ロードス島戦記を最初に読んだのは幾つの時だったかなあ……。
小学生だったことは間違いないです。
当時、鉄道ファンを読みあさりに行っていた地元の図書館で、「灰色の魔女」と「炎の魔神」が置いてあったのを読んだのが最初です。
陥落しましたとも、ええ。
四大精霊、古代語魔法、剣の世界……フォーセリアという世界に魅せられたのはこれがきっかけでした。
当時はまだスニーカー文庫ではなく、角川文庫の一端だったんですよねえ。
今思うと、ライトノベルと呼ばれるものの先駆者中の先駆者だったわけで。
私が中学生のときには、小学生中学生が読んでいる小説のベスト5にはほぼ毎回ロードス島戦記の名前がありましたが、丁度この洗礼をモロに受けた世代です。
まあ、そこからTRPGに入り、ソードワールドで何度もセッションするところまで嵌った人は一握りだったでしょうが……。
ところが、図書館はそれ以降を入れてくれなかったので、火竜山の魔龍の上巻は出たことに気付きませんでした。
当時は今ほどこまめに本屋さんに行っていませんでしたし。
インターネットの普及した現代では考えられないポカです。
結果、下巻が出ているのを随分後になって見つけて、下巻を先に買ったというとんでもない話。
アシュラムの名前は第一巻ではっきり覚えていたので、何が起こっているのか概ねわかったのが幸いでした。
この第四巻での、オルソンが怒りの精霊を召喚するシーンは、個人的にロードス屈指の名シーンだと思います。
>「違うぞ怒りの精霊。僕は怒る。でも怒りは破壊じゃない。弱い者が大切なものを守る為に振り絞る勇気なんだ、それを僕に与えてくれ」
……だったかな。
このシーンは何度読んでも泣きます。
それだけではなく、
ラスボスのはずのシューティングスターがただひたすらに「逃げたいのだ」と叫び続けていたシーンや、
カシューに敗れたアシュラムが誓約を破ってでも動き、それを止めるパーンの必殺剣が支配の王杓を失わせたシーン、
茫然自失のアシュラムが火口へと落ちていくシーン……
この第四巻で私は完全にロードス信者になったと思います。
今でもこの第四巻が一番好きです。
第五巻でアシュラムが登場したときには心底絶句しましたが。
あ、個人的にはグローダーが大好きです。
彼を筆頭にホッブやピロテースらが活躍したであろう漂「着」伝説クリスタニアが読みたかったなあ、と今でも思います。
ただ、スパーク編に入って、やや醒めた感がありました。
スパークという主人公の格が、パーンという青春を彩った英雄に比べてどうしても見劣りしたんでしょうね。
どちらかというと最終巻はアシュラムを主人公と思って楽しんでいた感があります。
ベルドに到底及ばないことを理解しながら、その帝国の最期を必死になって守ろうとしたその姿は、儚くも、途方もなく格好良かったものです。
個人的には空の玉座の左右にアシュラムとバグナードが並ぶシーンが非常に忘れがたいです。
この後の300年に亘る彼の戦いを思うと、ロードスという島のとてつもなさが実感できます。
六英雄編のつもりで読み始めた伝説の第一巻は、正直ちょっと首をひねりました。
山田先生のファリスの聖女とのギャップが否定できなかったことが大きいです。
しかし、二巻以降主人公ナシェルを中心とした英雄たちの動きに一気に嵌りました。
面白いのなんの。
これだけの大英雄に成長したナシェルにどう決着をつけるのかと思った第四巻……ああそうだよ、もうそれしかないし、間違いなくカーラはそうするよ!
納得しました。
この第四巻で、カーラがナシェルに告白するシーンが、私にとってベスト2のシーンです。
>「あなたこそ正に真の王だ。ロードス統一の夢を人々が託した気持ちがよくわかる……」
あのアルナカーラをして、魔法王ファーラムに並ぶと言わしめたナシェルの凄さが、このロードス島伝説の凄さを物語っていたと思います。
このシーンも泣きます。ええ。
あまりにこのシーンがすごすぎて、第五巻の最終決戦が見劣りしてしまうくらいに。
第五巻の英雄戦争決戦は……未だに評価が難しいです。
確かに伝説を読み終えた後だと、あの矢を無関係な第三者に撃たれるなんてのは耐えられないのですが……私はカーラが撃ったのだと思っていたんです、あれ。
あれをナシェルが撃った……そうかもしれない、そうかもしれないが、しかし……うーんうーんうーん。
ただ、とにかく先代の冒険というものが大好きな私には、伝説シリーズは心底楽しめるシリーズでした。
それに比べると。
新ロードスはやはり色々と見劣りがしました。
正直言って、あまり面白くなかったのです。
リウイを読んでいるのと同じような印象で、ロードスを読んでいる気がしなかったといいますか。
ロードス島戦記として完結した物語の、蛇足という印象が長らく頭から抜けませんでした。
どうしても出てくる面子が小粒ですし、カーディス戦は戦記第七巻で終わっているという印象が強かったためでもありました。
ただ、総決算に向かっているなと思わされるところはありました。
戦記の小説本編では収録されなかったエレーナを登場させたり、
ヴァリスの薬草師を登場させたり……ってどう見てもナシェルです。本当にありがとうございました。
そんなところで最終巻です。
以下、ネタバレです。
正直に言えば、完結編に相応しいほど盛り上がったかというと……うーん。
終末のもの、の怖さが上巻に比べるとあまり感じられず、終末の気配に乏しかったというのがあります。
魔神戦争のときの絶望感が無かった……といいますか。
まあ、上巻のラストで派手にやってくれましたので、これ以上やったら登場人物があらかた消えてしまう可能性もありますか。
でもやっぱり、ラスボスのはずのフィオニス戦が、魔神王戦に比べると見劣りしました。
その後のスパークとニースの対決の方が水野先生にとっての最終決戦だったのでしょうけど。
ただ、ディードとパーンが頑張ってくれたので、戦記第七巻での不満をようやくここに来て解消したような気がして、溜飲が下がりもしました。
クラーケン召喚だけでも派手にやるなあと思いましたが、
フェニックス召喚!やってくれますナルディア様!
スパーク編だからこそ、この登場には込めた意味があったことでしょう。
気になったのは……あれ?パーンの母上って死んでたはず……なんで生きてるの?
ラーフェンの正体は首をひねりましたが、これはナシェルの息子なんでしょうかね??
セリフと態度を読み返すと、息子ではなく本人にしか思えないのですが、龍語魔法で若返っているのかしら。
確かに、かなりの数の人間の名前が出てきて、確かに最終巻とする意識は十分に感じられました。
ウッドが元気なのがとても嬉しい。
でも、……やはりどうも最終巻の印象は無いですね。
魔法戦士リウイの終盤でパーンとディードは必ず出てくると公約してしまわれたようなものですから。
これでやらなかったら怒りますよー水野先生ー!
それでも、ロードス島における戦いはこれでようやく終わったということなんですね。
書いていて、じわじわと実感が湧いてきました。
二十年間、本当に楽しませて貰いました。
年老いてもきっと忘れないことでしょう。
ありがとう、私たちの青春を彩った呪われた島よ!
私もパーンの母親死んだはずでは?という疑問から色々検索しこちらにたどり着きました。
新・・は正直おもしろくなかったですね^^;
なるほど・・・ラーフェン=ナシェル同一人物説ですね。
私は息子かなぁ?なんて思っていました。
さてパーンとナシェルの間になんらかの関係はあるのでしょうか?
永遠の謎でございますorz
コメントありがとうございます。
済みません。あまりに放置しているブログなので、コメントを戴いたことに気付きませんでした。
新……は、伝説の凄さと比べるとなおさら落差が大きく感じてしまいましたね……。
水野先生自身がどこかの巻の後書きでおっしゃっていましたが、六英雄らの人物の格がとてつもなかったということかもしれません。
なるほど、確かに息子の方が時期的にはしっくりきますね。
私は龍語魔法の影響で若くなっているんじゃないなあ、などと思ったのですが、考えてみるとナシェル本人ならラフィニア第一なので最終巻みたいな態度はとらないですね。
パーンの母親ネタがひっくりかえってしまっただけに、まともな考察が難しいですが、一応、直接の血のつながりは無いのかな、と思いますが。結局は謎のままですねえ。
まあ、リーゼンとフロイのように、最後まで明かされない方が面白いこともあるということかもしれません。
ロードスを舞台にセッションを行うときに、どうとでも設定できるようにしているのかもしれませんね。