阿部（右）のカウンセラーとしての期待もかかる井端（左）

　中日を自由契約になり巨人への入団が決定的となっている井端弘和内野手（３８）が、新天地で大役を任されることになりそうだ。堅実な守備や打撃といった戦力面はもちろんのこと、百戦錬磨のベテランには主力選手の“心のケア”も期待されている。チーム関係者がいう。「（阿部）慎之助のグチの聞き役ですよ。彼は責任を背負い込んでしまうところがある。近年は、その傾向がより強まっていて、精神的負担を軽くしてくれる人物が必要だという声は以前からありました」

　打ってはクリーンアップ、守っては捕手を任され、主将としてチームのまとめ役も務める阿部の精神的負担は計り知れない。最近では原監督も心配しており「慎之助のチーム」からの脱却を図ろうとしているが、実現できてないのが現状。その悪影響がはっきりと出たのが、先の日本シリーズだった。

　責任感の強さから開幕前日に「僕が打ったら勝てる。打たなきゃ負ける」とコメント。あえて自らにプレッシャーをかけるような発言には原監督から注意が入ったほど。結局、シリーズでは２２打数２安打、打率９分１厘と大ブレーキとなり、日本一連覇を逃す大きな要因となった。そんな阿部の精神的負担を軽減するのに適任なのが井端だという。今春のＷＢＣでも「チームをいかに一つにするかで悩む主将の阿部に『一人で悩むな』と声をかけたそうです。頻繁に食事にも誘われたそうで、本人も『本当に助かった』と、今でも感謝しています」（球団関係者）

　新体制となった中日では“お払い箱”となった井端だが、巨人では技術だけでなく人間性にも期待を寄せられている。