原子力規制委員長:「1ミリシーベルト独り歩き」
毎日新聞 2013年10月23日 19時36分
原子力規制委員会の田中俊一委員長は23日の定例記者会見で、政府が除染の長期目標としている年間追加被ばく線量(1ミリシーベルト以下)について、「独り歩きしている。原発事故があった場合、避難先でのストレスなど全体のリスクを考えれば年間20ミリシーベルトまで許容した方がいいというのが世界の一般的な考え方だ」と語った。国際原子力機関(IAEA)の調査団長が「1ミリシーベルトにこだわる必要はない」との見解を示したことに関連し答えた。
政府の計画では年間20ミリシーベルト以上の区域を「できる限り縮小」するとともに、同未満の区域で「長期的に年間1ミリシーベルト以下を目指す」としている。しかし、住民の間では、低線量被ばくへの健康影響を懸念し、年間1ミリシーベルト以下にならないと帰還できないとの考えが強い。
田中委員長は「(低線量被ばく影響の)医学的根拠はなかなか証明できない。できる限り、被ばく線量が少なくなるよう、生活指導や健康相談など総合的に取り組む必要がある」と強調した。【中西拓司】