猪瀬知事　徳洲会に１億円要求？「１００％ない」と否定も

徳洲会グループからの資金提供問題で、記者の質問に答える東京都の猪瀬直樹知事 Photo By 共同

　東京都の猪瀬直樹知事（６７）が昨年１２月の知事選前、徳洲会グループから５０００万円の資金提供を受けていた問題で、現金を渡した徳田毅衆院議員（鹿児島２区）が「猪瀬氏が選挙応援で１億円要求している」と話したとする文書記録がグループ内に残っていたことが２３日、関係者の話で分かった。

　猪瀬氏は２２日の会見で「５０００万円は個人の借入金」とし、法的問題はないとの姿勢を示した上で「申し出があれば断るのは失礼だろうから」と、受け取った理由を説明していたが、具体的に金額を指定し資金提供を要求したことになり説明とは食い違う形だ。

　猪瀬氏は２３日、東京都あきる野市で記者団の質問に「そういう金額を要求した事実は１００％ありません」と否定。徳田議員側に１億円という金額を挙げたことがあるかとの問いにも「ありません」と突っぱねた。

　関係者によると、記録が残されていたのは、毅氏と父親の徳田虎雄・前徳洲会理事長（７５）とのやりとり。昨年１１月１９日、毅氏が湘南鎌倉総合病院（神奈川県鎌倉市）で療養中の虎雄氏に電話し「都知事選の応援について猪瀬氏は“１億円欲しい。残ったら返す”ということでした」などと報告。虎雄氏は「とりあえず５０００万円」と応じたとされている。

　その後、虎雄氏が「足がつかないようにしろ」「議員会館に取りに来させろ」などと指示する場面も記録されていた。猪瀬氏は２２日、授受の場所を「議員会館かもしれない」と話していた。

　猪瀬氏は徳洲会から受け取った５０００万円を各種収支報告書に記載しておらず、公職選挙法や政治資金規正法に抵触する可能性もある。

　◆猪瀬都知事に聞く◆

　――徳田議員と金額を事前に話し合ったのか
　「一切ない」
　――徳洲会側から貸したいという申し出があったのか
　「貸してくれるということはそういうことですよね」
　――資金提供を受ける前に余ったら返すという発言はしたのか
　「していません」
　――借用書の存在を知らないと話す関係者も
　「自分で書いたので存在します。議員会館で、徳田議員の前で書いて渡した」
　――借用書を公開する考えはあるか
　「公開する必要はないと思う」
　――個人の借金という説明が通じると思うのか
　「選挙の責任者や会計責任者に話していないので、個人の借金だと認識している」