９年半で１億４０００万円を着服　テレ朝「ミスターMステ」の裏の顔

　タモリ（６８）も大ショック！？　視聴率３冠王に向けてバク進中のテレビ朝日で２０日、巨額着服が発覚した。「ミュージックステーション」「タモリ倶楽部」など数多くの人気番組を手掛けていた男性プロデューサーＸ（４５）が、制作会社に制作費などを水増し請求させ、９年半の間に約１億４０００万円を私的流用したとして懲戒解雇となった。Ｘは社内調査に「国内外への旅行、服飾品に使った」と話しているが、テレ朝は刑事告訴の予定はないという。「ミスターＭステ」Ｘ氏の“裏の顔”を追跡した。

　テレ朝によると、Ｘは２００３年１１月から今年３月までの間に、外部の制作会社３社に実態のない業務の代金や、実態より高額の代金を請求させていた。

　そして、テレ朝から支払われた金をキックバックさせ私的に流用。総額は１億４１００万円に上る。

　今年８月に東京国税局の定例の税務調査で指摘され、９月から社内調査委員会を設置して判明。調査ではＸ以外に「制作費を他番組に流用するなどの目的で、いわゆる“預け金”という不適切な処理を行っていた事例が複数見つかったが、私的流用はなかった」（テレビ朝日広報部）。

　これを受け、Ｘは１９日付で懲戒解雇となり、早河洋社長（６９）が役員報酬１０％を１か月自主返上するなど、管理責任者が減給処分となった。

　テレ朝は「編成制作局に所属していた４５歳男性社員」としたが、本紙の調べで、２年ほど前に「Ｍステ」のゼネラルプロデューサーも務めたＸと判明。

　キャスティングなど大半の業務を仕切っていた。司会タモリの冠番組「タモリ倶楽部」も過去に手掛けており、タモリも大きなショックを受けているに違いない。

「長身でスラッとしていて物腰も柔らか。彼のことを悪く言う人はいませんね。Ｍステのほかにも『パパパパパフィー』や『銭形金太郎』などの人気番組に関わり、敏腕で知られてました。間違いなく出世街道に乗っていたはず」（同局関係者）

　懲戒解雇の一報に、音楽関係者は「バンドが好きで仕事熱心。下北沢のライブハウスにバンドを探しによく行ってました。Ｍステにはブレークが期待される“ヤングガン”コーナーがありますが、ほとんど彼の一存で出演バンドを決めてました。関係者やバンドメンバーと豪遊し、彼がすべて代金を払ってた」

　国税のメスが入った直後から、Ｘは「風邪で体調不良」という理由で出社せず、局内で話題になっていたという。

　焦点はカネの使い道。「奥さんと離婚して、最近『２３歳の彼女がデキた』とうれしそうに語っていた」（同）というが、大半の金は自らの“身なり”に使っていたという。

「とにかく服がオシャレで高級ブランドばかり。全身で１００万円以上は当たり前。しかも同じ服を着ているところを見たことがなかった。『テレ朝のプロデューサーは儲かるんだなぁ』と思ってました」（音楽関係者）

　お気に入りはフランスの高級ブランド「クリスチャン・ルブタン」で、２０万〜３０万円する靴を２０足以上持っていた。芸能プロ関係者は「六本木のミッドタウンに高級インポートブランドの店があるんですが、Ｘ氏は常連で一度に１００万円以上散財することもあった」。

　流行の最先端と言われるニューヨークやパリに何度も出掛けていた。別の音楽関係者の話。「女性連れだったこともあるようだが、Ｘ氏の目当ては最先端のファッション。現地でブランド品を大量購入していた」

　Ｘを知る人物は「服や海外旅行で１億４０００万円使える！？と思うかもしれませんが、チリも積もれば山となる。Ｘ氏ならあり得ます」と話す。

　不思議なのはテレ朝側に刑事告訴の意思がないこと。広報部は「本人からの返済が始まっていることや、制作会社からも返済される見込みで、告訴については推移を見守りながら、慎重に検討します」としている。

　大ごとにしたくない局内事情も影響しているとみられるが、社内からは「全額返ってくるわけない。なぜ告発しないんだ！」と批判の声も。

　現在、テレ朝は無敵の「相棒」シリーズや米倉涼子（３８）の連ドラ「ドクターＸ〜外科医・大門未知子〜」が絶好調で、開局以来初の年間視聴率３冠王に向けて独走中。その勢いに水を差す“着服事件”となった。