| 平和案内人育成講座で被爆者の証言に聞き入る参加者=長崎市平野町、長崎原爆資料館
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与党が来月6日までの今国会成立を目指す特定秘密保護法案。23日、長崎平和推進協会の第5期平和案内人育成講座が始まった長崎市内の会場では、平和に貢献したいと願う参加者から「法案がよく分からない」「知る権利を奪われるかも」−など多様な声が聞かれた。
「核兵器廃絶を目指す被爆地の努力が報われなくなるのでは」。同市平和町の主婦、江口従子さん(73)は複雑な思いを抱く。同法が成立すると、国は国民に秘密のまま核政策を進める可能性も。被爆地から核廃絶の声を上げても届かなくなると懸念する。
新上五島町出身で被爆者ではないが、爆心地近くに暮らすうち原爆犠牲者の悲惨さを語り継ぐ必要性を感じるようになった。「平和の実現には、みんなが同じ方向を見る必要がある。国家の秘密がたくさん生み出される状況で平和を目指せるのだろうか」
同市本河内2丁目の会社員、城戸麻妃さん(29)は「戦争が多くの人を傷つけるということを伝えたいが、そんな活動も狭める動き。やめてほしい」とため息。同市片淵5丁目の松尾伸郎さん(63)は「核大国の米国の動きまで見えにくくなるのが怖い」と語った。
平和案内人として活動する西彼時津町の無職、浦川卓さん(72)は、過大に萎縮せず、原爆の記憶を風化させない活動を続ける必要性を強調した。