入団発表会見で原監督とグータッチする小林

　巨人は２３日、育成選手を含む新人８選手の入団発表を東京ドームでのファン感謝イベントで行い、ドラフト１位・小林誠司捕手（２４＝日本生命）はファンに一年目からの活躍を誓った。ポスト阿部の期待がかかる小林だが、意外にもチーム内からは「阿部は目指さないほうがいい」の声が上がっている。代わりに挙がったのは、死闘を繰り広げたばかりの、あの捕手の名前だった――。

　Ｇ党の大歓声の中、初めて背番号２２のユニホームに身を包んで現れた小林は原監督と感激のグータッチをかわすと「少しでも早く巨人軍の一員になって、熱い気持ちと強い気持ちを持って日本一に貢献します。よろしくお願いします！」。これに原監督は「近未来、必ずファンの皆様を喜ばし、東京ドームで大歓声を送られるような選手になると思います」と目を細めた。

　天性の肩の強さと、アマチュアトップレベルといわれる守備力が買われての１位指名。当然、期待されるのは“ポスト阿部”だ。小林も「技術も、周囲からの信頼も厚い。阿部さんのような選手を目指したい」。ところがチーム内の意見は「阿部を１００パーセント目指すことはしない方がいい」だった。

「慎之助は球界でもほとんどいない『打てる捕手』。それだけに彼にしか分からない“領域”がある。教わることも大事ではあるが、丸飲みせずに自分の洞察力をしっかり磨いてほしい」（チーム関係者）。また首脳陣の一人はこう話す。

「全体的に慎之助を目指すのは厳しいよね。体の線も細いし。守備力を磨きながら打撃も向上させるならば、楽天の嶋を参考にするのもいい。彼は打者心理や観察力などを勉強し、それを自分の打席でも生かしたことで、打撃も少しずつ向上していったからね」

　確かに嶋は、経験を積んでいくなかで打者としての技術も上げてきている。ルーキーイヤーは、当時の野村監督から毎試合のごとく説教を受け、１２５試合にマスクをかぶりながらも打率１割８分３厘と散々だった。しかし、年々打率を上げ、２０１０年には３割１分５厘の成績を残した。プロの投手に慣れてきた部分もあるが、なにより「捕手としての成長」が、決して体の大きくない嶋の打撃を向上させたといっていい。

「具体的な成績は考えてないが、どんな形でも与えられた所で一生懸命、必死にやっていきたい」という小林は、チーム内の声をどう聞くか。