中日スポーツ、東京中日スポーツのニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 中日スポーツ > 大相撲 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【大相撲】

稀勢の里 また全勝横綱食った

2013年11月24日 紙面から

◇九州場所<14日目>

稀勢の里(奥)が上手投げで白鵬を破る=福岡国際センターで

写真

(23日・福岡国際センター)

 大関稀勢の里(27)=鳴戸=が2日続けての横綱撃破だ。全勝の白鵬(28)=宮城野=を上手投げで破り、2場所ぶりに両横綱を倒した。13勝2敗で今場所を終えれば、来年の初場所は綱とりがかかる。稀勢の里に前日敗れた日馬富士(29)=伊勢ケ浜=は大関鶴竜を寄り切って1敗をキープ。千秋楽結びの一番は優勝を懸けた両横綱の相星決戦となった。

 「バンザイ! バンザイ! バンザーイ!」。勝ち名乗りを受けた稀勢の里の背中に、異例の万歳コールが降り注いだ。今場所も無敵の強さを誇った白鵬を真っ向勝負で撃破し、ファンの興奮は最高潮に。稀勢の里もその大歓声を心地よく聞いた。

 「白星もそうだけど、お客さんにああやって応援してもらえる。すごいことですよね」

 15歳で入門し、ことしで12年。今や角界のスターの一人となった稀勢の里だが、「相撲をとっていて、一度も楽しいと思ったことはない」と話したことがある。それが、この万歳三唱。「本当にうれしいことですね。相撲をとっていて良かったです」。万感の思いを打ち明けた。

 2回目の仕切りで白鵬とにらみ合った。先に視線をそらした方が負け、と言わんばかりに両者の動きが止まる。そんきょから手を付くまで37秒。続く3回目もお互い立ったままピクリとも動かず28秒。沸き上がる闘志。「たまたまです」と稀勢の里。気負うことなくハートは冷静だった。

 鋭く踏み込み、白鵬の上体を起こして得意の左を差し込む。右上手も取った。土俵際の投げの打ち合いでは白鵬の下手投げに一瞬体が浮いたが、右からこん身の力を込めて投げ返した。

 「必死だった。体が浮いちゃったからどうかなぁという感じ。まあ勝ったから良かったんじゃないですかね」

 ことしの名古屋場所で白鵬の連勝を43で止めて以来の2横綱連破。日馬富士が1敗を守ったため今場所の優勝の可能性は消えたが、かけがえのない自信を得たとともに来場所は一気に綱とりの期待が膨らむ。

 2日続けて全勝の横綱に土を付けた。北の湖理事長(元横綱)は「2横綱を倒したんだから価値がある。この2日間のイメージは大きいですよ」と絶賛した上で「あす勝って、13勝すれば優勝に準じた成績になる。真価が問われます」と話した。

 夏場所、名古屋場所と千秋楽で琴奨菊に連敗し途絶えた綱とりへの道。あと1勝の重み。それを誰よりも稀勢の里は痛感しているはず。「あしたはあしたで、いい相撲をとります」。もう同じ過ちは繰り返さない。千秋楽の鶴竜戦に全精力を注ぐ。 (竹尾和久)

 

この記事を印刷する

PR情報

おすすめサイト

ads by adingo




中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ