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日欧経済連携―TPPと両にらみで

日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)について、双方の首脳が協議を加速させることで合意した。今春に交渉を始めて以来、すでに会合を3回開いたが、はかばかしくないよ[記事全文]

過疎と観光―セトゲイの成功に学ぶ

過疎、高齢化、産業の衰退――。先行きが見えない離島に、これほど人を引き寄せる日が来ると誰が想像しただろう。瀬戸内海をのぞむ高松港。島々へ向かう大小のフェリーは、若い女性[記事全文]

日欧経済連携―TPPと両にらみで

 日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)について、双方の首脳が協議を加速させることで合意した。

 今春に交渉を始めて以来、すでに会合を3回開いたが、はかばかしくないようだ。EUは来春時点で日本の姿勢を判断し、非関税障壁の撤廃への取り組みが不十分な場合は、交渉を中止するという。

 経済連携では、米国が主導する環太平洋経済連携協定(TPP)に関心が集まるが、5億人の市場と日本の3倍の域内総生産(GDP)を持つEUとの関係強化も欠かせない。

 米国とEUは環大西洋貿易投資協定(TTIP)の交渉を進めている。両者だけで事実上の世界ルールが決まる事態を避けるためにも、米欧の双方としっかり向き合う必要がある。

 EUが照準を定める非関税障壁の見直しでは、自動車の安全・環境基準、食品添加物や酒類の販売免許のあり方、医療機器・医薬品分野での基準や規制緩和が議題になっている。

 TPPや、TPPと並行した日米協議とも重なるテーマが少なくない。欧州は米国と比べて「安全・安心」への意識が高いとされる。EUとのルールづくりは、TPPにも好ましい影響を期待できるのではないか。

 一方、日本側が求めるのは、EUが工業製品などに課している関税の撤廃だ。10%の乗用車をはじめ、トラックやテレビなど、税率がなお2けたの品目が目につく。

 EUは2年前に韓国との間で自由貿易協定(FTA)を発効させ、自動車などの関税をおおむね2016年までに撤廃する。韓国と比べて日本のメーカーが不利になる状況を放置してはいられない。

 先進国から新興国までを含むTPPでは、テーマごとに利害が複雑にからみあう。それを生かし、さまざまに合従連衡することで、米国にも妥協を迫る道が開ける。

 これに対し、EUとの交渉は一対一だ。厳しい判断を迫られる場面が増えよう。

 EUが最近合意したカナダとのFTAでは、関税をゼロとする割合(自由化率)が全品目では100%近く、農産品に限っても90%を優に超えた。日本がこれまで結んできた協定では、農産品を中心に多くの例外品目を設けており、全品目での自由化率は90%に及ばない。

 EUも、TPPに劣らない「高い水準」の自由化をめざす姿勢が鮮明だ。政府はTPPとの両にらみで、粘り強く交渉してほしい。

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過疎と観光―セトゲイの成功に学ぶ

 過疎、高齢化、産業の衰退――。先行きが見えない離島に、これほど人を引き寄せる日が来ると誰が想像しただろう。

 瀬戸内海をのぞむ高松港。島々へ向かう大小のフェリーは、若い女性や家族連れ、外国人らで朝から満員。離島を舞台に開かれ4日に閉幕した「瀬戸内国際芸術祭」の光景だ。セトゲイの愛称も定着した。

 12の島々を中心にちらばった作品を見るには、苦行のような不便さが待っている。車は入れず、坂を徒歩や貸自転車で移動するしかない島も多い。

 それでも人々は古びた空き家や棚田にある作品をみて回る。主催者によると、3年前の初回は予想の3倍を超える93万人、今年も107万人が来た。

 都会から観光客を呼ぼうと苦闘を続けた地方の歴史は、失敗の連続といっていい。なぜセトゲイは成功したのだろう。

 一つは「あるものを生かす」発想に立ったことだ。

 バブル期には全国にゴルフ場やスキー場ができた。東京ディズニーランド(TDL)の成功後はテーマパークが流行。いずれも「ないものをつくる」ことで集客を試みた。だが、追加投資で新しさを演出し続けないと飽きられ、次々倒れた。

 セトゲイの主役は島々を主題にしたアートだ。だが、作品鑑賞だけでなく、「島へ渡るだけで楽しかった」との声を聞く。

 離島は、効率化、均質化された現代社会とは対極の場所だ。場所によって産業も町並みも食べ物も違う。ハンセン病の隔離政策に使われたり、ゴミが大量に不法投棄されたり、近代化の負の歴史を背負わされた島もある。それでも人々は自然の恵みを受けながら、助け合い、たくましく生きている。

 それは、かつての日本の風景だ。我々が求めた過度な豊かさや情報は、本当に人を幸せにするのか。島は、そんなことを振り返る時をくれる。宝は足元にあったのだ。

 芸術祭を動かしたエンジンにも注目したい。

 アートは道路のように利便性を生む存在ではない。それどころか手がかかる。展示場を借りる交渉から空き家の掃除、作品制作まで、都会のボランティアも島のお年寄りも損得ぬきで力を合わせないと完成しない。

 こうしたかかわりが島の活気を生んでいる。補助金をもらうのでなく、あてにされ、人とつながることが笑顔を育て、祭りを盛り上げる力となった。

 事業費は10億円あまり。TDL総事業費の180分の1で、これだけのことができる。

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