秘密保護法案:修正協議、問題残し 公開の原則は実質後退
毎日新聞 2013年11月23日 11時08分
民主党が22日、特定秘密保護法案の衆院採決で反対する方針を表明したことを受け、自民、公明両党とみんな、維新両党の合意による修正法案が固まった。4党は「進歩」を強調するが、「特定秘密は60年で原則公開」との修正は政府案より実質後退となる上、懸念の大きい「知る権利」を巡る規定は修正すらされないなど、多くの問題点をはらむ。【小山由宇、笈田直樹】
「原則30年が原則60年になった。しかも60年でも公開しない情報があり、明らかに後退だ」。民主党の海江田万里代表は22日の記者会見で「特定秘密指定は60年を超えられない」との修正案が、政府案への懸念をさらに深刻なものにする可能性を指摘した。
60年公開の例外とされる7項目はあいまいな表現が目立つ上、政府は国会審議でどういう情報を秘密指定するか具体的な答弁をほとんどしていない。個々の秘密を政府が拡大解釈すれば、公開される情報よりも半永久的に伏せられる情報の方が多くなりかねない。
また修正案は、もとの政府案にあった「指定が30年を超える場合は内閣の承認が必要」との仕組みもそのまま残した。修正案では全ての秘密が30年後、60年後に「節目」を迎える仕組み。秘密のレベルごとに指定期間を決める米国と違い、個々の情報の秘匿すべき基準は不明だ。さらに60年という新たなハードルが設けられたことで、30年の段階では秘密指定を続けることが妥当かどうかのチェックを「緩めてもいい」という心理が政府内で働きかねない。
さらに修正案は、最も懸念が強い国民の「知る権利」や報道機関の「報道の自由」の担保について、全く改善していない。維新、みんなが修正要求に盛り込まなかったため、政府案がそのまま維持された。
法案は知る権利や報道の自由への配慮を掲げるものの、法律違反以外に「著しく不当な行為」というあいまいな基準でも処罰対象となる。秘密を知る公務員との共謀、そそのかし、扇動があったと捜査機関が認定すれば漏えいがなくても処罰の可能性があり、報道や国民の情報収集活動が萎縮する恐れは大きい。