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  俺の彼女は聖剣です。 作者:炎雷
今回は短いですw
戦力差がありすぎてww
相棒
聖剣。アストラエア

万物を断ち、魔を滅する力を要したというそれは、かつて剣の勇者として知られた少年。ロイが手にしたと言われている、伝説の剣。
そして今、その剣が、俺の手の中にある。

――どうしてこうなった?

俺は左手にある鞘に収まった、見事な金色の長剣を見ながら、「はあ」とため息をついた。
先程、あの勇者が自分だという衝撃の事実を叩きつけられた時。俺は、多分何かの間違いだろうと思っていた。
今まで<出来損ない>だの<異常者だの>言われた俺が、人類の救世主な訳が無いと、本気にしていなかった。

でも、本の中でも登場した、伝説の剣を、俺は手にしてしまっている。
つまり、俺は<出来損ない>でも、<異常者>でもなく、<英雄>
冗談抜きで、2代目『剣の勇者』らしい。

――うん。どうしてこうなった?

また、ため息が漏れる。これ程ため息をついたのは、久し振りのような気がする。
だってさ。人殺しまでして、せっかく自由になれたと思ったのに、勇者だぞ?
つまりは、俺の大ッ嫌いな、直ぐにでも斬り殺しに行きたいくらい大っ嫌いな、貴族の道具だぞ?やってられるかってーの。

まあ、いいか。勇者ってやつに興味はないし、貴族に言われたからって、はいはい戦いますよーなんて言うつもりはない。
俺が人類のために生命賭けで戦ってやる道理はないし、義理もない。
俺が戦うのは、自分のためと、ギルドの家族のためだけだ。だから、ミノタウロスを倒したら、ギルドに帰って、楽しく暮らそう。

聖剣なんてものを手にしちまったけど、まあ、好都合じゃないか。これで家族を守れるんだ。貴族のやつらは勝手にやってろ。

――だからさ……

「遊びは終わりだ。魔物くん」

俺は、右手に持っていた剣を地面に置き、ミノタウロスの方に振り向いて、静かに言った。
ミノタウロスは、いつの間にか、俺のすぐ近くまで来ていた。そして「グルル……」と呻くと。

「儂も、さっさとお前を殺して、お前の恋人を頂くとしよう。この辺にいるようだしな」

完全に視界が潰れているようで、そんなことを言ってきた。
つまり、聖剣にも気づいていないのか。これは好都合だぜ。

「そうか。じゃあ……そろそろ終わりにするか」

俺は左手にある剣の柄に手をやって、それをしっかりと握ると、ゆっくりと抜き放った。
ティアの髪のような、キラキラと輝くその刀身は、月の光を受けて、美しく輝く。
一度空にブンッ!と振ると、心地よいほどの重さと、俺のために作られたかのように、しっかりと手に馴染むのがわかった。

「いい剣だ……」

小さく呟き、剣に微笑む。すると、ティアの照れたような声が聞こえた気がした。
とりあえず剣と鞘、どちらがティアなのかわからないので、鞘は左手に持ったまま、剣は右手に吊るし、神経を集中させる。

「くたばれええええ!こぞおおおおお!」

ミノタウロスが叫び、斧を振るってくる。それを俺は、

「……加速」

呟いて、大きく相手に向かって踏み出し、ミノタウロスの股の下を潜るようにして、相手の背後に回った。
そのまま数歩歩き、距離を取ったあと、加速を停止する。

そして俺の背後で斧を振り切ったミノタウロスは、

「ぐ……がああああ!!!!!」

そんな叫びを上げて、蹲った。
その両手は、自分の股間を押さえている。
まあ、股間から血が出てることとから分かる通り……

――俺は股を潜る時、奴の股間を叩き切ってやった。

振り返ってミノタウロスの方を見てみると。うむ、いい感じに棒と玉が切れてるのが分かる。
地面に落ちたそれを確認して、俺は腹からこみ上げてきたものを我慢できず。

「ぎゃははははは!去勢してやったぜええ!ねえねえ?どんな気持ち?女の子大好きなのに、ぶち込めなくなってどんな気持ち?アレがなくなって、女になった感想教えてよ!?ミノ子ちゃん?ギャハハハハ!」

腹を抑えてのたうち回った。ひい!腹いてえ!
それに大爆笑していると、ミノタウロスは地面に落ちた自分のブツを見ながら、ボロボロと涙を流し始め、

「こ、こぞ……こぞおお!……こぞおおおおおお!」

大号泣しながら立ち上がり、斧を振り上げた。
俺もそれに顔を上げ、ミノタウロスの股間から血が噴射しているのが綺麗に見えて、こみ上げてくるものを抑えながら聖剣を掴んで横に転がった。
瞬間、俺のいた所に斧が突き刺さり、地面を揺らす。俺はその揺れを我慢しながら直ぐに立ち上がると、剣を振り上げ、

――地面に突き刺さっていた斧に叩きつけて、真っ二つに切り裂いた。

おお。これはすげえ、マジで切れ味やばいじゃん!伝説の剣っていうのも、伊達じゃないらしい。
それを確認して、まだ剣についていろいろ考えていたかったが、とりあえず止めを刺すことにした俺は、小さく、

「加速」

と呟いて、ミノタウロスの両肩、両足の付け根に剣を振った。
軽くバックステップして距離を取ると、意識を緩め、加速を停止する。
そして戻ってきた世界で、俺の視界に飛び込んできたのは、

「ぶぎゃあああああ!!!!!!!!!!!」

両腕、両足を失ったミノタウロスの苦悶の声と、舞い上がる血しぶきの雨だった。
そしてドッ!と音を立てて、首と胴体だけになったミノタウロスが、地面に落ちるのを見て、俺は奴の傍までゆっくりと歩き。

「どうだ?俺は虫けらだったか?」

ミノタウロスの顔を見下ろしながら、ニヤッと笑ってやった。
それにミノタウロスは、

「ふぐぐぐ……虫けらどころか……化物……であった……まさか儂が、こんな小僧に、こうも一方的にやられるとは……」

潰れてしまって、もう見えていない目から涙を流しながら、小さく呻いた。
それに俺はニヤニヤしたまま、

「まあ、俺は人間の間でも化物扱いされてるからな。相手が悪かったんだよ。オカマさん」

そんな言葉をかけてやる。
するとミノタウロスも弱々しく笑って、

「ガハハ……それならば……仕方……ない。ぶ、武士の情けだ……儂の首を切って、トドメを刺してはもらえんか?その方が……誇りを持って……死ねる」

もう出血のせいで死にかけている様子の魔物は、そんなお願いを俺にしてきた。だから俺は……

「やだね。屈辱にまみれて死ね。ば~か」

舌をぺろっと出して、そう言ってやった。
それにミノタウロスは小さく。

「グフッ……本当に……悪魔の如き……にんげ……」

言い終わる前に、絶命した。
それを見て、俺ははあと息を吐いたあと、剣を一閃し、ミノタウロスの首を切り落として、

「じゃ。死んだからこれ、貰っていくわ」

切り落とした首を見ながら、ニヤリと笑ってやった。
そして聖剣をブンブンと軽く振って地を落とし、拭うものがないので、そのまま鞘に収めると……

眩い光が、俺の視界を覆い尽くした。

それを見ながら、俺は……

「お疲れ。ティア」

光の中から現れた、相棒となった少女に、満面の笑みを浮かべた。


聖剣の名前、正直、思いつきません!
なので仮名でwww

名前案があれば、募集しますw
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