あぁ、ちきりんさんが個人的に大変ツボな記事を書かれています。すばらしい。
「AともいえるがBともいえる」とか言う人の役立たなさ - Chikirinの日記
「Aともいえるが、Bともいえる」
若い人が一生懸命考えて、「こうすべきだと思います! だって、消費者はこれを求めているからです!」と言ってきたとします。その案は稚拙かもしれないし、情報も未整備だし不足してるかもしれない。それでも、
「そういう消費者もいるだろうが、そうじゃない消費者もいる」
みたいなことを言う上司になるのは、ほんとーにやめた方がいい。「そうじゃない。消費者の求めているのはこっちだ!」と言えないなら、せめて「それは違う」くらいまでは言わないと。
「AともいえるがBともいえる」みたいな言い方の問題点に気が付かず、悦に入ってそんなことばっかり言ってると、ほんとーに役立たない人になっちゃいますよ。
あるあるすぎて涙が出そうです。これを「有効な批判」だと思い込んでいる人が多すぎます。
たとえば、ちょうど先日「2万円+月額525円で冷蔵庫の中身が見れる!東芝の「カメラ付き冷蔵庫」に見る、日本のモノづくりの課題」という記事を書きました。「ニーズの検証を十分にせずに商品開発、価格設定、リリースをしているのではないか。リーン・スタートアップの概念を日本のものづくりにも取り込むべきだ」という指摘です。すると、こんな批判をいただきました。
あー、イケダハヤト君がまたやっちゃった?想像力ないなぁ。介護やデイケアが必要な人にとっては、かなり画期的だと思うけど。>2万円+月額525円で冷蔵庫の中身が見れる! - ihayato.書店 http://t.co/idbUq6bY5f
— 古井広 告屋 (@aged_adman) 2013, 11月 20
彼の言いたいことはよくわかりませんが、「イケダハヤトはニーズがあることを見落としている!」という指摘なのでしょう。そもそも記事中では「超ニッチなニーズを抱えている人にかぎられるのではないか」と書いてるんですけどね。
例外を指摘してご満悦に浸る人は、本当に多いです。こちらはそういう例外があるのは「前提」として、自分の意見を自分の立場で述べているというのに。想像力が足りませんね。
例外を指摘して論破した気になる人たちは、自分の言葉で何かを断定したことがないのでしょう。「AともいえるがBともいえる」という批判をする人は、他でもない自分に対しても、その批判を向けているのです。
自分の意見を語るということは「AともいえるがBともいえる」を乗り越えることであるわけですが、臆病な人にはそれができません。「消費者はこれを求めているからです!」と断定したくても、頭のなかで臆病な自分が「いや、「AともいえるがBともいえるよな…」と抑制を掛けてしまうのです。
ちきりんさんが語るように「AともいえるがBともいえる」というのは「そりゃーそうでしょ」という「当たり前」のことです。その前提を超えて結論を出すということが、自分の頭で考えるということでしょう。
本質的に、否定や批判なんて簡単なんですよ。どんな主張にだって、表面的な否定はできてしまいます。それこそ「人生は一切、苦である」というブッダが語る真理にすら、ぼくらは「いや、幸せなときもある!」と「論破」することができます(無論、ブッダはそういう論理は軽く一蹴するのですが)。
本当に難しいのは、自分なりの意見を断定的に語ることです。「AともいえるがBともいえる」という当たり前の地点に留まらないようにしてください。また、そういう人とは距離を置くようにしましょう。
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