韓国人犠牲者名簿 韓日関係に悪影響の可能性
【東京、ソウル聯合ニュース】韓国国家記録院が19日に公開した日本による植民地時代の被徴用(徴兵)者名簿、3・1独立運動(1919年)と関東大震災(1923年)の犠牲者名簿を通じて、当時の残酷な朝鮮人虐殺問題の真相も明らかになり、今後の韓日関係にも少なからず影響を与えるとみられる。
これらの名簿は今年6月、東京の韓国大使館の新築・移転作業中に見つかり、7月に外交部に送られ、国家記録院が分析を進めていた。3・1独立運動と関東大震災の犠牲者名簿は今回初めて公開された。関東大震災の犠牲者名簿は、震災発生当時、虐殺された被害者の身元を確認できる初の資料という点で価値が大きい。
国家記録院が公開した日本による植民地時代の被徴用(徴兵)者名簿(提供写真)=(聯合ニュース)
3・1独立運動、関東大震災、強制徴用の大勢の被害者を具体的に確認でき、虐殺の惨状が記された記録が公開されたことは、韓日関係の「悪材料」となる可能性が高いとみられる。これらの名簿に基づき韓国政府が賠償問題で日本に圧力を加え、日本は韓日請求権協定(1965年)で解決済みだという理由を挙げて賠償を拒否する場合は両国間の溝がさらに深まる恐れもある。
◇真相究明の手掛かりにも
関東大震災の犠牲者名簿には、震災時に虐殺された犠牲者290人の名前が記されているほか、日本人が銃や竹やりなどで虐殺したという詳しい内容も記録されている。
名簿が発見されたことで関東大震災当時の虐殺の被害に対し新たな観点からアプローチできるようになったとの見方が出ている。
政府系の東北アジア歴史財団のナム・サング研究委員は、これまで同震災時の朝鮮人虐殺に関する情報が少なかったため政府の文書やマスコミの報道に頼らざるを得なかったとした上で、「名簿に基づき当時の状況を調査できるようになったということに意味がある」と評価した。
在日韓人歴史資料館の姜徳相(カン・ドクサン)館長は犠牲者を特定できたという点で名簿が真相究明の手掛かりになると期待を示した。姜館長は「韓国政府は遺族の声を代弁して日本政府に真相究明を求めることが可能だ」と述べた。
3・1独立運動の犠牲者名簿と被徴用者名簿は、既存の犠牲者名簿を補完する資料になるとみられる。
今回明らかになった3・1独立運動の犠牲者は京畿道と忠清道だけで174人。誤記載を除いても多数が新たな有功者として認められる。
65冊の被徴用者名簿も既存の名簿を補完する資料となる。韓国政府機関の「対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者ら支援委員会」の関係者によると、新しい名簿にはより正確な内容が多い。
ただ、名簿の正確性や作成経緯の確認作業を行うべきだとの指摘も出ている。関東大震災の犠牲者名簿に名前が記載されているある被害者は死亡した年が震災発生前の1918年となっている。独立記念館研究所によると、約200人は虐殺の犠牲者の可能性が高く、そのほかは確認が必要だとみている。
◇韓日関係への影響は?
今回発見された名簿に基づき、日本に賠償を求める世論が高まれば韓日関係には否定的影響を与えるというのが大方の見方だ。
3・1独立運動と関東大震災当時、残酷な朝鮮人虐殺が行われた事実が確認されたことで、韓国内での反日感情が高まると予想される。その半面、日本は旧日本軍の慰安婦問題と同様に新たな名簿からも目を背ける可能性が高く、両国関係のさらなる悪化が予想されるためだ。
名簿発見について、日本のNHKは「韓国で日本の過去の歴史に対する批判がさらに高まる恐れもある」と報じた。
韓国内では3・1独立運動と関東大震災当時の虐殺の被害者への賠償は韓日請求権協定に含まれていないため、日本が当然賠償すべきだとの見解が支配的な半面、日本はそのような見解に同意できないという姿勢を示しているため、賠償問題が韓日間の争点として浮上するとみられる。
日本に対する賠償の要求は、侵略の歴史を認め代価を支払うよう求めることを意味するが、植民地支配についていまだに謝罪していない日本が、朝鮮半島侵略を反省する可能性はないに等しい。安倍晋三首相就任後、日米同盟の緊密化を土台に集団的自衛権行使容認はもちろん、これに向けた憲法解釈の変更も検討するなど右傾化が加速する日本が過去の歴史を反省することを期待するのは無意味に近い。
日本は過去の歴史に対する反省どころか右傾化の流れの中で歴史を逆戻りさせようとしているかのような態度を示している。
こうした中、韓国政府は慎重に対応しようという考え方のようだ。このような雰囲気は、外交部の趙泰永(チョ・テヨン)報道官が先の会見で、名簿について「名簿の性格や内容などに関する詳しい分析作業が先に行われるべきだ」と述べたことからも感じ取ることができる。
一方で、これまで知らされていなかった事件が新たに明らかになったわけではないため、名簿が両国関係に与える影響は大きくないという意見もある。東北アジア歴史財団のナム研究委員は「(名簿が)すでに明るみに出た事実を具体化する資料であって枠を変えるほどではない」との見解を示した。
日本では今回の名簿発見が韓国政府にとって政治的負担になる可能性に注目する見方もある。山口県立大の浅羽祐樹准教授は、日本との国交正常化の過程で韓国政府が名簿を活用して過去の歴史の清算問題を追及したかどうかが鍵になるとした上で、韓国政府の不作為があった場合は問題が生じるだろうとの見解を示した。
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