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11/21の日比谷野外音楽堂での秘密保護法反対集会
昨日(11/21)、日比谷の野音で開かれた秘密保護法の反対集会に参加してきた。壇上の向かって右側に国会議員が並んで座り、最前列に糸数慶子の姿があった。この人は本当にしっかりしている。国民代表らしい国民代表だ。2年前(2011年)の年末、防衛施設局が不意打ちで沖縄県庁に辺野古の環境評価書を持ち込んだときも、体を張って現場に飛びこみ、懸命に阻止に出ていた映像が出た。それを見て感動した記憶がある。世間はもう年の瀬で、仕事納めも終わり、紅白歌合戦とおせち料理の気分の時間だった。沖縄で何か抗議の動きがあるときは、いつも必ず先頭に立っていて、この人の姿と琉大学生会旗がないと沖縄の絵にならないと感じるような、そんなシンボルマークの存在になっている。普通の市民のように、真剣に黙々と市民の運動をする。国民代表らしく動く。その行動に、いわゆる「政治家のパフォーマンス」の要素がない。共産や社民の議員連中と対照的だ(民主は論外だが)。共産や社民の議員たちは、ここぞとばかり自分の売り込みに発奮し、司会から名前を呼ばれると嬉しそうに起立、選挙の演説時のように大きく手を振り回す。自分と党の宣伝ばかりやっている。自分を芸能タレントとでも思い込んでいるらしい。壇上には辻元清美もいた。たった2週間前(11/7)、日本版NSC法案の採決で賛成起立したばかりの議員だ。


秘密保護法案は日本版NSC法案とセットの戦争法制であり、J-NSAの戦争計画を全くし、密議と謀計を外部に漏らさなぬよう刑罰の壁で厳重にセキュアするものだ。日本版NSC法案に衆院本会議で賛成起立するということは、議員として日本の侵略戦争に賛成し、戦争準備と戦時体制を正式に了承する行為である。そこで堂々と起立した議員が、日比谷野音に来て「戦争ができる国になるから反対」などと言い、「みんなの力で廃案に追い込みましょう」などと言っている。こんな欺瞞があるだろうか。その辻元清美に、国民は税金で2800万円の年収をくれてやっている。本当なら、日比谷野音に詰めかけた市民は、憤慨を抑えず、怒りを口に出して「帰れ!出て行け!」と野次り倒さなくてはいけないところである。しかし、司会が冒頭に「会場で個人や団体を中傷する発言はやめてください」と注意したのが奏功したのか、全員お行儀よく、民主党の議員に「がんばれー」などと声をかけていた。私は脱力させられた。落合恵子が、「どこまで民主主義をバカにしているのか。一人一人の市民をバカにするこの政権はなんでしょう」と言っていたが、バカにしているのは安倍晋三や官僚だけなのか。市民は誰にバカにされているのか。否、辻元清美に「がんばれー」と声をかけるバカ市民が、辻元清美にバカにされない方が不思議だというものだ。TWを見ると、集会が盛り上がり、秘密保護法反対の気運が大きく高まったように左派系が書き込んでいる。

本当なんだろうか。野音の席で、辻元清美らに見下げられる位置で、私は寒々と凍りつくような気分でいた。われわれ秘密保護法に反対する市民というのは、辻元清美にバカにされて喜び、2800万円の税金を貢ぐマゾヒストなのだろうか。辻元清美は戦争が始まっても無事だろう。戦中も上手に立ち回って議員身分で高給生活を愉しみ、戦後になって、「私はあのとき秘密保護法にギリギリまで反対しました」「市民の皆さんと一緒に日比谷野音にいました」とかやらかすんだろう。昨夜(11/21)の集会をTWで情報拡散している者たちは、いかにも「反対の気運が盛り上がった」大成功の集会だと言い、この政治に勝利するための言葉を発している。秘密保護法に反対するマスコミも、映像をニュースで大きく流し、政権と野党に国民の反対世論の大きさを伝えて圧力をかける報道に出ている。私自身も、その1万人の群衆の絵を作るために、1万分の1の頭数になるために、電車を乗り継いで日比谷に向かった一人だ。だから、集会の「成果」に水をかけるような議論は、政治的に考えれば避けなければならないのだろう。しかし、事実として、正直に言って、昨夜の集会には何の感動も興奮もなかった。相変わらず、60代以上の世代ばかりだった。銀座へ向かったデモ隊は、銀座で遊ぶ都会人の中で小さな存在になっていた。マスコミだけが大きく報道してくれただけだ。1万人なんて、この時期を考え、この情勢を考え、この歴史を考えれば、あまりに少なすぎる数ではないか。

この集会が企画されたのは3週間前のことだ。何でたった1万人集めるのに3週間もかけなくてはいけないのか。衆院採決ギリギリになってデモのタイミングなのか。どういう政治計算と情勢分析の所産なのか。私には全く理解できない。遅すぎる。"too little too late"だ。昨年7月、土曜に代々木公園で反原発10万人集会が催されたが、この集会の告知は3週間も前ではなかったと思う。せいぜい2週間ではなかったか。主催者発表は17万人、警察発表は7万5千人。土日だからこれだけ全国から集め得たのだろうが、であれば、何で土日に(反秘密保護法の)デモを打たないのか。原発と秘密保護法ではテーマが違うから、という意見もあるが、半分は集められすはずだ。半分でも警察発表で4万人の大集会となる。マスコミは、ずっと秘密保護法反対のデモの絵に飢えていた。昨夜(11/21)、個人で参加した市民も、少なからずデモに飢えていた感がある。この3週間、それが不発だった理由が私には分からない。昨夜の事務局(市民団体)は、カネがかかって大変だとか、準備が大変だなどと言い、例によってカンパ袋を回していた。本当にそうなのだろうか。もし、あの程度の集会で準備が大変だなどと言うのなら、それは、この法案の恐ろしさに本当に気づいてないということであり、いつもの「9条改悪反対」の(平和ボケ)左派集会のノリで、ルーティンワークで集会を開催しているとしか思えない。治安維持法の恐怖の実態を知悉せず自覚していないという意味だ。

治安維持法では1万人が殺されている。特高の手で警察署内の拷問によって殺害されている。権力を握った右翼による私刑の暴力で、戦争に反対した市民が捕らえられて見せしめで殺された。ナチスのユダヤ人殺害と同じだ。1万人という数字については諸説あるけれど(数千人とも)、私の実家のある田舎町でも署内で一人殺されたという話があって(小さな田舎町なので、現在でもタブーのヒソヒソ話だ)、あの小さな町の人口を考え、当時の(共産党員やシンパ知識人の)地下活動者の数を考えると、1万人という数は納得がいく。全国津々浦々で「アカ」や「非国民」の「危険分子」が、特高に摘発され虐殺されていた。その事実は、戦後に制作された映画やドラマで描かれ説かれるところとなり、山本薩夫や山田洋次や橋田壽賀子が作品に積極的に挿入して見せている。昨夜(11/21)、日比谷に集まった市民の数は1万人。右翼や政権からすれば、これらは目障りな「反日」の「アカ」であり、戦争が始まれば、治安維持と国防のために厳しく粛清してよい不穏分子である。見せしめのために手段を選ばず弾圧を行使する対象だろう。2ch掲示板やTWを視れば、そうせよと明確に扇動している書き込みも多く、ネット言論を制した匿名右翼の欲望の吐露が不吉な将来を予告している。私の考えでは、次の戦争(中国との戦争)は、先の戦争よりも総力戦となり国民総動員の戦争となる。前線と銃後の区別の全くつかない戦争となる。国民は自宅のPCを武器にサイバー戦場の兵士となる。

だから、国内に銃後はなく、兵士に老若もなく、若い男だから戦場に送られて死ぬとか、高齢だから国内で安全だとか、そういうことは21世紀の戦争ではなくなるのだ。国内(ネット空間)が戦場になり、ネットに繋がった端末はすべて、軍事的に敵か味方か識別されてフラグが立つ。少しでも日本軍に対して不穏な行動(言動)をした国内のPC端末は、敵のスパイとして認知され、探査され、治安立法で摘発検挙される対象となるだろう。サイバー空間が戦場になるから、そこで生息する人間は戦場でうろついている者で、不審な者は軍法会議の対象になるのだ。イラク戦争下のバグダッド市街と同じで、市民が日常生活する空間が、銃弾が飛び交って爆弾が破裂する戦場なのである。サイバー戦とかサイバー戦場の定義と解釈は、安倍晋三とJ-NSA(情報班=秘密警察)によってかぎりなく拡大解釈され、ウィルス攻撃をしたとか、サーバーにアタックをかけたとか、パスワード破りをしたとか、そうした明確な犯罪行為だけでなく、Blogで政府や米軍や自衛隊を批判したとか、軍事の機密に関わる問題を論じたとか、そういう範囲まで「サイバー空間の犯罪」に含まれ、禁止され、違反すれば公安・憲兵のお世話になることだろう。治安維持法は、1925年に制定されたときは、罰則は10年以下の懲役又は禁固であった。それが3年後の1928年に改悪されたときは、死刑又は無期へと厳罰化されている。導入時が「懲役10年」であること、何か象徴的で空恐ろしいではないか。この法案が通って3年後の改訂時を想像しなくてはいけない。

昨夜(11/21)の野音の集会に参加した面々を見ていて、そこまで事態が切迫していると感じている者は少ないように見えた。安倍晋三は、11/20の国会答弁で、「一般国民の方が特定秘密を知るということは、まずありえない」と述べ、一般国民が特定秘密の漏洩などで処罰される事態は通常起こりえないとの認識を示した。 普通の国民は関係ないと説明している。ネットで右翼がこのフレーズを多用していて、むしろ安倍晋三と右翼の本音が透けて面白い。分かりやすい。「普通の国民」は、秘密保護法の監視や摘発の対象にはならないのだ。「一般国民」とは、政府の言うとおりに従って戦争を支持し、指導者の安倍晋三を尊崇し、「鬼畜中韓」を叫んで一丸となる国民のことである。2chに巣食っている連中が「普通の国民」なのだ。例えば、米軍基地を撮影してBlogに載せたり、原発労働者の告発をBlogに載せたり、政府が隠匿する原発被害者の医療情報を暴露する者は、安倍晋三の言う「一般国民」ではないのである。これは、同じく秘密保護法でマスコミに言っている「正当な取材」と同じ論理だ。「正当な取材」なら記者は処罰されることはなく、国民の「知る権利」も保障される。安倍晋三と右翼においては、記者は政府の言うままを報道すればよく、国民は政府が知らしめるところを知っていれば、それで十分に「知る権利」を保障されたことになるのである。それが「正当な」の意味だ。けれども、昨夜(11/21)の銀座界隈は、そういう「一般国民」ばかりが歩いていて、煌びやかなネオン街で幅をきかせ、行進するデモ隊の声は小さく、晩秋の夜の静寂に溶けて薄暗く沈んでいた。

1万人ではとても足りない。10万人が毎晩歩いて銀座を制圧しないといけない。



by thessalonike5 | 2013-11-22 23:30 | Trackback | Comments(3)
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Commented by 旅マン at 2013-11-22 20:32 x
非常に詳細なレポートに食い入るように読まされてしまいました。
あまりに鋭いので、あなたのblog名の通り、倦むしかない気持ちになりかけましたよ。
民主党は論外、辻元の記述しか笑えませんな。
ただ、状況をごまかしてはならんのはよく理解できますが、この絶望的な状況の中でも、あなた御自身、そういう流れも百も承知の上で、結局はこのデモに参加なさったわけですよね!
世を倦むとか看板を掲げつつも参加する…本当はそれに抗いたいわけでしょう!
この法案は麻生の手口を実演している。倦めば奴らの思うツボ!
敢えて明日、シンポとデモに馳せ参じます。
『奴らを通させるな』
この言葉、忘れてはダメです。
Commented by 旅マン at 2013-11-22 21:07 x
もう少し付言すれば、なるほど世間全体は、そんなの関係ねえという[どうでも]いい人が大多数であろう。
でもそれは、ネット空間で悪罵を連打する『奴ら』についても実は同じではないですか。本当に奴らの声が大多数ならば、水晶の夜まがいな暴動も始まるでしょうよ!
さらに言えば、奴らのたまり場たるヤフコメみたいな場所でも、実は意外にも秘密保護法案に疑問や反対の声が出まくっていますよ。
勿論、具体的には右翼チックな批判も含まれるが、自民たちの談合を許すなという声も少なくないです。
思い出そう。絶望的な86年体制を!
おたかさんみたいな役者はいないし時代も違うが、達観してはならんでしょ。
Commented by かまどがま at 2013-11-23 09:16 x
地下鉄でもJRでも歩いて数分で行ける日比谷野音に1万人は絶望的だと糸数議員の目には映ったのではないでしょうか・・・
昨年9月のオスプレイ反対10万人集会はネット右翼は2万5千しか集まらなかったと嘲笑っていまましたが、会場の宜野湾海浜公園へのアクセスはバスとタクシーのみ、最寄りのモノレールの駅からはとても歩ける距離ではない、那覇からのピストンバスと乗合タクシーで5分立っているのもつらい灼熱の会場に集まったのは沖縄の怒りがそれだけ深いということです。

東京で1万人は・・・今回は駄目かもしれない・・・・
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