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グループホーム運営のNPO法人が家賃を不適切徴収、横浜市が補助金不交付/神奈川

2013年8月28日

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 横浜市内で13カ所の障害者グループホームを運営しているNPO法人が、入居者から不適切な家賃を徴収したとして横浜市から改善指導を受け、市からの本年度の家賃補助が交付されていないことが27日、分かった。家賃の実費負担額はグループホームごとに異なるのが一般的だが、一律4万5千円に設定。市は過去5年分の過大徴収家賃を返還するよう求めており、法人によると2012年度までの5年間で計約1680万円に上る。

 このNPO法人は、「PWL」(横浜市中区、箕輪一美理事長)。1992年から同市中区などで障害者グループホームを運営、就労支援事業所なども手掛けている。2003年にNPO法人化した。

 障害者グループホームへの家賃補助の割合は自治体によって異なる。横浜市は賃貸料の半額を補助しており、同法人は11年度、計約2900万円の補助を受けている。

 入居者が支払う家賃は通常、実費相当額に設定。立地条件などによって賃貸料は異なるため、入居者の負担額も異なるのが一般的とされる。

 だが横浜市が今年2月から3月にかけて行った実地調査で、PWLは約80人の入居者から一律に4万5千円を徴収していることが判明。市は4月、家賃補助を踏まえた適正家賃への見直しとともに、過去5年分の精算を行うよう指導した。改善が確認できるまで、家賃補助を含む年間計約4500万円の本年度補助金の交付を見合わせている。

 法人によると、11年度では13カ所のうち6カ所(定員40人)で過大に徴収。本来の家賃との差額は1人当たり2万~150円だった。12年度までの過大徴収総額は▽08年度280万円▽09年度185万円▽10年度180万円▽11年度480万円▽12年度559万円-としている。

 一方で過少徴収もあり、▽08年度400万円▽09年度390万円▽10年度420万円▽11年度465万円▽12年度459万円-で、総額約2130万円。単年度の収支では08~10年度は過少徴収額が多かったが、11、12年度は過大徴収額が上回った。

 横浜市は「実費負担の原則から外れるだけでなく、手元に残る金額が減ってしまう入居者もおり、生活への影響が大きい」と指摘する。

 PWLは神奈川新聞社の取材に対し、「金銭的な統一が、支援の平等性を保つことだと考えていた」と説明。その上で「障害者自立支援法の制定を機に改善すべきだった」として、市の指導を受け入れる方針。過大徴収分の返還時期や方法については「市と協議中」としている。

◇「入居者の自立阻害も」、一律徴収を疑問視

 障害者総合支援法(旧障害者自立支援法)は、住居費などについて実費負担を原則としている。グループホームは「生活の場」であり、障害者の「自立」を目的にしているからだ。改善を指導した横浜市障害支援課は、「実費以上に徴収されて手元に残る収入が減れば、入居者の生活の自由度が奪われ、自立が阻害されかねない」と指摘する。

 入居者からの過大徴収額は、最大で月額2万円に上っていた。横浜市内で障害者グループホームを運営するある法人の担当者は「通常、障害者の収入は10万円前後。その中で、手元に残るお金が2万円違うということが、本人にとってどれほど大きいか」。日々の生活を充実させる余暇活動や、将来的な1人暮らしに備えた貯蓄など、影響は容易に想像できると話す。

 都市部では家賃自体が高額なため、入居者個人に家賃負担が重くのしかかり、収入の少ない入居者の生活を圧迫しかねない。このため、この法人は寄付を募るなどして個人負担を減らす努力をしているという。

 「すべてのメンバーが充実した生活を送るため、一定程度の水準が公平に保たれることを目的にしてきた」とするPWLの「一律徴収」に対し、この法人担当者は「法人ごとに考え方は違う」と前置きした上で、疑問視する。「行政からの家賃補助を再配分する、という考え方かもしれないが、聞いたことがない。入居者同士で安易に平準化することは、果たして適切なのか」

 別の法人代表は「生活保護受給者が受け取る住宅扶助費を使い、一人一人の負担額を減らす時代があった」と明かす。だが「行政からの助成が貧しかった20年ほど前の話」とも話し、「ルールを守るのが支援する側の責務。事業は税金を使って行われているのだから」と強調している。

 ◆障害者グループホーム 「障害者を特別視するのではなく、条件を整え共に生きることこそノーマルである」と考えるノーマライゼーションの理念に基づき、障害者が地域の中で共同生活を送る住居。主に軽度の障害者が対象で、原則10人以下と小規模で運営される。家事などの日常生活上の支援を行い、自立生活を助けることが目的で、入所施設からグループホームでの生活を足がかりに、1人暮らしにつなげる障害者も多い。食事や入浴などの介護が必要な障害者を対象にした住居は「ケアホーム」と呼ばれる。

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