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【政治】

特定秘密保護法案 成立ありき 与党拙速 修正案提出前に採決要求

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 機密を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案について、自民、公明の与党は、日本維新の会、みんなの党と修正合意した。ところが合意を条文化した修正案は、まだ国会に提出されていない。それなのに、与党は今国会成立に間に合わせようと二十六日の衆院通過にこだわり、衆院での審議をほとんど素通りしようとしている。 

 法案は八日から衆院国家安全保障特別委員会で実質審議入り。それと並行して与党は維新、みんなの党と修正協議を行い、二十日までに合意した。修正案は四党が共同提案する方針だが、提出は二十五日の予定。当然、国会での審議はまだ行われていない。

 与党は当初、その二十五日の特別委で採決に踏み切ろうとした。野党の反対で見送りはしたが、現時点では二十六日に採決した後、その日のうちに衆院本会議で採決し、衆院通過させる方針。みんなの党も同調する。

 これには民主、共産、生活、社民の各党が強く反発。法案修正で合意した維新も、大幅譲歩した修正内容に党内外から批判が噴出していることもあり、慎重審議を求める。

 維新の松野頼久国会議員団幹事長は二十三日の民放番組で「採決はまだ早い。中身がしっかり担保できない限りは、採決には応じられない」と与党の進め方をけん制した。

 だが、与党幹部は「二十六日採決は絶対に譲れない」とする。二十七日に参院で審議入りしないと、十二月六日の会期末までに十分な審議時間を確保できず、今国会成立が危うくなると考えるからだ。修正案提出前に採決日程を決めようとする背景はここにある。

 法案の修正は、政治家の合意に基づき官僚が条文化作業をすることが多い。その過程で、合意内容が骨抜きになったり、別の解釈ができる表現になったりすることもある。国民の権利にかかわる重要法案の修正案を、提出からわずか一日で採決するのは拙速との批判を免れない。

 経済産業省の元官僚、古賀茂明氏は「修正案は国民から見えない密室で協議したもの。公開される国会審議で説明し、国民の疑問にこたえるため時間をかけて審議する必要がある」と指摘する。 (金杉貴雄)

 

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