秘密保護法案:維新内、広がる亀裂 妥協の総務会長に怒声
毎日新聞 2013年11月22日 02時35分(最終更新 11月22日 04時04分)
国家機密を漏えいした公務員らに厳罰を科す特定秘密保護法案を巡り、自民、公明両党と修正案で合意した日本維新の会内で21日、「秘密指定の権限を持つ省庁を限定する規定があいまい」などの不満が相次いだ。同党は22日の臨時総務会で方針を正式決定する予定だが、党内は賛否両論に分かれ、亀裂が広がっている。【阿部亮介、重石岳史】
「お前に全権一任なんてしてないぞ」
21日午前、維新国会議員団幹部会が開かれた国会内の一室に、片山虎之助政調会長の怒鳴り声が響いた。与党との合意を急ぎ、「丸のみ」とはほど遠い内容で妥協した修正協議の実務者、藤井孝男総務会長に対するいらだちだった。藤井氏は負けじと「お前が今の立場にいるのは誰のおかげだ」と反論。両氏は口論となり、意見集約には至らなかった。
維新は当初、与党に対し(1)指定権限を持つ省庁を内閣官房、外務省、防衛省に限定(2)指定から30年を超えた特定秘密の全面公開(3)指定の適否などを監視する第三者機関の設置−−などを要求した。ところが合意した修正案は、政令で省庁限定ができる規定が盛り込まれたに過ぎず、省庁側が権限を持ち続ける可能性を残した。指定期間も「最長60年」と倍増した上に7項目の例外規定が加わり、第三者機関設置も「検討」にとどまるなど実効性に疑問符が付いた。
片山氏は記者会見で、「会期延長するか継続審査にしたらいい」と述べた。修正案に反対する若手議員らは国会内で会合を開催。党方針を決める臨時総務会のメンバーの賛否について「票読み」を始めた。反対派からは、党所属国会議員全員が出席できる両院議員総会の開催を求める声も上がっている。
一方、橋下徹共同代表は大阪市で記者団に「維新はすり寄ったというが、実際に(政府提出法案を)変えた」と理解を示した。「修正案が党内で否決されれば、せっかく変えた部分が原案に戻ってしまう」(党幹部)との懸念も出始めている。
◇与党と維新、みんなとの主な修正点
<みんな>
・首相が特定秘密の指定基準を策定し、閣議決定する条文に修正
・個々の特定秘密の指定・解除について首相が指揮監督し資料の提出・説明を求めることもできる条文に修正
・特定秘密の指定・解除の件数などを国会に報告する規定を条文に明記
<維新>
・特定秘密指定の適否などを検証・監査する第三者機関設置の検討を付則に盛り込む