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外食用加工肉、回転寿司の代用魚…偽装批判は、言いがかり?外食産業の企業努力の否定では

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2013.11.23

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 当然発がん性やその他の危険が表れるような量は入りようがありません。ポリリン酸などと聞き慣れない言葉を聞いて、不気味に感じるのは構いませんが、そのまま嫌悪感や怖いという感情論につなげてしまうと現実を見失います。

 結着肉1に比べて、細菌などに汚染される部分が少ないことからも、概ね市場でも「少し日持ちの悪い牛肉」ぐらいに扱われています。スーパーなどでも、ごくまれに見ることがありますが、ほとんどは外食産業で使われています。

 味の面では、さまざまな調整がされているので、普通に焼いて食べるだけならば、歯切れが少し悪い程度で、値段を考えれば十分においしいものです。注意すべき点は、先の肉と同様で、大豆や乳由来の成分が入っているため、アレルギーを起こす人もいるということです(ただし使用量はさらに少ないので、先の肉より危険は低い)。

 本来、レストランやファストフードでは原材料を細かく表示する必要はありません。何も表示せず、普通に「ステーキ」としてこれらの肉を提供するのは別に違法でもなんでもありません。別に法の抜け道でもなんでもなく、飲食店という場所で全ての原材料表記を義務化したら、仕入れや時期によってさまざまに変わる材料に対応できなくなってしまう、ただそれだけの話です。

 つまり、加工肉をただのステーキとして出していたというだけであれば、本来は問題ではありません。ただし、ただの加工肉をA5等級のなんとか和牛のステーキなどと偽って販売するのはただの詐欺。虚偽のメニューは責められて然るべきものですが、その矛先が、「こんな不気味な肉を…」という話では、お門違いなわけです。

 お肉や加工技術には、罪も問題もありません。

●脂肪注入肉(インジェクション加工肉)

 今回特に注目を集めた肉で、加工肉の中では最も新しいもの。その製法は、乳化された牛脂を注射器が剣山のように並んだ特殊な装置で肉の中に高圧で一気に注入し、肉を無理矢理霜降りにしてしまうというもの。

 白くドロドロの乳化油はお世辞にも美味しそうではないので、その加工現場の映像を見た人の多くは、もう加工肉が食べられないだの、気持ち悪いだの散々な批判をします。

 そもそも肉というのは、家畜を屠畜し、そこから腑分けをし、精肉し、熟成させたりなどなどの工程を経て、スーパーや肉屋に並んでいるのです。通常、屠畜や解体は見ないものです。つまり、加工過程を知ったことで加工肉を批判することは、そのような本来見なくてよい部分を見て、違和感を持つのと同じです。ただの加工された肉にすぎません。

 このインジェクション加工で使われる牛脂の大半は、国内産の高級和牛の脂です。高級和牛は意図的に時間をかけて太らせた肉。そのサシの入った美味しい肉の周りや、臓器の周りには、通常の牛ではあり得ないくらいの脂肪層が発達しています。

 しかし、その脂は当然和牛のうまみを持つものですが、肉に比べれば二束三文。1kg当たり数十円〜100円程度で取引されています。そうした脂を溶かし、雑菌が入らないように濾過処理を行い、そこに乳化剤や融点改良油などを加え、ニューギニアビーフやオージービーフなどの肉質が硬く赤身の多い肉に注入してつくります。いわば国産牛の脂と外国産赤身肉の良いとこどりなので、下手な和牛よりおいしい場合もあります。

 温度管理も衛生管理もシビアですが、機械の進歩と、利用者がしっかり規則通りに運用する限り、汚染などもまず起きないようになっています。実際に国内では、レアで食べても問題ないくらいに使われています。実際に町の飲食店などでもよく見かけるもので、肉質もやわらかくなり、安価で美味しい肉という目的をしっかりと果たしています。

 アレルギー表示以外は問題らしい問題もなく、カロリーはサシの入った肉と同様で、総じて高いため食べ過ぎは禁物です。

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