2013年11月24日00時09分
【編集委員・加藤洋一】米国家安全保障会議(NSC)のエバン・メデイロス・アジア上級部長がホワイトハウスで応じた、就任後初の単独インタビューの主なやりとりは次の通り。
――尖閣諸島問題について、スーザン・ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)は20日の講演で、日本の実効支配を認めるとも、安保条約が適用されるとも言いませんでした。これは米国の政策の転換を示しているのですか。
「オバマ政権は海洋安全保障をアジア太平洋戦略の中心にすえている。緊張の高まりに懸念を感じているからだ」
「尖閣問題への取り組みについては何も変わっていない。日本防衛の約束を極めて真剣に受けとめている。当然、日本の実効支配は認める。それを侵害しようとする、いかなる一方的な行動にも反対する」
「その意味で、東シナ海に新たに防空識別圏を設定するという、今回の中国の発表には深い懸念を感じる」
「日本と中国が、事故や誤算の危険性に注意を払うことが極めて重要だ。事故防止のため両国間には意思疎通のチャンネルを維持する必要があり、ホットラインを開設することは良い考えだと思う」
「米国はこの問題を、対話と外交で解決できるような環境づくりに努める。当面、(武力紛争が起きた場合には、米国の日本防衛義務を定めた)日米安保条約5条が適用される」
――ライス氏は講演で、「中国について言えば、『新型大国関係』の実動化を模索する」と語りました。これは、「新型大国関係」という構想のもとに両国関係を構築すべきだという、中国の主張を受け入れるということですか。
「まず指摘したいのは、『新型大国関係』は中国の構想ではないということだ。米国もともに練り上げる作業をしてきた。12年3月、当時のクリントン国務長官が講演を行い、その中で、両国は、新興国と既存の大国の間では不可避といわれる対立を、米中間で回避する枠組みの構築について語った。これこそが『新型大国関係』の中核のコンセプトだ。ライス氏は講演でその意味を説明した。米中両国は、地域や世界の問題を解決するため、実際的かつ目に見える形で協力しなければならない。さらに米国は、中国が自国の利益を、(台湾など)いわゆる『核心的利益』に限定するのではなく、より広く定義してほしいと考えている。別の側面は、米中両国の対立や不信の原因の解消に取り組むことだ」
――しかし、中国はそういう定義に同意しているのでしょうか。
「言えるのは、中国側も、米中関係を前進させるには、繁栄や安全を左右する問題を解決しなければならないと分かっているということだ」
――「新型大国関係」は、米国が進める「アジア回帰」と整合がとれるのですか。
「整合する。中国との間で『新型大国関係』を構築しようとすることは、米国のより大きなアジア戦略の一部だ。そういう取り組み姿勢の背景にあるのは、中国と建設的で積極的な関係を築くため、米国はアジア太平洋で強い政策と立場を持たなければならないという考えだ」
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