとか凌いでいた。この日は、魔物が残り5分の1になったとき、2匹の魔物が突っ込んできた。

 魔物の名前は、デイルドラゴン、見た目は肉食恐竜に牛の角を付けて、サーベル状の2本の長い牙をつけた感じで、体長は大きいもので、7mほどになる。動きは敏捷で、羽が無いので空は飛べない。

 いつもであったら、傷を負いつつも負けることの無い魔物であったが、いくつかの不運が重なった。1つ、夫婦でこなかった。1つ、正面のデイルドラゴンのブレスがちょうど射線上にエルフ達がいた。1つ、側面に回ったデイルドラゴンに脇腹を噛まれ後ろ足でお腹を大きく裂かれてしまった。1つ、近くに高位の回復魔法を使えるエルフがいなかった。どれか1つでも無ければ、夫の白龍が死ぬことは無かったはずである。

 夫の白龍は、2匹のデイルドラゴンと相打ちとなり死んでしまった。

 エルフからの知らせを聞いた奥方は、すぐに夫の元に急行したが、そこには冷たくなった、1体の白龍の遺体が横たわっていた。

「ガアアアァァァーーーー!!!!」

 残った魔物の虐殺が始まる!噛み千切り、引き裂き、踏み潰し、なぎ払い、焼き尽くす。

 全ての魔物を殺し尽くした白龍の奥方は、全身を赤黒く染め上げ、静かに夫の遺体のもとへ戻っていった。

 無言のままそっと夫の遺体を抱きかかえ、山へと帰っていった。

 その後、山頂付近の見晴らしの良い場所に、大きな岩で出来た5mほどのお墓ができていた。


 それから2年の月日が流れた。

 白龍の奥方は、出産を迎えていた。通常龍の妊娠期間は3年で、卵で出産しその後1週間して卵から孵化する。この奥方は、龍の中でかなりの早産に当たる。

 不幸は重なる。

 この2年の間、失意の中で精神的に弱っていたこと。1体で孤独にいるので、満足な食事を取っていないことなどが大きな原因だったかもしれない。

 生まれた卵は、最初から生命力が弱く、母親は魔力と生命力をそそいでいった。

 3日後、何とか子供が卵から出てきたが、産声を上げることも無かった。さらに母親は魔力と生命力をそそいでいった。

 2日後の母親が少しの間うとうとした間に、名も無き白龍の子供は息を引き取っていた。

 3日3晩辺りに、白龍の母親の嘆きが響いていた。


 そして4日目の今日、物語は、動きはじめる。



 朝日を浴びて、白龍の母親はゆっくりと、起きだした。そっと我が子の遺体を抱きしめ、山頂へ飛び立った。

 夫のお墓の横に小さな我が子のお墓をつくりその前に静かにうずくまる。

『あなた・・・、あのこを・・・お願いね。わたし、あなたの愛したこの場所を守っていきます・・。』


 昼もすぎ、日が傾き始めようとしたとき、急に心がざわめきはじめた。

『なに!・・・この感じ?・・・・』

 首を持ち上げ、目をとじ、心を澄ませる。かすかな魔力に乗って小さな思念のようなものが南の方角から漂ってくる。
 言葉にすると、怖い、いやだ、心細い、死にたくないといった本能に近い感情のまじりあったものであった。

 感じ取った瞬間、南に向かって飛び立っていた。
 そう、この白龍の母親にとってほんの3日前に我が子から感じた、小さな命の最後の叫びと同じであった。

 飛び立つと一瞬でトップスピードになり、10秒飛んだがまだ近づかない。

 さらに、10秒飛んでまだつかない。

 さらに5秒たったとき、深い森の中ほんの少しの開けた場所がみえた。そこから、子供ではありえないほどの魔力があふれ出していた。

 白龍がそちらに目をむけると、人間の赤子が狼の魔物と熊の魔物に囲まれ今にも襲い掛かられそうになっている。

 赤子からの魔力が、ふっと途絶える。

 飛んできたスピードのまま、白龍が突っ込んでいく。
『間に合ってーーーーーーーー!!!!』

「ガアアアアァァァーーーーーー!!!」




--サイド敏夫--

 ほんの少し前、敏夫は目を覚ました。それは昼寝をしていた時、夕方まで寝過ごして、ふっと目を開けたときと似ていた。寝すぎて体がだるいような、そんな感じがしている。

(あれ?・・・なんで・・?。確か死んだんじゃ・・・??)

 始めに目に飛び込んできたのは、森の中に空けている空。蒼く澄んだ、今までの人生ですら見たことの無い、輝くそらだった。感動しきりに空を見ていると、足元のほうから何かの唸り声が聞こえてくる。

「グルルルルウ・・・」
「ガルルルルーーー」

 最初におもったのは、(犬に、熊、?)だったが良く見るとかなり変だった。犬と思ったのは、どちらかといえば図鑑で見た狼に似ていて牙が長い、熊だと思ったものは、額から20cmほどの角を生やしている。そして極めつけは、目が真っ赤に発光していた。

(こんな生き物・・知らない。どうなってんの?)

 いそいで逃げようとしても、手も足も思うように動いてくれない。それだけでなく、首ですら思うように動いてくれない。あせって叫び声をあげる。

「おぎゃああーーー!!」
(おぎゃああーーー??て何??)




 赤ちゃんに、俺はなっていた・・・・・。

 声をあげたのが悪かったのか、狼もどきと、熊もどきが襲い掛かろうと体制を低くしていく。

(おい!生き返ったのに、一瞬で終わりかよ!!)

 そう思ったとき、それが空から咆哮と共に降ってきた。


「ガアアアアァァァーーーーーー!!!」

 太陽の光に反射した、きれいな純白の鱗に覆われた身体。蝙蝠の様な皮膜の純白の翼。すらっとした長い純白の尻尾。そして何より深い知性と、怒りをたたえた金色の瞳。そう真っ白なドラゴン。

 ドオオオーーンン!!!!

 大きな衝撃と共に、そのドラゴンは熊もどきの上に着地し、一瞬で踏み潰した。そして、振り返り、腕の一閃で狼もどきの頭をふきとばした。
 本当なら生き物がミンチになった、血でむせ返るような、空気の中で恐怖を感じるはずが、あまりの混乱と現実味の無さのため、思ったことはただ1言。

「あぶいー・・・キャッキャウアーー」
(綺麗だ・・・かっこいい・・・)

 さっきまでと違い、とても優しい目で覗くドラゴンに触ってみたくて、必死に短い手を伸ばす。すると暖かい空気に包まれて体が浮かび上がった。

(うわあー。浮いてる・・。)

 白いドラゴンの胸の高さまで浮かび上がると、そのままそっとドラゴンの手に包まれて空へと舞い上がっていった。



 これが、この世界での母親である白龍ラナイアウェルとの出会いであった。












今回時間がかかりましたが、95パーセント以上書いて、本文が飛んでしまいました。また気力を出すのに時間がかかったしだいです。申し訳ありませんでした。


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