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北朝鮮抑留事件 元機関長が初証言
11月23日 18時56分

北朝鮮抑留事件 元機関長が初証言
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30年前、日本の貨物船の船長と機関長が北朝鮮で身に覚えのないスパイ容疑で逮捕され、7年間にわたって抑留された「第18富士山丸事件」で、元機関長がNHKのインタビューに応じ、北朝鮮で体験した人権抑圧の実態などを初めて証言しました。

30年前の昭和58年11月、北九州市の門司港を出て北朝鮮に向かった冷凍貨物船「第18富士山丸」が拿捕(だほ)され、機関長の栗浦好雄さんら2人が身に覚えのないスパイ容疑で7年間にわたって北朝鮮に抑留されました。
日本政府は2人は無実だとして解放を求めましたが、交渉は難航し、7年後、自民党の金丸信元副総理らが北朝鮮を訪問して解放が決まりました。
しかし、北朝鮮は2人が犯罪者だという主張を変えず、恩赦という形をとって釈放したため、事件の真相は十分検証されて来ませんでした。
この事件で、元機関長の栗浦好雄さん(82)がNHKのインタビューに応じ、北朝鮮で体験した人権抑圧の実態や解放までの詳しい経緯を初めて証言しました。
それによりますと、当初の取り調べでは24時間監視下に置かれたうえ、北朝鮮の描くスパイ行為のシナリオを認めるよう机をたたいて厳しく迫られたということで、逮捕から1週間後には自殺を図るまで追い詰められたということです。
その半年後には、当時の社会党の訪朝団と面会しましたが、人道面に配慮して丁重に扱われていることなど、事前に渡された台本に沿って発言するよう細かく指示され、真実を伝えることはできなかったということです。
また、平成2年の帰国直前には、北朝鮮の担当者から「帰国してよけいなことを話すと、子どもが交通事故に遭うこともありうる」などと、脅しとも取れる口止め工作を受けたとしています。
栗浦さんは「何もしていないのに犯罪者にされ、7年間も抑留されたことはとても悔しく腹立たしい」と胸の内を話しました。
今回の証言について、北朝鮮情勢が専門の静岡県立大学の伊豆見元教授は「30年たって初めて当事者の詳しい証言が出てきたことは大変貴重だ。北朝鮮が非民主的で外国人の人権まで侵害するおそれがあるという点は今も変わっておらず、これを機会に事件の真相を確認することは意味がある」と話しています。

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