安倍政権が成立に血まなこになっている特定秘密保護法案が、国際基準に照らしても欠陥だらけであることが明らかになってきた。
世界70カ国、500人以上の安全保障や人権の専門家が作った、情報アクセスの権利に関する「ツワネ原則」がその基準だ。
2年間で計14回の会議を経て、今年6月に南アフリカ・ツワネで発表されたばかりだ。秘密法案はツワネ原則を知らずに、あるいはあえて無視して作成されたとしか思えない。
ツワネ原則は、秘密の範囲や指定期間を「防衛計画、兵器開発、情報機関で使われる情報源など狭い分野で合法的に情報を制限できる」「必要な期間に限るべきであり、無制限であってはならない」と、限定的に規定している。
大前提にあるのは国民の知る権利だ。国民には政府の情報を知る権利があり、政府は知る権利を制限する正当性を説明する責務がある、と強調している。
秘密法案には「(知る権利が)国家や国民の安全に優先するという考え方は基本的に間違い」(町村信孝元外相)といった考え方が横たわる。まず根幹の人権感覚、人権意識から大きく違うのだ。
ツワネ原則は人権や人道主義への違反、環境破壊などに関しては非公開にすべきでないと歯止めをかける。しかし秘密法案は防衛、外交、スパイ活動防止、テロ活動防止の4分野にわたるほか「その他」との文言も多数あり、際限なく秘密指定される恐れがある。
処罰対象もそうだ。秘密法案では公務員以外も最高懲役10年が科され、漏洩(ろうえい)の共謀、教唆、扇動も罰せられるが、ツワネ原則はジャーナリストや市民は秘密を受け取ったり公開したりすることで処罰されるべきではないと明記する。第三者の監視機関設置も情報公開の方に重きを置いている。
ツワネ原則の根底にあるのは、国民の人権や知る権利を保障することで国家権力の専横や暴走を食い止めるという思想だ。戦争や人権侵害など多くの困難を経て確立された人類の英知と決意がそこにある。
秘密法案はこうした国際潮流に逆行する時代錯誤の代物だ。成立を許せば、国際社会に日本の民主主義と人権意識の稚拙さをさらすことになる。国益にもかなわない。
政府は秘密法案を白紙撤回し、国際社会の一員としてツワネ原則を土台に一から出直すべきだ。
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