レアアース

T:レアアースとは
レアアースは材料に少し加えただけで、その材料の性質を一変させるという特徴から、ハイテクの調味料と言われているそうです。

  元素記号 名称 使途 日本での需要割合
重希土  Sc スカンジウム 軽量高強度合金、球状の照明
Y イットリウム 高温超電導物質、協力なレーザー 2.8%
軽希土 La ランタン 水素吸蔵合金、コンデンサー 11.9% ミッシュメタル:15.6%
Ce セリウム 青色蛍光体、自動車用排ガス洗浄、ガラス基盤の研磨剤 45.3%
Pr プラセオジム 黄緑色ガラス着色剤
Nd ネオジム 高磁場永久磁石、電気自動車 20.5%
Pm プロメチウム 原子力電池
Sm サマリウム 永久磁石、レーザー
中希土 Eu ユウロピウム 赤色蛍光体
重希土 Gd ガドリニウム 光磁気記録
Tb テルビウム 緑色蛍光体、光磁気記録
Dy ジスプロシウム 蛍光塗料、光磁気記録、電気自動車
Ho ホルミウム 淡黄色ガラス着色剤
Er エルビウム 光ファイバー、桃色ガラス着色剤
Tm ツリウム 青色蛍光体、エックス線源
Yb イッテルビウム 黄緑色ガラス着色剤
Lu ルテチウム 医療用β線源に期待

蛍光関連、着色剤、磁気、磁石、レーザー、電池、合金、自動車など、様々な用途があるのですね。
ちなみにミッシュメタルというのはランタン〜ルテチウムまでの合成物のようで、セリウムが40〜50%、ランタンが20〜40%含むそうです。よって日本でのセリウム・ランタンの国内需要割合はもう少し高くなるのですね。

U:中国の資源外交と日本の対策
中国がレアアースを武器に資源外交をおこなったことはこちらを。ことの発端は2010年9月の中国漁船衝突事件です。
この時中国は日本への輸出を絞ることで、船長の解放をさせました。これは日本外交の大失態です。中国に屈したと世界に醜態をさらしたわけですから。。。

U−T:中国の資源外交の影響 〜セリウム〜
影響はすぐに出てきました。
日本でレアアースの使用量の5割を占めるセリウムです。液晶向け研磨剤ということで、液晶パネル用ガラス基板(TVや携帯)、やハードディスク駆動装置(HDD)向けのガラス基板などへの研磨剤として使用します。

●セリウムの流れ

価格高騰を川中である液晶用ガラス基板研磨剤メーカーが転嫁し始めました。2010年11月からは9月の4倍にもなります。

液晶用ガラス基板研磨剤メーカーで挙げた三社(昭和電工・三井金属・太陽鉱工)は、国内シェアが9割にもなりますが、川下の液晶用ガラスメーカーです。
液晶用ガラスメーカー世界シェア2位の旭硝子は、世界シェア25%で2位とは言え、1位のアメリカ:コ―ニング、3位の日本電気硝子はセリウムを使用しないで作れるようなので、買い負け状況に陥り、代替材料の開発着手を検討したようです。



U−U:やはりすごい日本!
しかし日本はやはり技術大国。そして失敗から学べる国なのです。下記に示すごとく対策していくことで、なんと事件当時は中国からのレアアースに9割依存していたのが、2012年には5割まで低下したのです。

対策 企業  内容  対象レアアース 
レアアース
権益拡大        
U−V参照<アメリカ・オーストラリア・カザフスタン・ベトナムを投資重点国として国が支援:商社が権益拡大>        
代替材料
新技術
(使用料削減)   
日立製作所・ダイキン工業  酸化鉄を利用したフェライト磁石でモーター開発 ネオジム・ランタン不要 
TDK フェライト磁石開発  ネオジム・ランタン不要 
帝人・東北大学:鉄と窒素を利用  鉄と窒素を利用  ネオジム不要 
東芝 サマリウム(米・豪で採取)を利用 ジスプロシウム不要 
東北大・インターメタリックス)
トヨタ・TDKなど8機関 
ネオジム焼結磁石の結晶粒子小型化  ジスプロシム使用量4割削減 
日立製作所・英ノッティンガム大学など  ジスプロシム含有磁石の代替材料  ジスプロシウム使用量削減 
パナソニック・三菱化学
産業技術総合研究所など 
高性能蛍光灯使用  テルビウム
ユウロピウム使用量2割削減 
リサイクル      信越化学工業・日立製作所  磁石の製造過程で出る切削くず利用 ジスプロシウム(使用量5割削減) 
信越化学工業  ベトナムで使用済み磁石から回収   
日立製作所  廃家電から回収する装置開発   
中央電気工業  ベトナムでリサイクル工場建設   
昭和電工  ベトナムでリサイクル工場  ジスプロシウム・ネオジム回収 
東芝  カザフスタンでウラン採掘時に回収  ジスプロシウム・ネオジム回収 
三菱マテリアル・ホンダ  HVのモーターから回収   
三菱電機  廃家電から回収   

U−V:権益拡大について 〜ここでも活躍の日本の商社〜

●日本、重点対象4ヶ国を決める
日本はアメリカ・オーストラリア・カザフスタン・ベトナムを重点国とし、レアアースの供給安定化を計ります。カザフスタンは旧ソ連圏で、レアアースの埋蔵量も多い国です。アメリカ・オーストラリアも3位・4位で埋蔵量が多いです。
6位以下のその他に組み込まれているベトナムに対しては、政府間で共同開発に合意し、現在、豊田通商・双日が鉱山開発に取り組んでいます。ここに住友商事も新規参入します。


●インドも重点国にし、結びつきを強めるべき
インドですが、埋蔵量は世界5位だし、今回のを機に、重点国に入れるべきなのではないでしょうか?
中国の対立しているインドを取り込むのは、領土問題で強気に攻めてきた中国に対抗するにもメリットになります。

●今一つの注目国はマレーシア
2012年9月、経済産業省はマレーシアでのレアアース調査に乗り出します。ゼノタイム鉱床と呼ばれる鉱床があり、ジスプロシウムを豊富に含むのです。中国は輸出規制において、特に中・重希土を重点的に絞ろうとしています(2011年12月から:T−T参照)。よってジスプロシウム対策としてゼノタイム鉱床が存在するマレーシアに目を向けたのです。


●商社の権益について
日本政府の方針に従い、実際レアアースを調達するのは商社です。中国からのレアアース輸入を手がけている住友商事・三菱商事・双日で、日本輸入量の半分を占めているのですが、これら商社が中国以外の国で権益を拡大しています。ここでも大活躍です(日本の項目D参照)。

商社  権益場所  量  時期  特記事項 
住友商事     アメリカ  2000t  開始  開発会社米モリコープ社から調達契約 
カザフスタン  3000t  12年末 
インドネシア  1000〜2000t  14年  すず鉱山から採取 
ベトナム     参画検討 
三菱商事   アメリカ  1000t  開始  開発会社米モリコープ社から調達契約 
ブラジル    開始  生産事業に参画 
双日    オーストラリア  9000t  12年末  将来的にはパートナーの豪ライナス社の株式取得も検討(JOGMECに支援要請予定) 
ベトナム  3000t  12年末  豊田通商と共同で 
カナダ      中国が特に規制を強めるジスプロシウムなど重希土を中心に採掘 
豊田通商    ベトナム   3000t   12年末  双日と共同で 
インド  4000t  13年秋から 信越化学と共同で。
インド系政府企業:インディアン・レアアース社から調達し分離・精製を。
丸紅  南アフリカ    開始  リン鉱石からレアアースを取り出す研究に着手 

豊田通商はインドの重要性を分かっていたようです。
日本はおよそ年3万tを輸入しています。上に示した数字だけで12年末には権益が1万8千tになります。インドやインドネシアを含めていくと、中国には本当に頼らなくてよくなりますね!


V:貴重な外交カードを失った中国
以上の日本の対策により、9割の依存から5割にまで低下。中国は貴重な外交カードを失ったのです。(中国のレアアース外交Vも参照

V−T:日本がもう一つ、すごいと感じた点
日本がすごいついでにもう一つ、やるなと感じたことを。
中国はレアアース輸出規制を武器に、2011年11月に自国へ加工技術を持ち込めば輸出規制はしないという政策を実施しました(V参照)。巧みですね。
これに困った川中企業のTDKと昭和電工は共同で、中国へ加工合弁会社を立ち上げようとしました。2012年4月のことです。
7月、日本政府はこれに待ったをかけたのです!輸出貿易管理令という法令を盾にしました。安全保障上の観点から日本政府が待ったをかけれるという法令です。

日本の貴重な技術は渡さない!という意思の表れです。レアアース合金技術・高性能ネオジム磁石技術。ご覧下さい。いずれも日本勢だけで世界シェア全てを独占しているのですから!






W:注目の海底鉱床!その量地上の1000倍!!
最後に東大が2011年9月に発表した海底のレアアース鉱床について触れておきます。



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