にほんてぃる(第二部)
第十二話 「戦場と参謀」
昨晩のスコールが嘘のように、マーレの空は清々しく晴れ渡っていた。
客室の窓を開けると、僅かに湿気を含んだ空気と共に、薄く花火の後を思わせる火薬の臭いが感じられる。
表通りからはマーレの人達が開く路上市場の雑踏、遠くからは工兵達がクアンプル飛行場を補修する工事の音が響いてくる。肌に感じる空気は早朝にも関わらず、熱帯の暑さを感じさせるまとわりつくような蒸し暑さを早くも含んでいた。
俺は粘ついたため息を漏らすと、新本のそれと大差ないいつも通りの太陽を、憎らしい気分で睨みつけた。
「・・・・・・結局一睡も出来なかったぜ」
明けて1月14日。
マーレ作戦に参加する為第二五軍に配属されて二日目の朝だった。
寝付けなかった理由は二つ。
一つは慣れない熱帯の気候のせい。
もう一つは夜通し考え事をしていたせいだった。
第二十五軍司令官のユキと、作戦主任参謀のマサノ。
俺は新本を出発する前、陸軍大臣のエイから二人に警戒するよう注意を受けた。
マーレに着いた俺はユキとマサノの話を聞き、二人からそれぞれに警戒するよう注意を受けた。
火のない所に煙は立たないって諺が示すよう、この二人は何かしらの問題を抱えているのかもしれない。あるいは、根も葉もない噂って諺があるように、それはなにがしかの誤解からくる事実無根のことなのかもしれない。
俺がこの場に呼ばれたのは、陸海軍の不公平をなくし、摩擦を減らす為だ。ようは縁起物の生きた御守りって事だが、折角ここに来たからには、俺なりに出来る事をしようと思う。
ユキとマサノ。この二人は噂通りの問題人物なのか、そうじゃないのか。
それを見極めようと思う。
当然の話だが、同時に二人は見張れない。
どちらを見張るか。それが俺を夜通し悩ませた問題だった。
俺が選んだのはマサノだった。
正直に言って、それはほとんどあてずっぽうの山勘だった。俺が二人と接した時間は半日にも満たない。そんな僅かな時間でそいつの人となりを見極めるなんて無理な話だ。
前日の会話から、どちらかと言えばマサノの方が怪しいなと思っただけ。その程度の根拠しかない。加えるなら、昨晩のユキの態度は、一見すると嘘偽りのない本心の行動のよう思えた。あれがもしも演技なら、ユキは相当の役者だ。
そんな奴がそう簡単にぼろを出すとは思えない。それなら、個性的でアクの強いマサノの方が、見張ってて分かりやすいんじゃないかと思ったからだ。
「・・・・・・徹夜して悩むような事じゃねぇじゃん!」
自分の気持ちを整理した俺は、己の単純すぎる回答に馬鹿馬鹿しい気持ちになった。こんな程度の答えならあみだクジと大差ない。その代償が戦場での寝不足ってのは、割に合わない話じゃねぇか。
「あぁ・・・・・・眠ぃ・・・・・・どうして寝たい時は眠れないのに、起きなきゃいけない時間になると眠くなるんだ?」
遠足の前の日、なんとなく寝付けなくて、いっそ寝ない事にしようと決めて徹夜でゲームをする。夜の内は調子が良くて余裕に思えるが、太陽が昇ると途端に津波のような睡魔が押し寄せてくる。まったく、人間の体ってのは因果な作りをしてやがるぜ。
「しっかりしろよ、天明相馬! てめぇはこの国を救う軍神様だろ!」
自分の頬を平手で叩き、大きく深呼吸する。嘘でも偽でも、俺はこの世界じゃ軍神様って事で通ってるんだ。
気合を入れ直すと、俺はマサノに会う為にあてがわれた客室を飛び出した。
「中佐殿なら軍司令部の通信所に行かれましたが」
牛耳と尻尾の兵隊の言葉に、「また行き違いかよ・・・・・・」って言葉を飲み込んだ。
言ったのは、クアンプル市街を巡回する憲兵だった。
あれから俺は、マサノを探してクアンプルをあっちこっち歩き回っている。軍司令所に詰めてる連中に聞いた所、マサノは朝早くから出かけてるらしい。なんでも彼女はかなり行動的で、しかも相当なショートスリーパーらしい。
毎日朝早くからあっちこっち飛び回り、戻って来たかと思うと三、四時間ほど眠りまた出かけていく。軍司令所の連中から得た手掛かりを頼りに最初に向かったのが補修工事中のクアンプル飛行場。
そこでマサノは工兵達の労をねぎらい、工事の状況を根掘り葉掘り尋ねた後、輸送隊の所に向かい、同じような事をして、一度軍司令所に戻りユキと作戦について小会議し、また軍司令所を飛び出してクアンプル市街を警備する憲兵隊を訪ねて回っている。
俺はRPGのお使いクエストよろしく、マサノを探してその後を追い掛け回しているというわけだ。
「で、マサノはなんだって?」
「はっ! 中佐殿は市街の様子について尋ねられ、軍紀風紀の徹底と違反者の取締りを厳しく行うよう申されておりました!」
「へぇ・・・・・・」
憲兵の言葉を反芻する。特に考えるまでもなく、マサノのやってる事に問題点は見つけられない。あいつが朝からやってるのは各部隊の様子見と叱咤激励ぐらいだ。褒めらこそすれ、咎められるような所は何もない・・・・・・と思う。
「元々第二十五軍では山下閣下より軍紀風紀の徹底をきつく言い渡されております! 山下閣下曰く、「焼くな、奪うな、犯すな」と! 中佐殿は山下閣下のご命令が厳守されているか度々確認されております!」
考え込むような俺の態度を気にして、憲兵がそう補足した。
図らずも、ここで俺はマサノと共にユキの情報も手に入れる事となる。
頭の中で二人の内申表に加点。
「話は分かった。邪魔して悪かったな」
憲兵に礼を言うと、俺は通信所を目指して歩き出した。
「って、通信所って何処にあるんだ?」
颯爽と歩き出して数分後、俺は通信所の場所を知らない事に気づいた。
さっきの憲兵の所に戻って尋ねるのがいいんだろうが、なんとなくばつが悪い。通信所はマーレ南部に広がる各師団、独立部隊、および新本と連絡をとる重要な施設だ。
って事は多分、現在軍司令所のある洋館の中だろうな。
あてずっぽうで推理して、俺は一度軍司令部に戻る事にした。
軍司令部として間借りしてる洋館の近くまで来た時。
まったくの偶然で、俺はマサノを発見した。
「おぉ、マサノ! やっと見つけたぜ!」
「これはこれは相馬様。あちしを見つけてそのように喜んで貰えるとは。今この時をもって本日はあちしにとって特別な一日になりました。おぉマサノ、やっと見つけたぜ! と相馬様が言ったから、1月14日はマサノ記念日、と」
「お、おぅ」
なんか上手い事言ったみたいな顔してるが、さっぱり意味わかんねぇよ。
「それで相馬様。その御様子ではマサノを探していたのでございましょう?」
「あぁ、そうだ。実は折り入って頼みがあるんだが」
「お任せ下さい!」
マサノは大きな胸を左右に揺らし、大げさな身振りで胸を叩いた。
「いや、まだ何も言ってねぇんだけど」
「天下の軍神相馬様のお頼みとあらば、どんなお話であれ断る理由などありませんでしょうか?」
にっこりと、口元を三日月形にして微笑むマサノ。丸い目を大きく開いたままの独特の笑い方は、正直少し不気味に見える。
「いや、そう大した頼みじゃないんだ。暫くの間、お前の傍に居たいって話なんだが――」
「ややややや!? そんなそんな、いけません!」
マサノは突然奇声を上げると、元から丸い目を皿のようにして赤面した。
「確かにマサノは容姿端麗才色兼備、将来有望な超優秀参謀です。そんなあちしに相馬様がご興味を持たれるのも当然と言えば当然のお話。ですがですが、今は新本の未来を決める大事な戦時の真っ最中! 相馬様のお誘いは大変嬉しくマサノにとってこれ以上ない光栄の極みなのですが今は時と場合がそれを許さず・・・・・・いや、いやいやいや、でもでもでも、相馬様がどうしても言うのであれば、マサノもイヤとは申しません。謹んで相馬様の求婚を受け入れ、夫婦の契りを交わしま――」
「ソイッ!」
「ハブッ!?」
俺の渾身のデコピンを受け、マサノはヘッドショットを食らったみたいに盛大に仰け反った。
「ややや、やややや。これはこれは、相馬様は中々個性的な愛情表現をなされるので――」
「ソイッ!」
「ハブッ!?」
俺の第二撃にもめげず、マサノはゾンビのように蘇り、
「もう、相馬様のて、れ、や、さん♪」
「ちげぇだろ!? そういう事じゃねぇから! お前の参謀手腕を勉強してぇだけだっての!」
いい加減堪えかねて絶叫する俺。
「そ、そんな馬鹿な!?」
「馬鹿はてめぇだ!」
寝耳に水って顔のマサノ。
こいつの頭の中はどうなってやがんだ?
「・・・・・・・・・・・・ややや、やははは。ちょ、ちょっとした冗談ですよ・・・・・・くすん」
五秒程石化して、マサノ。
絶対嘘だろ。
「くぅ・・・・・・絶対求婚だと思ったのに・・・・・・はっ! これは相馬様流の照れ隠し? やは、やはははは。そうでしょうそうでしょう、そうに決まっています。なぜってあちしは可愛いから」
余程ショックだったのだろう、俯き加減でぶつぶつ呟くと、マサノは急に元気になって言った。
「いいでしょう! 僭越ながらこのマサノ、巷では作戦の神と称される名参謀で御座います。相馬様がお望みとあれば、あちしの全てをお捧げいたします! ・・・・・・全て? 全てって事は勿論・・・・・・やや、やはははは・・・・・・いけません! あちしったらなんて破廉恥な妄想を・・・・・・やはっ」
後半は無視するとして。
「あぁ、頼むわ。特別参謀なんて言われちゃいるが、実の所俺は軍事ってやつに疎くてな。色々勉強させて貰うぜ」
「合点承知! と決まれば、善は急げ。早速、山下閣下の所に参りましょう」
「あぁ、そうだな」
ユキに許可を貰いに行くんだろう。
俺は二つ返事で承諾し、俺達はユキの所に向かった。
「おはようございます、山下司令官閣下!」
開口一番、書斎で地図を睨むユキに向け、マサノが言った。
「・・・・・・朝の挨拶はさっき聞いた」
顔を上げると、ユキは怪訝そうな顔で言う。
「随分元気がいい。何かあったの?」
「いえいえなにも。閣下にご報告するような事は御座いません」
マサノの言葉にユキは疑わしそうな顔をするが、追求はしなかった。
「それで。用事は?」
「はい、前線視察の許可を頂きたく」
「また?」
「参謀の仕事は適切な作戦を立案する事。それには現場の様子をこの目で見てこの耳で聞きこの心で感じるのが一番ですから」
「それは・・・・・・そう・・・・・・」
ユキの返事はどうも歯切れが悪い。
「何を悩んでらっしゃるので? これまでのあちしの成功は、全て前線視察の情報と教訓を元にしたものだと、まさかまさか、お忘れになられたわけでは御座いませんよね?」
「・・・・・・分かった。許可する」
「やはは。いつもながら、山下閣下の寛大さには感謝してもしたりません」
「お世辞はいい。それより、越権行為はしないで」
「善処します」
「善処じゃ駄目」
「お言葉を返すようですが、戦争は司令所ではなく前線で行われております。もちろんあちしも一参謀として差し出がましい真似はしたくありませんが、無能な指揮官によって皇王様よりお預かりした兵達が浪費されるの目の当たりにして、黙っている事は出来ません。義を見てせざるはなんとやらと申しますし。それとも山下閣下は、目の前で絶体絶命の危機にある兵達を前にして黙って指を咥えて見ていろと、そう仰るので?」
「・・・・・・時と場合がある事は理解している。過ぎたるは及ばざるが如し。この言葉を忘れないで」
「そりゃもう。重々承知しております」
マサノの返答に、ユキは小さくため息をついた。
「相馬は。何か用?」
「あぁ、俺は――」
「相馬様は暫くの間あちしと一緒に行動いたします」
俺の言葉を遮って、マサノが言った。
「どういう事?」
ユキの言葉には、何かを疑うような雰囲気があった。
「相馬様たっての希望でして。作戦主任参謀であるあちしに同行し、その手腕を参考になされたいと」
「中佐には聞いてない」
きっぱりと言うと、ユキは真っ直ぐな視線を俺に向けた。
「本当?」
「あぁ、本当だ。俺には各軍の状況を視察する役目もあるからな。平たく言えば、ミチの目玉って事だ」
俺が答えると、ユキは咎めるような目でマサノを見た。
「中佐。相馬に何を吹き込んだの」
「吹き込んだとは人聞きの悪い。皇王様に誓って、マサノは何もしておりません。先ほども言った通り、これは相馬様の希望。ところで、相馬様のお言葉は神のお言葉、つまり、皇王様のお言葉に等しいわけですが、まさかまさか、拒否されるわけじゃございませんよね?」
ユキは目を細め、暫くの間、探るような目でマサノを顔を睨む。
暫くして、諦めたように肩を落とすと、ユキは言った。
「分かった。許可する」
「ありがとうございます。それでは相馬様、参りましょうか」
勝ち誇ったような顔で言うと、マサノが俺の手を引いた。
「参りましょうって、何処にだよ」
「やははは。イヤですね。マサノの話を聞いていませんでしたか? 前線視察ですよ」
あっけからんと言ってくるが、
「前線って、あの前線か?」
聞くまでもない事だが、聞かずにはいられない。前線ってのは味方と敵がぶつかり合う戦闘地帯だ。まさか、いきなりそんな所に行く羽目になるとは思ってなかった。
「それは駄目!」
声を荒げて起立するユキに、
「やや、何故です?」
マサノはとぼけた声で尋ねた。
「愚問。危険だからに決まってる」
「はぁ、それがどうしたのでしょうか?」
マサノは大きく首を傾げた。
「どうして? 考えれば分かる話」
「いえいえ、分かりません」
明らかに苛立つユキに、マサノは挑発的とも思える態度を返した。
「だってそうでしょう? 相馬様のご希望は、あちしのそばにいてその手腕を学ぶ事。あちしが前線視察に行くのですから、同行して頂かないと」
「前線視察は危険が伴う。同行は許可できない」
「ややや? やはははは。どうやら山下閣下は連日の激務でお疲れのご様子。でなければ、賢明な閣下がそのような世迷事を仰る筈がない」
マサノの言葉に、ユキは視線を鋭くした。
「だってそうでしょう? 冷静に、合理的に考えてください。相馬様のご希望はあちしの手腕を学ぶ事に加え、マーレ作戦の状況をお知りになる事。どちらも、前線から遠く離れた司令所では果たされません」
「そんな事は分かってる。だとしても、相馬を前線に送る事は許可できない。それは皇王様を敵の攻撃に晒す事と同義」
「戦場という意味では、ここも立派な戦場でしょう。ブリテンの空爆がないとも限りません。新本を離れ戦地に降り立った時点で、相馬様の身は危険に晒されている。という事はですよ、相馬様は降りかかる諸々の危険を御覚悟なされておいでなのです。それとも軍神相馬様は、新本兵達が皇国の為に命を散らす中、我が身可愛さに司令所に引き篭もる臆病者ではございませんよね?」
「当然だ!」
ついカッとなり、俺は答えた。実を言えば、前線に出るのは怖い。物凄く怖い。だけど、マサノの言う通り、俺一人が安全な場所でのうのうと暮らしてるわけにはいかない。それじゃあ、何の為にここに来たのか、何の為の軍神か、分からなくなっちまう。
「相馬。中佐の挑発に乗らないで」
「挑発? マサノは事実を申し上げているだけでございます。それに山下閣下。考えてみて下さい。相馬様が第二十五軍に派遣された理由は、各隊の士気の向上です。折角いらした軍神様を司令部に縛り付けていたのでは、各隊の反感を招き士気の向上どころか不満を呼ぶ事になりましょう? そうならない為にも、相馬様には遅かれ早かれ前線に出ていただく必要があるかと思うのですが、いかがでしょう?」
「・・・・・・・・・・・・」
ユキは黙った。当然だ。マサノの言い方には色々と問題を感じるが、話の内容は筋が通ってる。何より、この俺がその気なんだ。
「悪いなユキ。そういうわけだから、俺は行くぜ」
「・・・・・・分かった、許可する。どうせ止めても無駄。でも、これだけは肝に銘じて。相馬の死は、新本軍全体の士気に関わる。相馬の命は一人だけの物じゃない」
「・・・・・・よく覚えとく。必ず生きて戻るさ」
「戦場に必ずはない」
ユキの一言は俺の胸に深く刺さった。必ず生きて戻る。確かにそれは、格好つけただけのただの誤魔化しでしかない。言うまでもなく、前線は死の危険で満ち満ちている。それを思うと俺は、怖くて怖くて仕方がない。だけど、だからこそ行かなきゃならない。
行かなかったら、俺はこの先この世界の人間と、新本の軍人達と対等でいられなくなる気がするから。
「それでは、今度こそ参りましょう」
「待って。相馬には少し話がある」
「・・・・・・了解しました。それでは相馬様。外でお待ちしております」
マサノが去り、部屋には俺とユキの二人きりになる。
「相馬は何を考えてる。真意を教えて」
まどろっこしいやり取りを抜きに、単刀直入にユキが尋ねた。
「マサノって人間を知りたいんだ。エイやお前が言うような危険人物かどうか、この目で確かめたい」
「それは危険。辻は狐みたいに狡猾で蛇みたいに残忍。足元をすくわれて利用されるのがオチ」
「それが分かってて、むざむざ騙される馬鹿はいないだろ?」
「関係ない。むしろ、そういう人程危険。辻は敵が多いけど味方も多い。破天荒で目立ちたがり、掟破りで越権行為の常習犯。華やかに振舞っているけど、大局の見えない自己中心的な人間。本来なら参謀の器じゃない」
「俺にはそうは思えないが」
「猫を被っている。辻の十八番」
「ユキが辻を嫌ってる事はよく分かった。それが俺の事を案じての忠告だってのも。けどな、俺は自分の目で見て、自分の頭で考えて判断したいんだ」
「それは・・・・・・理解出来る。だから、これ以上は止めない。でも、相馬は一つ勘違いしてる」
「なんだよ?」
「人にはそれぞの役割と役目がある。人の上に立つ人間にはそれに相応しい振る舞いがある。軍神である相馬が身の危険を冒すのは勇気じゃない。それは責任逃れの愚かさ」
「そんな事はっ!」
ないとは言えない。納得出来なくても、俺の心はユキの言葉に一分以上の理を認めてしまっていた。
「山下閣下はなんと?」
表に出ると、軍用車の前で待っていたマサノが尋ねた。
「・・・・・・別に。ただ、危ない真似はすんなよって。それだけだ」
嘘じゃない。けれど、正確でもない返事をする。
「その様子では大方、軍神たる相馬様が不用意に危険を犯すのは勇気ではない、などと言われたのでしょう?」
図星を突かれ、俺は眼を丸くした。
「正解でしょう? やははは、いかにもあの女の言いそうな事です。全く、あんな臆病者が軍司令管なのですから、困ってしまう。軍人の地位とは役割であって価値ではない。戦場において死の危険を下仕官や一平卒にだけ押し付けるような将校に人の上に立つ資格がございますか?」
マサノの質問に、俺は答える事が出来なかった。
第二十五軍の中には大きく分けて三つの勢力がある。
第五師団、第十八師団、近衛師団の三つだ。
本当は他にも航空戦隊や工兵隊、山砲連隊や独立支隊なんかがあるんだが、ややこしいので割愛する。
現在マーレにおいて、この三つの師団が各々ユキの司令によって各種の軍事行動をとってる。
ユキのいる軍司令所がマーレのほぼ中央に位置するクアンプルにあるって事は、その他の師団司令所はおおよそクアンプル以南に布陣してるって事だ。
第二十五軍の目的はマーレ半島を植民地として占領してるブリテン軍を追い出す事。ブリテン側の拠点はマーレ半島南端に突き出したシュガーホール島、通称シュガーホール要塞だ。
要塞と呼ばれてるだけあってここの守りは鉄壁なんだが、島内の要塞設備の大半は南方の海側に向けられた物で、シュガーホール島北部、つまりマーレ半島側の防備は手薄になっている。
そういうわけで、マーレ半島北部から上陸した第二十五軍は半島内で待ち構えるブリテン軍を撃破しながら、半島を上下に走る貫通道路を利用して一直線にシュガーホール島へ向かっているというわけだ。
と、ここまでが現状のおさらいと確認。
軍司令部は文字通り、第二十五軍全体の指揮をとる司令部。軍は師団その他部隊に分けられ、師団には師団司令部が存在し、師団長がいる。その下には旅団があり、旅団の下には連隊、連隊の下は大隊、大隊の下は中隊、以下小隊、分隊と小さくなっていくってわけだ。
一見複雑そうに見えるが、新本陸軍って大木とそこから分かれる枝を想像してくれれば話が早い。基本的に各組織は直近の上位、下位部隊にしか関知しない。軍司令部の司令官であるユキは末端である中隊、小隊の動向を知りはしないし、直接命令を下したりもしない。それはあくまで中隊長、小隊長の役目だからだ。
と、こう言うと面倒だが、ようは一つの会社だと思えば分かりやすい。大会社の社長は子会社の社長に指示を出す事はあっても、各部署の部長や課長に指示を出したりしないし、そもそもどんな奴で何をやってるか知るわけもない。
軍隊ってのは巨大な組織で人数も目が飛び出るくらい多い。だけど、一人の人間が面倒見れる人間や情報には限りがあるから、こんな風に組織化されてるってわけだ。
「一番の問題は、作戦を立案する参謀が上位部隊にしか存在しないという事です。百歩譲ってこれは組織の編制上仕方ない事と言えますが、だからと言って参謀が最前線を知らずに作戦を立案するという現状は明らかに間違っています。たとえどれほどの知識を持っていても、現場の事を知らなければ机上の空論、絵に描いた餅のような作戦しか立てらません。ですから、あちしは積極的に前線視察を行っているのです」
「なるほどだ。そいつは確かにその通りだと思うぜ」
突貫道路を走る車の中。マサノの話に俺は大きく頷いて見せた。
あの後、俺はマサノと共に前線視察を行う為移動している。
その間、俺は何故マサノが前線視察を行うのかを率直に尋ねていたのだった。
マサノの答えはパーフェクトと言っていいものだった。
少なくとも俺は共感したし、筋が通っていると思えた。
だからこそ、俺はますますわからなくなっていた。
何故エイやユキがあれほどまでにマサノを警戒するのか。
ユキにいたっては、露骨に嫌悪しているようでさえあった。
現状の俺の意見としては、確かにマサノは変人的な部分がかなりあるが、それは表層の事だけで、中身は随分と立派な軍人のように思える。
俺からすればむしろ、それがわからないユキの見る目を疑ってしまう。
確かにユキは真面目で実直な人間って感じだが、裏を返せば融通の利かない頑固者って事なんじゃないかと俺は思い始めていた。
ユキを嫌うのは、彼女の破天荒さが許せないだけなんじゃないか。
確かに、軍隊って組織の中で、ルールを曲げる奴を容認するのはよろしくない。だけど、何でもかんでもルール通りに片付けちまうのも、俺は問題があるように思う。
ルールはあってしかるべきだけど、時には臨機応変に対応しないといけない事もある。それに、ルールや常識が間違っているのなら、誰かが反対し、行動を持ってそれを示さないといけない。そうじゃなきゃ、間違いは一生間違いのままだからだ。
なんて、そう考えちまうのは早計だろうか。
そうかもしれない。マサノとあってまだ二日目だ。
判断を決めちまうのはあまりに早すぎる。
だけど俺は、既にこの癖の強い軍人を気に入り始めていた。
クアンプルを出発してからの道中は、イポからクアンプルに向かった時よりも快適だった。なんでも、クアンプル以南の道は以北の道に比べてよく整備されているらしく、道幅も広い。それでも、所々では戦闘の爪痕が道路を抉っていて、突然の揺れに見舞われる事も少なくはなかった。
車は第五師団の進軍ルートを追いかけて、クアンプル南方東へと向かっている。昨日の寝不足のせいか俺の瞼は熱く腫れぼったい。けれど、居眠りをする気には全くならなかった。頭上からは時折航空機の飛び交う飛行音が轟き、その度に俺は怯えた気持ちになる。
マサノの話では、クアンプル中部の制空権は既にこちら側にあり、飛び回っているのも、航空支援を行う新本側の爆撃機だそうだ。生憎俺は、マサノの解説を受けても心から安心する事は出来なかった。何かの偶然でブリテンの航空機がこっちにやってきて、次の瞬間には爆撃を食らってお陀仏、なんて事がありえないとは言えないのだ。
そんな風にして暫く走っていると、正面に錆び色の橋と幅の広い川が見えてきた。またか、と俺は思った。前にマサノに聞いた通り、マーレって土地は川が多い。ここに来るまでも、いくつかの橋を渡っていた。大半は撤退するブリテン兵に破壊され、新本陸軍の工兵によって補修されたものだ。
と、不意に車が速度を落とし、かと思ったら停止した。何事かと思って前を見ると、車の前に上半身裸の屈強な兵隊が立ちはだかり通せん坊をしていた。
「何事です?」
窓から顔を出し、マサノが尋ねた。
「申し訳ありません。橋が壊れてるんです。茶僑の反新勢力にやられて、現在補修工事中です。多分、半日はかかるかと」
「茶僑?」
「新本の北西に茶那(チャナ)という国があります。茶橋というのは茶那以外の国に住む茶那人というような意味ですよ。マーレの人口の半分近くは茶僑なのですがね、全く、厄介な連中です」
振り向いてマサノが答えた。
「しかししかし、困りましたね。折角前線視察に来たのに半日も待てません。引き返すのもイヤです。そうだ工兵君。この川は歩いて渡れそうですか?」
「それは大丈夫ですが、師団司令部まではまだ距離があります。車なしでは大変かと」
「自転車は?」
「ある事にはあるのですが生憎パンクしていて」
そういうと、工兵は日に焼けた体を翻し、仲間の工兵が作業するは橋付近を指差した。そこには、数台の自転車が横倒しになって放置されている。
「ややや、パンクですか。それなら簡単な事です」
そう言うと、マサノは颯爽と車から降り、ゴム林へと向かっていく。
「何をする気だ?」
「まぁまぁまぁ、見ててください。」
追いかける俺に、マサノは悪戯っぽい声音で答えると、適当なゴムの木の前で立ち止まり、その幹を腰の軍刀でえいやと斬りつけた。するとどうだろう。袈裟斬りにされたゴムの木の傷跡から不透明の白い汁がドロドロと滲み出した。
「なんだこれ?」
「ゴムですよ」
当たり前のように答えると、マサノは工兵に自転車とライターを持ってこさせ、おもむろにパンクした箇所に白い樹液を塗りたくると、ライターの火で軽くあぶって見せた。
「さぁ工兵君。空気を入れてください」
「はぁ」
不審そうに生返事をして、工兵が空気を入れる。
不思議な事に、空気は洩れず、パンクは直ってしまっていた。
「どうなってんだ?」
「どうと言われても、みたままですよ。ゴムの木からゴムをとって、それで穴を塞いだだけ。ただの応急処置ですよ」
小さじ一杯分程得意げに言うと、マサノは工兵達に今のやり方を伝授し、残る自転車のパンクを直させた。その中から綺麗な物を二つ選び、一つは自分で担ぎ、もう一つを俺に渡した。
「さぁ、行きましょうか」
「行くって、まさかそいつを担いで川を渡るつもりか?」
「お嫌ですか?」
「いいや、上等だ」
にやりと笑い、俺はザバザバと川へ入っていく。
「どうした。早くしないと置いてっちまうぜ!」
「一応忠告しておくと――」
俺の横に並び、腰まで水に浸かりながらマサノ。
「マーレの川にはワニがいるとか」
「・・・・・・冗談だろ?」
「あちしは嘘は申しません♪」
悪戯っぽく言うと、マサノは川の流れもなんのその、どんどん先に進んでいく。
俺が大慌てで後を追いかけたのは、言うまでもない話だ。
渡河してから三十分程自転車を漕ぎ、俺達は第五師団の師団司令所にたどり着いた。
「ここが最前線か」
緊張した俺の呟きに、マサノは「とんでもない」とだけ答え、一人歩き出した。
「どこに行くんだ?」
「情報収集ですよ」
立ち止まりもせずに答える。おかしな雰囲気に隣に並んで横顔を伺ってみると、マサノは笑みを浮かべていた。まるで遊園地に遊びに来た子供のように、目の前にある何かに熱中し、周りが見えていない人間の顔。有体に言えば、目の色が変わっていた。
スイッチが入ったのだと俺は思った。
ここからが本番か。なら、一丁お手並み拝見と行こう。
俺は黙ってマサノの後を追いかける。
マサノの行動は素早かった。師団司令所の野戦通信所へ行き、第五師団指揮下にある各隊の情報を集めると、次に師団長の下に行き、作戦の進行状況を尋ねる。
「こちらは万事順調。何も心配はいらんよ、辻中佐」
犬耳の師団長が答える。けど、俺にはそれが嘘に聞こえた。師団長の目は不自然に泳いでいたし、耳や尻尾も落ち着きのない感じで動いている。俺が気づくくらいだから、この挙動不審をマサノが見逃すはずがなかった。
「それはそれは、おかしいですね。あちしが聞いたところによると、ケマス方面に進出中の向田支隊が敵の拠点を突破できず苦戦中のはずですが」
「・・・・・・関知はしている。が、わざわざ援軍を出すまでもないだろう。ブリテン兵は弱腰だ。どうせ今まで通り、すぐに尻尾を巻いて逃出すに決まっている」
「山下閣下は二月十一日の紀元節までに本作戦を完了される事を望んでおいでです。目標達成の為に、師団長には万難を配して作戦を行って頂きたいものですね」
「向田支隊と第五軍とは直接的な指揮関係にない。向こうが助けを求めて来たのならともかく、現状で援軍を送るのはいらぬ節介というものだろう」
「友軍の苦戦を見て見ぬふりというのは関心しませんが」
「辻中佐。助言には感謝するが、無用な前線いじりは控えてもらおう」
「前線いじりとは心外ですね」
丸い眼鏡の奥で、ぎょろりとした大きな目が犬耳の師団長を睨んだ。
「体面ばかり気にしていると、いずれ名誉以上の物を失う事になる。ここはあちしの忠告を聞いて、早期に援軍を出した方が賢明かと思いますが」
「その必要はないと言っている!」
師団長が声を荒げても、マサノは一歩も引かなかった。二人の軍人は真っ向から睨み合い、視線が火花を散らす。ただでさえ蒸し暑い野戦テントの温度が、一気に十度は上がったような気がした。
「師団長のお気持ちはよくわかりました。この事は、山下閣下に報告させていただきます」
「好きにしろ。閣下が私の立場なら、同じ決断を下すだろうがな」
「・・・・・・相馬様。行きましょう」
「お、おぅ」
テントを出ると、マサノは鼻息を荒げながら、
「分からず屋のボンクラめ」
などと悪態をつく。
「これからどうするんだ?」
俺が尋ねると、
「向田支隊の本部に行って実情を把握します。必要が認められれば、連隊長に支援要請の電話をさせます」
「断られたら?」
「師団本部に戻り、閣下にこの事を報告して援軍を出させます」
答えるマサノの瞳には、強い決意の光や宿っている。
「上等だ。付き合うぜ」
「元よりそのつもりです」
言ってから、マサノは野営地で荷物の積み込みを行っているトラックに向けて歩き出した。
「やぁやぁ。このトラックはどこに向かうのかね」
「はっ。向田支隊の本部に補給を届けに行くところであります」
「そうだと思いました。君、悪いのだけど、後ろに乗せてもらうよ」
「えっ!」
マサノの言葉に運転手は目を丸くするが、マサノはそんな事などお構いなしで荷台によじ登る。
「さぁ、相馬様も早く」
「いいのかよ?」
マサノが荷台から手を伸ばすマサノに俺は尋ねた。
「行くなとは言われていませんし」
マサノの言葉には、砂糖一粒程の悪びれも伺えない。
「そりゃそうだがよ」
答えつつも、俺はマサノの手をとって荷台に乗り込んでいた。
内心じゃ、答えは決まってる。ここで一人、お行儀よくお留守番をしてるつもりはない。
俺の気持ちは、言葉にするまでもなくマサノに伝わっていた。
「運転手君。責任はあちしが取るから、目一杯飛ばしてくれたまえよ」
「りょ、了解であります!」
程なくして、補給物資の積み込みを終えたトラックが走り出した。
暫く走り、俺達は向田支隊の支隊本部に到着した。
支隊本部は、師団本部のミニチュア版のようだった。
大きな違いと言えば、人員の数と戦車の有無ぐらいだろう。
荷台の上でマサノに聞いた話では、向田支隊は新本で一番古い戦車第一連隊を中心に編成された支隊だそうだ。
無理を聞いてくれた運転手への礼もそこそこに、俺達は支隊本部へと急いだ。
「支隊長はいますか?」
テントに入るなり、挨拶も抜きにマサノが尋ねる。
「辻参謀に・・・まさか、そこにおられるのは軍神の相馬様では!?」
俺達を見るや、熊耳の兵士が言った。
「いかにもいかにも。こちらにおわすお方こそ、新本の救いの神、軍神相馬様にあられる!」
「おぉ、助かった! 天は我らを見捨てなかった!」
マサノの紹介に本部に詰める将校仕官が歓喜する。
「その様子では、状況はあまりよろしくないようですね。さぁ、喜ぶのは後回しです。見た所、隊長はあなたのようですが?」
熊耳の兵士に向かってマサノ。
「その通りだ」
と、熊耳の兵士――隊長が頷く。
「あちし達はケマス攻略に手間取っていると聞いてやってきました。いったい、何があったのですか?」
「それが、昨晩からケマスに進出中の歩兵大隊及び戦車中隊との連絡が途絶したのだ」
熊男という言葉が似合いそうな大柄の隊長は、渋面を作って言った。
「最後の通信ではなんと?」
「敵襲と。その直後に電話線が遮断したらしく、通信は途切れた」
「何故援軍を送らないのですか?」
「送りたくても送れんのだ! 斥候を送った所、途中の橋が落とされていた。恐らく、両部隊が通過した後ブリテン兵が爆破したのだろう。現在補修作業を行わせているが、夜中までかかるだろう」
「戦車が通れないから援軍を送れないと? それなら、歩兵だけでも送るべきでしょう!」
「無茶を言うな! 前線の状況は分からないし、歩兵の数が少ない! 闇雲に援軍を送っるのは危険すぎる!」
「何が危険か! 本当に危険なのは前線で取り残された兵達でしょう! こうしている間にも、我々の友軍は敵の銃火に晒されているかもしれないのですよ!」
マサノは、今にも支隊長に掴みかかりそうな剣幕だった。
マサノの話じゃ、支隊長は大佐、対するマサノは中佐だ。俺はともかくとしても、よくもまぁ上の階級の奴にこれだけくってかかれるもんだ。
「言われなくても、そんな事は分かっている! 誰も援軍を出さないとは言っていない。援軍は橋の修復が済んだ後、明日の早朝に出すつもりだ!」
「明日? 夜には橋が直るのでしょう?」
「それがどうした。まさか、戦車で夜襲をしろとでも言うつもりか?」
「そうです。なんだ、分かっているじゃないですか」
ほっとしたようにマサノは言うが、支隊長は笑えない冗談を前にしたように顔を強張らせた。
「夜襲に戦車を使うなど聞いた事がない! 戦車というのはただでさえ図体がでかくて視界が悪いのだ! そんな物を夜襲に持っていってなんの役に立つ!」
「支隊長殿が仰る通り、戦車の夜襲というのは中々例がない。しかししかし、それは単に誰もやらなかっただけで出来ないからじゃありません。その事を、今夜あちしが証明して差し上げます。さて、戦車中隊の中隊長殿はどちらですかな?」
と、一方的に話を切り上げ、テントを出ようとするマサノ。
「ま、待たんか! 貴様は参謀だろう! 何を勝手な事を!」
「錆びた刀よりは良く研いだ包丁の方が役に立つ。友軍の音信不通? いっておきますがね、これは一刻を争う由々しき事態ですよ。それをあなたは、援軍は明日の朝などと悠長な事を言う。そうしている間にも兵は死んでいくんですよ!」
「なんだと貴様!」
と、今まさに支隊長がマサノに掴みかかろうとした時、
「前線より報告! 進出中の戦車中隊及び歩兵大隊は、ブリテン兵の待ち伏せに合い全滅しました!」
泥だらけ兵が転がるように飛び込んで、しゃがれた声で叫んだのだった。
つづく。
【にほんてぃる MAP】
【にほんてぃる WORLD MAP】
七星十々 著
イラスト ゆく
企画 こたつねこ
配信 みらい図書館/ゆるヲタ.jp
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
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