「潘基文(パン・ギムン)さん、あなたは一体どこにいるのですか(Where are you, Ban Ki-moon?)」
これは米国の新聞ニューヨーク・タイムズが9月に掲載したある記事の見出しだ。記事を執筆したのは外交専門誌『フォーリンアフェアーズ』の編集長を務めるジョナサン・テファマン氏。テファマン氏はこの記事で潘基文総長を「透明人間の事務総長」と皮肉り、シリア内戦をはじめとする世界各国の国際問題に対応できていないとして、さまざまな表現を使って潘総長を非難したのだ。テファマン氏が使った言葉は「国連の歴史上、最悪の事務総長の一人」「力のない観察者」「無能な意思伝達者」など非常に侮辱的だ。
もちろんテファマン氏の主張は国連内外の「反・潘基文勢力」の主張を代弁したもので、その内容は非常に偏ったものだ。潘総長は2007年の就任直後から、それまでいい加減な状態だった国連の組織を見直し、保健・人権・女性の地位向上などで力を発揮しているが、これらプラスの側面には完全に顔を背けている。しかしテファマン氏の主張について、一つだけ認めざるを得ないものがある。それはニューヨーク・タイムズがこのような記事を掲載するほど、国際社会には潘総長に対するそれなりの冷静な批判が存在するということだ。
こうした反応とは対照的に、潘総長は韓国国内では次の大統領候補として名前が挙がるなど、非常に大きな支持を得ている。与野党とも先を争って潘総長を取り込もうとしており、一般国民の間でも潘総長への好感度が上昇中だ。今月1日に発表されたある世論調査によると、潘総長は次期大統領候補として名前が挙がっている人物の中で、「好感度」では26.8%と1位を記録。2位は昨年の第18代大統領選挙で旋風を起こした無所属の安哲秀(アン・チョルス)議員の16.9%で、2人の差は10ポイントに達していた。前回の大統領選で民主党から出馬した文在寅(ムン・ジェイン)議員は11.3%にとどまっていた。ある国会議員は「潘総長は次の大統領選挙では変数というよりも常数だ」とコメントしている。