【九州場所】日馬、１敗死守！５場所ぶりＶへ「全身全霊」

　◆大相撲九州場所１４日目　○日馬富士（寄り切り）鶴竜●（２３日・福岡国際センター）　大関・稀勢の里が全勝の横綱・白鵬を上手投げで裏返し、来場所の綱取りに向けて大きな白星を挙げた。横綱を連日破った２７歳に興奮した館内は、異例の「バンザイコール」に包まれた。横綱・日馬富士が大関・鶴竜を下して１敗を守ったため、初優勝の芽はなくなった。だが、２敗の稀勢の里は綱への夢をつなぐため、千秋楽を白星で締める。賜杯の行方は１敗の両横綱に絞られ、横綱同士の千秋楽相星決戦は、０８年春場所の朝青龍と白鵬の一番以来となった。

　目の前で白鵬が敗れ、館内に異様な雰囲気が流れる中でも日馬富士の集中力は途切れなかった。立ち合いで１度突き放してから鶴竜をつかまえ両まわしを取った。巻きかえに来たところを逃さずに一気に前に出て寄り切った。「自分の相撲に集中することだけを考えた」。賜杯の行方を白鵬との千秋楽結びの相星決戦へ持ち込んだ。

　１３日目に稀勢の里に敗れ、優勝争いから一歩後退。「気持ちを切り替えて集中した」と心を新たに土俵に上った。目の前で敗れたライバルを横目に「自分の流れをつくって取れた」という納得の相撲で１敗を死守した。

　５場所ぶりのＶへ向け「全身全霊で頑張ります」と短い言葉に力を込めた。ここ４場所は思うような成績を残せなかった横綱が、今年最後の一番にすべてをぶつける。