ライフ【主張】沖縄の教科書採択 いつまでも法無視するな2013.11.25 03:28

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【主張】
沖縄の教科書採択 いつまでも法無視するな

2013.11.25 03:28 主張

 沖縄県竹富町の教科書採択問題で、是正要求の指示を受けた県教育委員会が従わない異例の事態となっている。下村博文文部科学相が沖縄県教委幹部を文科省に呼び、強く指導する考えを示したのは当然である。

 地方自治法で最も強い措置である是正要求の指示が出されて1カ月以上たつ。沖縄県教委は「重く受け止める」としながら、2度の教委の定例会で対応を先送りにしており、是正する意思がみえない。

 県教委は、竹富町が町民からの寄付で独自に教科書を配布していることに「大きな問題は生じていない」としているが、考え違いも甚だしい。

 竹富町は石垣市や与那国町と3市町でつくる八重山採択地区協議会で教科書を選んでいる。平成23年夏の採択で、協議会は中学公民教科書に育鵬社版を採択したのに、竹富町は東京書籍版の使用を24年春から強行している。

 教科書無償措置法で、複数の市町村が組んで選ぶ場合の採択ルールが定められており、これに違反しているのは明らかだ。正式な手続きを無視し、好きな教科書を自腹で勝手に配るような行為を認めてしまっては、採択制度が根底から揺らぐ。教育への信頼に関わる重大な問題である。

 沖縄県教委はこうした事態に適切な指導を行わないばかりか、協議会の採択に不当に介入し、混乱させた。極めて責任は重い。

 協議会での採択は、従来、教員らの人気投票によって事実上選ばれていたが、教育委員が責任を持って選ぶ方式に改めた。教職員組合などの特定の政治主張を排し、公正な採択を行うためだ。

 協議会は尖閣諸島を抱える地域性などを踏まえ、領土の記述などに厚い育鵬社教科書を選んだ。ところが県教委はルール無視の竹富町を指導せず、採択をやり直すよう介入した問題も起きた。

 地元メディアを含め育鵬社などの歴史、公民教科書への激しい反対運動が起きており、これに迎合したととられかねない。

 沖縄県教委は是正要求に対し「地方分権の流れに逆行する」と反発しているが、分権には教育を正常化する責任や信頼が伴わねばならない。県教委が真摯(しんし)に対応しているとは思えない。是正への対応が望めないなら、教育への信頼のため、国が竹富町に直接、是正を求める措置も必要となろう。

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